民間・ボランタリー部門の資金を動員 UN Women戦略

  • 2012/10/30

民間・ボランタリー部門の資金を動員し、パートナーシップを築くためのUN Women戦略

要約

UN Womenの成功は社会全体を巻き込めるか否かによる。 民間部門や社会全体は、将来の繁栄のために万人の、とりわけ女性の声を反映させることが必要だと認識している。今日、特に女性は系統的な環境・社会的・経済的変化を導く重要な役割を果たしているとの認識も高まっており、これらの変化を実現し、その持続性を維持するために、政府と民間部門が一致結束することが必要である。
民間・ボランタリー部門を巻き込む――主要な目的
UN Womenが民間・ボランタリー部門の支援を巻き込む目的
UN Womenのニーズと目的を民間部門の専門知識と資金と結びつける
年間収入源を多様化して、運営面とプログラムの支援体制を築く
民間部門と非伝統的な聴視者に、女性のエンパワーメントとジェンダー平等を推進するうえで果たす彼らの役割についての認識を高めさせる
民間・ボランタリー部門とのパートナーシップの傾向
慈善活動は、2008年~2009年には世界的な経済停滞のために減少したものの、過去50年間ほとんど毎年増えている。世界的にも慈善活動は増えており、慈善団体の設立件数は、とりわけヨーローパ、中東、アジアでかなり増えている。
世界の緊急を要する環境、人道的、社会的問題は、公民両部門の利害関係者の結束した努力を必要としているとの認識から、新しいモデルの法人の慈善活動やパートナーシップが急速に増えている。
支援の可能性は高いとはいえ、民間・ボランタリー部門の支援を活用する能力はターンキーになり得ていない。この種の資金提供を求めている組織は急速に増えていて、アメリカだけで登録されている非営利団体は100万を超えている。慈善活動は競争の激しいビジネスになっており、ドナーは、自分たちの寄金と引き換えに高度の関わりを期待し、透明性、効率性、成果を要求している。
民間部門は、資金提供だけでなく、価値ある専門知識や資力を提供する。
企業、財団、慈善活動家は資金提供の理由ではなく、問題解決を求めている。ここに、UN Womenが女性のエンパワーメントとジェンダー平等を進めるために官民をパートナーシップに巻き込むチャンスがある。とくに企業と協力して、UN Womenは必要な知識、能力、現物資金、さらにはUN Womenの使命を前進させうる企業文化を提供できる企業との提携を求めるべきである。たとえば、すぐれた技術会社は女性への呼びかけに強力なビジネスチャンスがあると関心をもっている。この部門の適正なパートナーを選ぶことによって、UN WomenはICT, SMS(ショートメール・サービス)といった技術をてこにして、女性をより効果的に、またUN Women独自ではなし得ない規模でエンパワーさせることができる。見返りに、企業のほうでは、グローバルな女性の市場を開拓することによって、自分たちのビジネス目的を達成できる。
UN Womenの強みと課題
UN Womenのスタッフ、慈善活動の専門家、女性の提唱活動リーダー、法人幹部などとの59回におよぶ協議によって、UN Womenが民間・ボランタリー部門とのパートナーシップを築き資金動員をはかる上での強み、弱点、チャンス、脅威(SWOT)を分析した。
その結果、UN Womenの最大の強みは、女性のエンパワーメントとジェンダー平等に取り組む世界的に筆頭に立つ、最も求められている組織であることがわかった。しかし、UN Womenの幅広い包括的な使命を、企業や個人ドナーが応えうる明白かつ具体的な支援のケースに置き換える上で難点があることが重要な課題となっている。さらに、有意義な民間部門パートナーシッププログラムを作るためのスタッフ能力と専門知識の欠如も最大の弱点である。
明白なvalue proposition(当組織の価値の提示)、case for support(支援の事例) brand position(当組織の特異な優位性、存在価値)を明示する
民間・ボランタリー部門の支援を取り込むためにUN Womenに必要なことは、女性のエンパワーメントを進めることの明白な価値を、同じくジェンダー平等推進に努めているほかの組織の努力を補うような方法で、明示することである。
UN Womenとその特定プログラムへの支援が必要だと納得させるには、ドナーからの寄金がどのように使われて効果をあげているかを実証して見せることも必要である。そのために、UN Womenはその中核となる優先事項をまとめて、資金動員目標と結びつけることが必要である。納得できる使命を提示されたなら、ドナーを思考する側は、自分たちの組織が具体的なプログラムによって世界の女性により効果的に影響を与えうると確信して、UN Womenを支援することが見込まれる。
信託基金と女性に対する暴力根絶プログラム(安全な町、Virtual Knowledge Center, Emergency Services Package)は、民間・ボランタリー部門のドナーにとって、UN Womenの明白に定義された支援要請[製品]である。資金提供のための内部競争を生じさせ、ドナーのフラストレーションや離反を起こさないようにするための、資金動員の共力を誘う手法も必要である。
既存のドナーは成長の可能性があるが、危うい側面もある
