カンボジア竹細工プロジェクト概要

カンボジア竹細工プロジェクト

正式名称:カンボジアにおける竹製品の価値向上を通じて女性の経済的エンパワーメントを高めるプロジェクト
Enhancing Women’s Economic Empowerment through Improving Bamboo Handicraft Value Chains in Cambodia
受益国並びに地域:カンボジア、コンポンチュナン県
プロジェクト実施期間:2年
運営国連組織:UN Womenカンボジア・カントリーオフィス カントリー・ディレクター ウエニー・クスマ氏
実施機関:  HOWIEE/グラスルーツ・ビジネス基金(TBC)

背景と問題点の分析

cambodiabamboo2カンボジアは、アジアの中でもグローバルな経済危機の影響を最も強く受け、GCPの伸びは2009年ニ2.5%も縮小した。その原因は、輸出中心としながら輸出品目が極めて少ないという、経済的脆さにある。そうした不況の結果、失業が増え、特に農村部での収入、送金額が減少した。経済は回復しつつあるが、それに相当する雇用の増加はみられず、失業率は極めて高いままである。また女性の教育に対する伝統的な姿勢から、女性の教育、職業訓練には壁があり、就職の機会が限られている女性が多い。
現在、人口の80.5%が農村に住んでいるが、雇用機会に恵まれず、貧困率と非識字率の高さとあいまって、職を求めて国の内外に出稼ぎにいく女性の数が増えている。こうした出稼ぎで、残された家族へ送金することによって貧困の削減には貢献しているものの、別の問題を引き起こしてもいる。出稼ぎ労働者は移動先の国で、搾取、人身売買、その国のサービスを受けられないなどの被害にあいやすいのである。また残された家族にとっても、子どもが置き去りにされたり、ひとりで家族を見守る女性の負担が増えるといった、マイナスの影響がある。
労働・職業訓練省の調査によると、海外への渡航を申請している人の58%を女性が占めているが、それに伴う費用として、家族はわずかに所有する財産を売り払い、あるいは出稼ぎに行く当座の費用捻出のために利子の高いローンを借りるなどの負担を強いられる。しかも、女性の出稼ぎ労働者、とりわけ違法な手段による場合は、ジェンダーに基づく差別や暴力の被害者になりやすい。
様々な調査から、貧しい農村女性が地域で所得創出活動に就くための支援を受けている場合、持続的なビジネスを達成できることがわかっている。その上、こうした女性はもはや出稼ぎにいく必要もなくなり、搾取や虐待から保護される結果にもなる。こうした観点から、貧しい農村女性に地元で生計を営む機会を提供することがぜひとも必要である。出稼ぎを考える必要もなく、自身と家族を支える手段を得ることで、農村女性をエンパワーさせるだけでなく、家族と地域全体の繁栄にもつながるからである。
メコン地域(ベトナム、カンボジア、ラオス)では、竹が女性たちに収入をもたらす可能性が高い。カンボジアの貧しい地域では長年にわたり、竹を収穫物として活用してきたが、販売と加工の効率が悪く、市場は十分に開発されていなかった。2000年に行われたメコン地域の調査によると、同地域の竹は以後の10年間におよそ12億米ドルを創出する価値があり、さらに80万件の雇用を追加創出し、そのうち8090%は農村部での加工業務であり、そのうちの60%余りは女性の竹製品製造者のものとなるという。
女性にとって竹製品作りが重要な活動となる理由

  • 子どもの世話や料理といった家事と両立できる
  • 竹製品作りは、米作作業のかたわら行い、米作作業をしない時期にも行えるので重要性が追加される
  • 竹製品作りには季節性がないので年間を通じた安定した需要と収入が見込める

CambodiaUN Womenは世界銀行と連携して、竹製品作りと女性の経済的エンパワーメントの向上をめざしてきており、このプロジェクトの第一段階は2010年12月で終了した。 UN Womenは、2001年以来、全国及び地方レベルで、出稼ぎ労働の問題に取り組んできており、政府やNGOパートナーに広範な支援をほどこし、女性の出稼ぎ労働者の経済的権利、人権の保護拡大を提唱してきた。それと同時に、代替の生計手段を得る機会を与えることが、貧しい女性に出稼ぎ以外の選択をさせることになると信じてもきた。
これまでの竹製品製造パイロットプロジェクトの結果から、本プロジェクトは、製造者のグループ結成によって地域の社会資本を高めることが示されてきた。カンボジアでは衣服工場が閉鎖されるにつれ、女性の出稼ぎ労働者が故郷へ帰る傾向となり、パイロットプロジェクトに参加している若い女性の多くがこの竹製品プロジェクトが出稼ぎ再開に代わる所得創出の手段になると述べている。こうした利点は、カンボジア女性課題省のコンポンチュナン県の女性課題部でも認識されている。

