UN Womenの7つの優先テーマ

  • 2014/02/07

UN Womenの7つの優先テーマ

人間開発と人権に関するあらゆる問題にはジェンダーの側面があります。UN Womenは女性の平等に欠かせず、広範囲な進展への道を開く7つの優先領域に重点を置いています。

1.女性のリーダーシップと政治参画

地方レベルから世界レベルに至るまで、女性のリーダーシップと政治参画は十分に果たされていない。女性は投票者として数が限られているだけでなく、非選挙民であれ、市民サービス団体であれ、民間部門であれ、学界であれ、リーダーの地位にある女性の代表は少ない。こうしたことは、リーダーや変革の担い手としての女性の能力が証明され、民主的な統治への参画の平等の権利があるにもかかわらず、起きている。
女性が政治的な場に参画するに際しては、二種類の障害に直面する。差別的な法律や制度による構造的な障壁のために、女性が投票し、あるいは立候補するという選択が制限されるのである。能力の格差があることは、女性が能率的なリーダーになるのに必要な教育や連絡機関、資源にアクセスする可能性が男性に比べて少ないことを意味している。
女性の政治参画に関する2011年の国連総会決議が記しているように、「世界中のあらゆる地域における女性が政治的な分野から著しく疎外され続けているのは、差別的な法律、慣行、態度、ジェンダー・ステレオタイプ、教育レベルの低さ、ヘルスケアを受けられないこと、および貧困が女性に与える影響が不釣合いに多いことの結果なのである」
個々の女性がこれらの障害を乗り越えて大いなる喝采を浴び、社会全体に恩恵をもたらすことはある。しかし、女性全体として、その活動の場が誰にでも与えられ、すべての女性に開かれた機会があるようにすることが必要である。

UN Womenの解決策

UN Womenのリーダーシップと参画に関するプログラムは、女性の参画に対する国際的な公約の歴史を指針としている。女性に対するあらゆる形態の差別撤廃条約は公的な場への女性の参画の権利を認め、北京行動綱領は平等な参画への障壁を取り除くことを求めている。またミレニアム開発目標(MDGs)は、議席に占める女性の割合をジェンダー平等への進歩を測る一助になるとしている。
こうした目標に向けて、私たちは女性の政治候補者の能力構築を支援し、ジェンダー平等についての投票者に市民教育を提供している。また、ジェンダー平等の提唱者が政党や政府などに女性をエンパワーする上で役割を果たすよう求めるのを支援もしている。さらに、若い男性や女性がジェンダー平等政策を公共政策策定の中心にしたいとする提唱活動に参加するよう促すイニシアティブもある。
UN Womenは、女性がーー投票者として、候補者として、非選挙民として、さらには市民社会の一員としてーー政治の世界に公正にアクセスできるために、新たな国家法や憲法の改革を行うことを提唱している。また、国連カントリーチームと協力し、市民社会と協働して選挙管理プログラムに取り組み、選挙に伴う暴力のない投票やキャンペーンができるなど、女性の権利を支援する選挙ができるように努めている。

2.女性の経済的エンパワーメント

女性の経済的エンパワーメントに投資することは、ジェンダー平等、貧困の根絶、包括的な経済成長に直接つながる道筋をつくることになる。女性は、ビジネスの場や農場においても、起業家や従業員としても、あるいは家庭で無償の介護作業をする場合においても、経済に多大な貢献をしている。
しかし、女性は相変わらず、貧困、差別、搾取によって、不釣合いなほどの悪影響を受けている。ジェンダー差別は、女性が最後まで不安定で低賃金の仕事に追われ、上級職に残るものはごく少数という形で終わることを意味している。また、そうした差別は土地やローンといった経済資産へのアクセスの権利を奪ってもいるほか、経済的、社会的政策を策定することへの参画を制限してもいる。しかも、女性は家事労働の大半を担っているために、経済的なチャンスを追い求める時間もほとんどない場合が多いのである。

UN Womenの解決策

女性の経済的エンパワーメントを支援する数多くの国際的な公約があり、例えば北京行動綱領、女性に対するあらゆる形態の差別撤廃条約、およびILO(国際労働機関)のジェンダー平等に関する協約などがそうである。UN Womenはこうした公約やジェンダー平等が経済の進展や持続可能な開発に重要な貢献をすることを示す数多くの証拠に倣って、女性の経済的エンパワーメントを支援している。
様々なパートナーと協働しつつ、私たちのプログラムは女性がまっとうな仕事を確保し、資産を蓄積し、成長と発展を決定づける制度や公共政策への影響を与えられる能力を促している。焦点を当てるべき重要な領域の一つは、女性の無償の介護労働を測定し、女性と男性がともに無償労働を有給雇用と組み合わせられるような対策を提唱することに関わっている。
私たちの経済的エンパワーメントに関するすべてのプログラムにおいて、UN Womenは、しばしば草の根組織や市民社会組織とかかわりを持ちつつ、支援を最も必要とする女性たちに手を差し伸べている。とりわけ疎外されがちなグループとして、農村女性、家事労働者、移住労働者、技能を持たない女性たちがいる。私たちの目標は、収入を高め、資源へのアクセスと管理を改善し、暴力から守ることを含む安全保障を向上させることである。

