映画に描かれた女性のイメージとは

  • 2014/09/28

映画界が男女差別を永続化?!

「メディアにおけるジェンダー」ジーナ・デイビス研究所、UN Women, ロックフェラー財団は史上初めて映画のジェンダーイメージ研究を発表した。(2014年9月22日、ニューヨーク発)
映画に出てくる女性登場人物の国際的研究が史上初めて実施され、映画界による根深い差別、女性の誤ったステレオタイプ化が明らかになった。研究を実施したのは南部カリフォルニア大学、 コミュニケーション・ジャーナリズムアネンバーグ校のスターシー・L・スミス博士とその研究チームである。研究ではオーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、ロシア、韓国、アメリカ合衆国、英国などが分析された。

女性は人口の半分を占めているにも関わらず、女性はセリフのある登場人物の3分の1しか占めていない。また女性は映画産業の4分の1以下しか占めておらず、大部分は高い地位についていない。企業、政界、科学技術、工学、数学分野では女性はわずか15%以下しか占めていない。

日本は女性の主役、準主役では平均値の23.3%より高い40%を獲得している。ただ分析したサンプルの中ではジェンダーのバランスが取れている映画は一つもなかった。監督など制作側の率も低く、平均が男性3.9人に対して女性1人なのに、日本は男性9.5人に対して女性1人であった。

「わかったことは女性が世界中で社会のほとんどどの分野で過小評価されているということです。これは映画界だけに限ったことではありません。私たちはただそれがどんなにひどいかに気が付いていないだけなのです」と「メディアにおけるジェンダー」ジーナ・デイビス研究所の創設者であり、会長のジーナ・デイビス氏は述べている。

彼女はこうも続けている。「でもメディアイメージは私たちの認識の仕方に良い影響を与えることもできます。映画を作る時、未来はどうなるかの描き方を変えるのです。現在世界中で女性CEOは極端に少ないですが、映画にはたくさん出てきます。どうすれば少女たちが科学、技術、工学などのキャリアを選んでくれるようになるでしょうか。科学・技術・工学・数学、政治、法律などを仕事にする女性を映画に登場させることが助けになるのではないでしょうか」

高度な専門職のステレオタイプ化が女性に閉塞感を与えている。この分野の男性登場者の数は女性をはるかに上回っており、弁護士・裁判官では13対1、教授では16対1、医者では5対1である。映画では少女や女性は、少年や男性とくらべ2倍以上も裸や性的な服装で登場する確率が高い。スターシー・L・スミス博士は「少女や女性の価値を考える時、このような結果は単に映画の問題でないことがわかります。我々は人間の問題に直面しているのです」と述べている。

女性・少女への差別は世界的に見られるが、国によってかなりの違いがある。最も進んでいるグループ(英国、ブラジル、韓国)はセリフを言う登場人物の37.9-35.9%が女性である。英国・合衆国共作やインド映画は最低に位置し、それぞれ23.6%と24.9%である。韓国の映画は半分が女性の主役、準主役を登場させており、中国、日本、オーストラリアも40%登場させている。

「20年前、189の政府が北京行動綱領を採択し、メディアに女性のステレオタイプ化や尊厳を損なうような表現を避けるよう呼びかけました。20年たった今この研究は目覚ましコールで、映画界がゴールに達するにはまだ時間がかかることを示しています」とプムジレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長は述べている。

調査したフィルムでは、制作側(監督、ライター、プロデューサー)の4人に一人は女性であった。しかし女性監督やライターが携わると、女性の登場人物が格段に増えている。ジェンダー不平等を是正する一つのやり方は女性の製作者を雇うことだろう。このほか、映画会社経営陣にスクリーン上のジェンダー不平等やステレオタイプにもっと敏感になってもらうという手もある。

この研究の主要な調査結果は以下のとおりである。

  •  セリフのある登場人物のうち女性はわずか30.9%しか占めていない。
  •  何か国かは国際平均以上である(英国37.9%、ブラジル37.1%、韓国(35.9%)。しかしそれでも人口比率の50%には遠く及んでいない。
  •  女性はアクションや冒険映画に出ていない。このジャンルで女性登場者はやっと23%にしか達していない。
  •  ジェンダーがわかる1,452の映画のうち20.5%が女性で、79.5%が男性であった。またサンプルとして使った映画の中で、監督の7%、ライターの19.7%、プロデューサーの22.7% が女性であった。
  •  世界的に見て女性登場人物は性的に描かれるのが一般的である。女子・女性は、男子・男性に比べ、薄物を羽織ったり、裸だったりして性的に扱われる率が2倍も高い。また“魅力的”と表現される率は5倍も高い。若者向けの映画は、より年齢の高い聴衆向けに作られた映画に比べ、女性を性的に扱っていない。
  •  リーダーの地位には男性役が就くことが多い。女性がついているのは取締役のわずか13.9%、トップ政治家の9.5%である。

報告書全文(英語は)www.seejane.orgで見られる。

国連ウィメン日本協会 理事 本田敏江 (抄訳)

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