最小限のスタッフと支援で、UN Womenは現在年間150万~300万ドルの寄金を非政府組織から得ている(うち75万ドルが国内委員会から)。この関係をさらに進める能力へある程度の投資をすれば、この収入は増えると思われるが、追加の投資をしなければ、この関係は危うくなる。UN Womenがこの関係を管理するスタッフが不足しており、ドナーや支援者から、UN Womenの対応の悪さへの不満や、自分たちの支援が重要視されているのかどうかといった懸念の声が聞かれる。
優れた企業や慈善活動家は強い関心を表明しているが、その支援を吸収するUN Womenの対応能力には限界がある。
UN Womenの発足以来、数多くの企業、たとえば、ジョージ・ソロスのオープンソサエティ、ロックフェラー財団、コカコーラ、ペプシコ、クラフト、プロクター&ギャムブルから数多くの問い合わせが寄せられている。これらのドナーは、うまく取り込み、開拓すれば、かなりの寄金をしてくれる可能性がある。しかし、これらの機会を効率的に管理するシステムやスタッフがいないために、時宜を得た資金提供の提案が作成出来ずに、支援の申し入れを逃してしまいがちだった。
UN Womenの主要な地域活動への民間部門の関心は、南と南の協力強化を促しうる。
協議をした地域、サブ地域事務所は、民間部門の支援への関心と可能性を示唆しており、とくに東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジアの中所得国/地域がそうである。
クラフトフード、マスターカード、シスコ、ペプシコといった優れたグローバル企業は、いずれも地域・サブ地域レベルで、接触を開始した。同様に、地域企業はUN Womenを支援することに定期的に関心を表明しており、台頭してきた市場を持つ企業を通じて南と南との協力を活性化させる可能性を示している。
しかし、これらの地域・サブ地域事務所の話では、本部に、専門のスタッフの欠如による制約や、面倒な承認手続きがあるために、数多くのチャンスを逃しているという。南と南とのパートナーシップを活性化させるために、地域の民間部門開発スタッフと能力の必要性が求められている。
能力と連絡調整への投資が、大きなチャンスの逸機を防ぐ鍵
民間・ボランタリー部門開発を進め、管理するのに必要なスタッフ、専門知識、能力への投資、パートナーシップ、資金動員についての総合的な戦略と手法がなければ、チャンスを失う度合いは大きい。適正な開拓によって、現在のドナー/パートナー(エイヴォン、ジョンソン&ジョンソン、ロックフェラー財団、ゾンタインタナショナル)、関心を示している有望なドナー候補(オープンソサエティ・インスティテュート、コカコーラ、マイクロソフト、グーグル、インテル)は、UN Womenが2013年度女性のエンパワーメント・セクター資金動員目標を前進させる資金と能力を増大するための、大きな可能性を備えている。
資金提供のほかに、これらの組織、中でも企業は、UN Womenの中核目的の支援に結び付けられる技能、専門知識を提供することができる。とりわけコカコーラは、従業員と顧客として、またビジネスに影響を与えるものとしての女性の重要性を認識している。この点で、UN Womenはコカコーラのような企業と協力して、女性の経済的エンパワーメントを著しく増大できる。この場合の鍵は、UN Womenが女性の経済的エンパワーメントのニーズ、チャンス、課題を反映する目標と目的を設定すること、そして、それらの目標や目的を、コカコーラのような企業が製造、販売、マーケティングなどで備えている適正な技能や資源と結びつけることである。
同様に、UN Womenは、その中核目的と密接につながる産業部門の企業とのパートナーシップを優先することを求めるべきである。たとえば、技術部門との協力によって、UN Womenは、データ管理、コミュニケーションを支援する企業としての専門知識をてこにすることができる。またそれは、女性、特に農村女性が技術インフラ(ブロードバンド、SMSなど)を利用できるようにさせることにもつながる。更に、食品、農産業は、農業部門での女性の経済的エンパワーメントを高める機会も与える。
推奨される戦略的綱領
下記は、可能性の高い民間・ボランタリー部門資金動員基盤を確立するのに必要な戦略ステップである。
支援の必要なことを納得させるケースを明らかにし、介入策を明記する
強力なvalue propositionとbrand positionを確立する
戦略的中核優先事項と協調する具体的なプログラムパッケージを策定する
既存の民間部門エントリーポイントをてこにする
集合的かつグローバルなインパクトを与えるための地域戦略を開発し、民間・ボランタリー部門支援動員のための南と南との参加を促すことを探る
民間・ボランタリー部門のコミュニケーション戦略を策定する
パートナーシップへの資金投入
情報共有するパートナーシップに伴うスタッフ要員費用と資金はかなりの額になる。投資への適正な利益を確保するためには、パートナーシップに、パートナーシップそのものの管理、スペシャリストからの技術支援、UN Womenの能力への投資を賄う企業資金提供が必要である。

UN Women日本国内委員会理事 平野和子訳
2012年9月11日配信

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