3.女性と女児に対する暴力の根絶

女性と女児に対する暴力は人権に対する重大な侵害である。その影響は、即時から長期にわたるまでの複数の肉体的、性的、心理的結果を女性や女児に与えることにまで及び、時には死を招くこともある。それはまた、女性の福利に悪影響を与え、女性の社会への完全な参加を阻んでもいる。暴力は女性にとってのみならず家族、地域社会、国家全体にとってもマイナスの結果をもたらす。ヘルスケアや法的な費用の増加から、生産性の損失にいたるまで、国家予算や開発全体にとって、甚大な損失を招くのである。
市民社会や女性運動につき動かされて、数十年前から、ジェンダーに基づく暴力撤廃は、各国や国際的な議題の上位に置かれたままである。前例のないほど数多くの国々が家庭内暴力や性的虐待をはじめとするさまざまな形の暴力防止の法律を備えている。しかしながら、こうした法律の施行を巡る課題がいまなお存在し、女性や女児の安全や司法へのアクセスは限られている。暴力防止のために行われていることはまだ十分とは言えず、たとえそれが十分なされたとしても、処罰されないままに終わる例が多いのである。

UN Womenの解決策

女性が暴力を受けない生活を送る権利は、「女性に対するあらゆる形態の暴力撤廃条約」のとりわけ「一般勧告12号と19号」および1993年の「女性に対する暴力に関する国連宣言」といった国際条約によって認められている。UN Womenはグローバルレベルで各国と協働し、国連総会や国連女性の地位委員会といった政府間プロセスで備えられている支援を通じて、国際的な規範の枠組みを前進させている。国別レベルでは、UN Women は各国政府が国際基準に則って法改革を採用し、立法化するのを支援している。
私たちは各国政府、国連機関、市民社会組織その他の組織とパートナーを組んで、暴力の根絶、暴力の原因と結果についての認識の向上を提唱し、暴力の防止とこれに対応するためのパートナーの能力構築を進めている。また、男性や男児の規範や行動を変化させる必要性を促し、ジェンダー平等と女性の権利を提唱している。さらに、UN Women は、暴力被害者の安全、シェルター、健康、司法、その他に関わる基本的サービスに関する質の高い、多部門にわたる対応へのアクセスを拡充するための支援も行っている。政策指針は暴力防止への投資を、最も費用効果の高い、長期的な暴力根絶に向けた手段へとステップアップさせる助けになっている。
私たちは、各国政府と協力して、女性に対する暴力の防止と取組みのための国家行動計画を策定し、持続的な意義深い行動に必要な多様な活動家間の連絡を強化している。UN Women は、暴力の問題を2015年以後の開発課題といった重要な国際的、地域的、国家的枠組みに組み入れることを提唱してもいる。

4.平和・安全保障と女性

紛争は男女の差別を拡大するなど悲惨な結果をもたらし、身を守る術を持たず、子どもを抱えた女性が難民人口の大半を占めることになる。性的暴力などの戦術は特に女性をターゲットにしている。女性たちが平和運動を主導し、紛争後の地域社会の復興に力を尽くすことはあっても、和平交渉に加わることはほとんどない。紛争後の再建から女性が締め出されているということは、復興を手にし、人権侵害を正し、法律や公共機関の改革に加わる機会を制限されているということである。

国際社会は女性の参画が和平の構築と維持に欠かせないことを認識している。女性は変革の立役者になれることが証明されており、より多くの活動ができるようになされるべきである。2000年に国連安全保障理事会は女性、平和、安全保障に関する歴史的な決議1325を採択した。この決議は女性が平和構築に参画し、人権侵害から守られ、差別撤廃に向けた司法やサービスにアクセスできることを求めている。

UN Womenの解決策

UN Womenの女性、平和、安全保障に関するプログラムは、女性の権利実現へ向けた一連の公約を指針としている。これには決議1325とこれを支える6件の国連安全保障理事会決議―1820、1888、1889、1960, 2106, 2122―が含まれる。このほかの参照すべき鍵は「北京行動綱領」と「女子差別撤廃条約」である。

