◇『女性のエンパワーメントと2015年以後の開発議題』、グローバル・コンパクト・イベント開会挨拶

  • 2013/10/04

 

 

2013年9月19日、UN Women事務次長、ジョン・ヘンドラ氏グローバル・コンパクト・イベントにて開会の挨拶

女性のエンパワーメントと2015年以後の開発議題―をしました。日本への言及も数か所みられ、大変注目すべき内容です。

 

UN Women週刊ニュースより

 女性のエンパワーメントと2015年以後の開発議題

       グローバル・コンパクト・イベントでのジョン・ヘンドラUN Women事務次長の開会の挨拶要旨

 

 国連事務総長の報告書「尊厳ある生活」は、2015年以後の開発議題に向けた権利を基準とする野心的なビジョンを打ち出しています。その議題は持続性の課題に取り組み、極度の貧困を根絶して、全体的かつ総合的に開発を進める普遍的な問題であり、先進国と途上国を問わずあてはまるものです。なぜならば、今日私たちが直面する多くの課題はグローバルなもので、皆が一致協力して取り組まない限り、前進させることができないものだからです。またそれは、高まる不平等に取り組む変革を促し、人々の生活に真の変化をもたらす課題でもあるのです。

 このような野心的な議題を設定するに際して、報告書は11のテーマに沿い、5つの地域、88か国において開かれた協議会に参加した世界中の、何百、何千人にも及ぶ人々の見解を反映させています。どこの国の人々も、ミレニアム開発目標に沿った、革新的な変化、貧困の根絶、持続可能な開発の達成、人権、平等、正義、安全保障を求めました。

 こうした協議を通じて最も強く浮かび上がってきた問題点の一つは、新しい議題において不平等と構造的な差別に取り組む必要性を加味することで、とりわけジェンダー不平等と、あらゆる不平等を強化するものとされるジェンダーに基づく差別に取り組むことです。だからこそ、人々は新しい開発議題がジェンダー平等と女性の権利を最優先とすることを求めているのです。

 実際、ジェンダー不平等を最前線の中心におくために、これ以上ない時宜を得た時なのです。簡単に言えば、女性の権利とエンパワーメントの実現はそれ自体で非常に重要な目的です。しかし、それはまた他の開発目標にも共働的な影響を与えるものでもあります。私たちが知っているように、女性と女児が教育と雇用に参加することは子供たちの健康と教育の成果に直接の影響を与えるだけでなく、経済の富にも影響を与えます。これは、中等以上の教育を受けた母親の子供は、まったく教育を受けていない母親の子供より生き残れる可能性が3倍も高いという事実にも表れています。

 ゴールドマン・サックスによれば、男女の雇用の差を無くせば、アメリカでのGDPは5%、日本では9%伸びるだろうし、女性の可能性を解放すれば、2020年までに中国、ロシア、インドネシア、ヴェトナム、韓国で国民一人当たりの所得が14%上昇するだろうとのことです。さらに女性の教育とともに、子供の数や産む時期についての平等の発言権を女性に与え、性と生殖に関するサービス向上をはかることは、進歩をさらに停滞させているミレニアム開発目標の一つである、妊婦の死亡率を引き下げる必須の条件です。平等な発言権がよりよい意思決定に導くことは、和平構築過程への女性の参画についても言えることです。

 しかし、女性の権利とエンパワーメントを現実のものとするためには、ジェンダー平等を永続させる構造的な不平等とジェンダーに基づく差別に取り組まなければなりません。ということは、ある社会や文化のもとで女性であること、男性であることが何を意味するかについての深く根付いたステレオタイプ、すなわち女性は男性に従属するという考え方や行動に取り組むことであり、世界中の女性の3人に1人が肉体的、性的な暴力を受けているという事実に取り組み、女性と女児にかかる介護という無給の重い負担を減らして、経済、社会、政治的な生活に平等に参画できるようにしなければなりません。このためには政府、市民社会、ビジネス界、国際社会が共同して取り組まなければなりません。

 それだからこそ、UN Womenはジェンダー平等と女性のエンパワーメントを2015年以後の開発議題の中心に据えることを提唱しているのです。そのために、そしてジェンダー関係の変革を支援するために、以下の三つを提案しています。

・女性と女児に対する暴力をなくす

・資源と能力の分配におけるジェンダー平等

・官民双方の機関における意思決定権のジェンダー平等

 