プロジェクトの細部

目的

  1. 市場中心の持続的な経済的エンパワーメントをはかる機会によって女性の能力を構築する
  2. 農村の生活、とりわけ女性の経済的機会を向上させるために、竹細工部門の刷新と支援を進め、女性が生計手段を得て、出稼ぎ労働を強いられないようにする。
  3. 女性課題省(MoWA)の能力とジェンダー対応予算に関する準国家レベルでのラインを強化し、女性の経済的エンパワーメントのための地域との連絡調整にあたる権限をもたせる。

対象グループ

プロジェクトは女性の経済的エンパワーメントに焦点を置くが、男性と女性の双方と直接協力しながら進める。カンポング・クフナング県のおよそ300世帯を対象とする。竹細工の製造者の大半が女性であるが、多くの場合竹細工の製造は家内企業であるので、男性の製造者もプロジェクトに含まれる。

プロジェクト戦略

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  1. パイロットプロジェクトの受益者と協力し、訓練と製品開発によって、製造者グループ、取引業者、起業家の能力構築をさらに進める。これによって、それぞれ独自の起業をし成功させるために必要な市場販売、管理、品質管理、製造技術を備えることができる。
  2. 女性の開発センター(WDC)およびMoWAの能力を強化し、女性が経済的機会を得るための資金割り当てを提唱できるようにする。この目的は、これらの政府機関が女性の経済的エンパワーメントを促すための権限を備え、地域レベルで女性に対する説明責任をはたせるようにすることである。
  3. WDC/MoWAと製造者グループ代表、取引業者、民間部門、地元・国外市場との連絡調整の円滑化をはかる。これによって、情報の共有、市場効率、異なるグループ間の作業関係やコミュニケーションの改善がはかられる。
  4. 以上の戦略によって所得創出の機会と女性のニーズとのギャップが埋まり、カンポング・クフナング県の女性とその家族にとって持続的かつ地元での収入が得られるという恩恵となるのみならず、広い地域全体にとっても益することになる。経済的な力を得た女性は教育、保健、地域開発など、より多くの領域に投資できることがわかっている。

モニタリングと評価計画

プロジェクトの執行機関とUN Womenは協力して、中間期のプロジェクト内部チェックを行い、最終的なプロジェクトの評価は外部関係者によって行われる。すべてのプロジェクト活動と結果は執行関係者が定期的に記録し、評価のための一貫した情報が提供できるようにする。
進捗状況の技術・財務に関する報告書は4ヶ月ごとに作成されて、UN Womenに提示される。最終的な結果報告は行動計画実施機関の終了時に作成される。行動計画はUN Womenの定期会合と現場訪問を通じて綿密にモニターされる。UN Womenは、また、戦略や作業計画の作成、さらにはあらゆる種類の重要な訓練、ワークショップ、イベントについて支援を提供する。
プログラムの以下の面について、中間期、最終時の評価において審査される。

  • 直近の目的の達成に向けての進捗状況
  • 結果が対象グループのニーズに叶っているかどうか
  • プロジェクト・コストを達成された目標と対比させた分析
  • 行動計画の成果の完了後の評価
  • 直面した障害や問題、とられた修復措置およびその計画案
  • 行動計画の改善点と他の対象領域で再実施するために学び取った教訓

予算

総予算は、300戸(大半が女性の世帯主)の直接対象グループ向けと、当初の方針提唱作業向けに合わせて、250,800米ドル(1年目:135,900米ドル、2年目:114,900米ドル)
平野和子(UN Women日本国内委員会理事)訳

【うち、UN Women日本国内委員会は152万8899円を送金しました。資生堂花椿基金&(株)資生堂様からのご寄付です。引き続き2013年度も支援いたします。】

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