UN Womenは女性が紛争防止と解決のための意思決定に参画し、影響を与えられるように世界中で活動している。私たちは、女性がジェンダー差別をなくし、暴力によらない紛争解決を実現できる、より包括的で平等な社会を目指して和平構築全般に従事できるよう支援している。

私たちのプログラムは女性が平和のための連係をし、和平構築の過程に参加できる備えを促している。また、平和維持活動要員にも働きかけて、紛争関連の性的暴力を見つけてやめさせるよう支援している。他にも女性・女児を暴力や差別から守る司法や安全保障に関する制度や女性のニーズに十分応えられる公共サービスを支持し、女性の経済的チャンスの活用を高め、女性があらゆる形の国家および地域の意思決定にかかわれるよう支援している。

5.ガバナンス・国家計画と女性

国家の計画・政策・制度・予算は、政府がジェンダー平等にむけて、女性に関する様々な公約を実際の進歩に転換できる分野である。しかし、これらのいずれにおいても、女性のニーズや優先項目に応えられるような公的サービスとするための施策を見過ごしている場合が多い。

ガバナンスにおけるこのような側面をジェンダー平等の視点から見るということは、国家の計画・政策・制度・予算がジェンダーに関して中立であるという従来の考え方を脇に置くということである。こうしたことによって、ジェンダー格差を総合的に考察し、それをなくすための行動を見極めることができる。ジェンダー平等を推進するための変革は、十分な資金によって裏打ちし、ジェンダー差別の減少状況を系統的にモニターすることが必要である。

UN Womenの解決策

UN Womenはジェンダー平等実現へのスピードを加速できるあらゆる側面のガバナンスを進めている。私たちは、国家開発戦略とジェンダー平等計画の溝を埋めるよう手助けしている。公共制度を改革するために、公務員の能力を開発して計画や予算にジェンダー平等施策を組み入れ、監督のための評価指標を選定するといった支援策をとっている。

私たちはジェンダー平等のために、男女ともに十分な資金を回せるジェンダー対応型予算の策定などによる、透明性のある適正な公共財政を提唱している。ジェンダー平等の提唱者と協働することで、彼らの活動が公的意思決定に影響を与え、政府に説明責任を求めるスキルの向上を助けることができる。私たちは、国連総会、国連女性の地位委員会などの場で、ジェンダー平等に向けた資金調達のためのより強力な枠組や公共部門の能力と説明責任の強化を支援する中心的な役割を果たしている。

私たちの多肢にわたるパートナーとしては、財務、計画などにかかわる省庁、地方政府、国会議員、各国の女性機関、市民社会グループ、学術組織がある。また援助団体にも働きかけて、その政策や連絡の仕組みがジェンダー平等実現を目指せるよう支援もしている。

6.2015年以後の開発課題と女性

ミレニアム開発目標(MDGs)の2015年の達成期限が近づき、国連加盟国、国連システム、市民社会団体、学界、研究機関は、2015年以後の開発課題のあり方や優先順位を模索する広範な活動を行っている。

MDGsには、国際的に合意された8項目の具体的な目標が、達成期限と進捗状況を計る指標とともに盛り込まれている。即ち、貧困の撲滅、教育、ジェンダー平等と女性のエンパワーメント、幼児死亡率の削減、妊産婦の健康改善、HIV/エイズや感染症の削減、環境の持続可能性、開発のためのグローバルなパートナーシップの構築、である。

MDGsの進捗状況が検討された2010年の国連総会ハイレベル会合では、各国政府はMDGs達成に向けた努力を加速させるだけでなく、2015年以降の開発課題を進める方法についての新しい考え方をも求めた。

これが現在進行中の2015年以後の開発課題に関する討議の出発点となっている。国連が世界の開発目標をまとめあげ、全ての政府並びに市民団体から民間セクター、学界、研究機関、慈善団体、国際機関に至る幅広いステークホルダーの見解をテーブルに載せるうえで、最も包括的で総合的な基盤であることが、広く認められている。

更に、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」では、持続可能な開発目標(SDGs)について、30ヶ国から成るオープン作業部会(OWG)を設置した。OWGは、ハンガリーとケニアの常駐代表が共同議長を務め、現在は情報収集と現状把握にあたる段階にある。そして2014年春に、説明文の草案作成とSDGに対する提案書の討議を開始し、2014年9月の国連総会に報告書を提出するものと思われる。

リオ成果文書は、「持続可能な開発の財務戦略に関する政府間専門家委員会」の設置をも求めており、同委員会は、2014年9月までに、効果的な持続可能な開発の財務戦略の選択肢に関する報告書を提出する予定である。