これらの目標を支援する機運は高まっていますし、とりわけ、ジェンダー平等と女性について標準的な目標の必要性を求めた『グローバル・コンパクトから事務総長に対する企業の持続性と2015年後の開発議題に関する報告』の中に勧告案があるのは、嬉しいことでした。ここで、グローバル・コンパクトの提案した、真に改革をもたらし得る目標の2つを選んでそれが及ぼすであろう効果に焦点をあててみたいと思います。

 第一に、グローバル・コンパクトが提案したジェンダー目標は、同一の仕事に対して普遍的に認知され、思考されている同一の賃金を求めています。「女性の政策研究所」によれば、ジェンダーギャップをなくすことは経済を3~4%の成長という、2009年の刺激策の効果を倍増させるといいます。オーストラリアの研究結果は、国内の賃金のジェンダーギャップを解消するだけで、GDP 930億ドルの価値があると推定しています。また賃金のジェンダー格差が16%であるヨーロッパでは、ギャップの解消がEUの堅調な経済の回復に欠かせないと見られています。さらに、それは女性のまともな仕事へのアクセスと世界中の社会的保護策に否定的な影響を与える緊縮政策のマイナス効果を償うことにもなります。

 第二は、グローバル・コンパクトは官民両部門におけるリーダーシップ地位への女性の参画を40%以上とすることと設定しています。一つだけ例を挙げてみても、企業の役員会への女性の参画率はノルウエーの35%から、日本のわずか2%までと幅が広いので、この点に関してもなすべきことがたくさんあります。また、CatalystとCEDの調査研究から,役員会に存在する女性が多ければ多いほど、より高い収益をあげ、リスクに対してより効率的に対処できることが示されています。上級の執行役員に多くの女性がいることにより、同じような利点が得られていますーーつまり、よりよいリーダーシップとより強力なボトムラインです。

 グローバル・コンパクトの報告が例証していますように、民間部門は2015年以後の変革をもたらすための議題を前進させる上で重要な役割を果たすものであり、確実にジェンダー平等と女性のエンパワーメントを次の枠組みの中心に置くものと申し上げたいのです。

ビジネスリーダーとして、私は、皆様が具体的な行動をとることを待ち望んでいるものと思っていますので、3つの提案をいたします。第一は、Knowledge Gateway for Women’s Empowermentに加わることです。Knowledge Gatewayは女性の経済的エンパワーメントを推進するため革新的なグローバル情報とパートナーシップ・プラットフォームであり、UN Womenとカナダ政府が創設し、官民にわたる多くのパートナーが加わっています。このイニシアティブは来週の国連総会で着手される予定です。すでにwww.empowerwomen.org.にオンライン化されていますので、皆様がこれを支援し、登録して、ネットワークを通じて推進していただきたいと思います。

第二は、女性のエンパワーメント原則の履行を続けていただくことです。すでにWEPsには世界中の600社のCEOが署名いたしました、UN Womenを代表して、WEPsに協力的に取り組み、その履行を前進させてくださった多くのビジネスリーダーに感謝申し上げます。引き続いて女性のリーダーシップと参画への障害を取り除き、皆様のビジネスの世界の意思決定の役割にジェンダー平等を確実にしつつ、ほかの人たちにそうすることの価値を納得させていただくよう努めていただきたくお願いします。

 第三に、女性に対する暴力根絶に対する対策のお手伝いをしていただきたい。これはまさに21世紀の災いです。アフガニスタンの女性の政府高官の殺害であれ、インドの暴虐なレイプであれ、私たちは女性と女児に対する暴力を防止し、対策をとる努力を加速させなければなりません。それは道徳的責務であると同時に、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに向けて前進するためには必須のことでもあるのです。そのためには、民間部門のダイナミズムとイノベーションの力と強さが必要なのです。

 ご承知のように女性に対する暴力はミレニアム開発目標から外されています。グローバルなデータが限られていることが原因です。今度はそのようなことをさせてはなりません。女性と女児に対する暴力の規模・範囲を調べ、暴力の広がりを変え、私たちの対応策の効果を高めることが必要です。つい最近、国連統計委員会が女性に対する暴力の程度を測る9項目の普遍的な指標について合意しました。これらの指標がすべての国で使用され、報告されるよう皆様のご支援をいただきたい。そうなれば大きな違いを生み出せるでしょう。

 2015年以後の議題が真に改革をもたらし、構造的な不平等とジェンダーに基づく差別に取り組み、女性と女児に真の変化を確実にもたらすよう、私たち全員が一致して行動する責務を負っています。皆様の力を頼りにしています。民間部門やほかの組織の皆様とのパートナーシップを築き、強化して、女性と女児の権利を推進し、ジェンダー平等を前進させるよう期待しております。

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