2013年9月25日には、MDGs達成に向けての一日がかりの特別イベントが行われた。加盟国は短い成果文書を採択した。これはMDGs達成に向けた優先的手段に焦点を当てた、2015年以後の開発課題のロードマップとなるものである。国連事務総長も、「ミレニアム開発目標に向けての進捗を加速させ、2015年以降の国連開発課題を進める」と題する報告書を提出した。

国連システムの役割

国連システム・タスクチーム:2011年9月、パン・ギムン国連事務総長は、2015年以後の開発課題についての国連システム全体にわたる準備の連絡調整をするために、「2015年以後の国連開発議題に関する国連システム・タスクチーム」(国連システム・タスクチームとも呼ばれる)を設置した。今日では、国連経済社会局(DESA)と国連開発プログラム(UNDP)とが共同運営するタスクチームは、60以上の国連機関、事務局をはじめとする国際組織を結びつけている。UN Womenもタスクチームの一部である。

リオ成果文書は、国連システムに対してOWGへの技術支援を提供するよう求めている。技術支援チーム(国連タスクチームによって設立された)は、OWGがカバーしているテーマ別分野についての問題点の要約を作成している。国連タスクチームはまた、持続可能な開発のための、モニタリングと目標設定、グローバル・パートナーシップ、財務を担当する作業部会も設置した。

国連開発グループ(UNDG)は、そのMDGタスクフォースを通じて、80カ国以上の国家間の対話を促進し、複数のステークホルダーが関与するグローバルなテーマ別(不平等性、健康、教育、ガバナンス、紛争と脆弱性、成長と雇用、環境の持続可能性、飢餓、栄養と食糧確保、人口動態、エネルギー、水資源)の11の協議会を開催してきた。2013年9月10日に、UNDGは、国連全加盟国193ヶ国の130万人が参加した公開協議と調査の結果をまとめた報告書「100万人の声:私たちが望む世界」を発表した。

7.HIV /エイズと女性

ジェンダー不平等はHIVエイズの蔓延をさらに拡大させる。感染率を高め、女性や女児がこの疫病に打ち勝つための能力を削いでもいる。女性と女児がHIVエイズについての情報を得られることは少なく、予防措置を講じる資金を手にしにくい場合が多い。また、男性との力関係が平等でないために、女性たちがより安全なセックスの交渉をする上でも障壁がある。性的暴力や広範囲におよぶ女性の権利の侵害も、HIV 感染の危険性を高めている。結婚が、とりわけ若い女性にとって危険因子になりうるという証拠も示されている。
恥辱を受け排斥されることと戦いながら生きている多くのHIV陽性女性は、権利を持てないために、一層惨めな状態に置かれている。また、HIVで未亡人となった女性や陽性の女性は、彼女たちの権利を支援する司法へのアクセスも限られていることから、姻戚関係者との財産紛争に直面する度合いが高い。女性はHIVに感染しているかいないかに関わらず、AIDを患いあるいは死にかかっている病人や残されて孤児となった子どもの介護の重荷を担う例が多い。これが、ひいては教育や雇用の可能性を減らす結果となるのである。

UN Womenの解決策

UN Women はジェンダー平等と人権の視点を女性とHIV エイズに関する活動に取り入れている。そして私たちは、女性に対する暴力、法的権限の拒絶、政策決定への限られた参画といった病弊を促す要因に明確につながる戦略を先頭に立てている。私たちの最も重要な戦略の一つは、女性をエンパワーし、その権利を保証して、自らを感染から守り、恥辱に打ち勝ち、治療と介護と支援の機会を高められるようにすることである。
私たちのプログラムは、HIV陽性の女性がこの疫病に対応するためのあらゆる意思決定の場や対策にリーダーシップを取り、意義ある参加を促す戦略を活用して、彼女たちの発言力を高めるのを支援する。また、ジェンダー平等と女性の権利を戦略、政策、予算、制度、説明責任の枠組みに取り込む道筋を探ってもいる。私たちのイニシアティブの中には、HIV と女性に対する暴力との数多くの相互作用に取り組むものや、HIVの背景のなかで重要な財産や相続の権利に焦点を置きつつ、女性の司法へのアクセスを高める問題に取り組むものもある。
私たちのプログラムが指針としているのは、「2011年のHIV エイズに関する政治宣言:HIVエイズ根絶のための我々の努力を強化する」「女性に対するあらゆる形態の暴力撤廃条約(CEDAW)」「北京行動綱領」「ミレニアム開発」といったグローバルな規範と基準である。
2012年に、UN Women はUNAIDS(国連合同エイズ計画)の11番目の共同スポンサー機関となり、ジェンダー平等をHIVエイズに関するグローバルな対策の中心に置く方向に向けた重要なステップとなった。

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