大地震後のネパールの最新情報をお届けします

  • 2015/06/22

●「ネパール大地震、1か月後の現状」

●「復興に向けて立ち上がる」

●「ティグニティー・キット(女性の尊厳を守る日常品キット)を手にした人からの感想」

ジェンダー平等速報 ネパール地震対策、組織間ジェンダー問題特別委員会

特別号―1カ月後の現状/2015年5月25日

災害はすべての人に分け隔てなく降りかかるが、それによって受ける影響の度合いは女性・男性・女児・男児でそれぞれ異なる。ネパールでは、女性、中でも独身女性・女性戸主世帯・女性障害者・高齢女性は、救援・情報入手の面で差別を受けているとの報告がある。男性は、家族を扶養するというこれまでの家長としての役割を果たすことができないために、重度のストレスに悩まされ、それが、薬物乱用・その他の危険行為の増大に繋がっているといわれている。しかしながら、女性たちが受けた影響は、あの地震の大きさには不釣合いなほど、小さいものだ。自分たちを単に被災者として見るだけなら、自らの脆弱さを増幅させるに過ぎないと思っているからだ。女性には、救援や復興のどのレベルでも重要となる知識・人間関係・実用的技能がある。人道的対応のあらゆる段階で、性別・年齢・性的指向・ジェンダー・階級・民族・能力に基く差別がないということが、必要不可欠である。また、これらの活動の有効性を監視する仕組みに加え、進行中の救援・復旧活動のあり方を決定するための、話し合いや政策決定プロセスも必須条件となる。

1ヶ月を振り返って:地震の余波
今後に向けた動き:救援・復旧・再建

  • 女性・男性・女児・男児それぞれのニーズが―安全・健康・各種サービスの利用を含め―、災害リスクの分析と災害後リスクの評価の中に組み込まれなければならない。一方では、彼らの尊厳に関わる権利も認められなければならない。すべての女性・女児が皆同じように弱者というわけではないし、同様に男性や男児がすべて弱者でないとは限らない。
  • 共同体の意見を聞く際は、それらの共同体を代表する、異なる民族グループや社会階層の人を参加させるだけでなく、男女も共に参加させる必要がある。
  • 意見を述べる際、資格を問題にされる可能性がある弱者グループを特定する必要がある。女性と子供たちを「弱者」グループとしてひとくくりにすることは避けるべきだ。
  • 社会構造が崩壊し、暴力が拡大しているため、女性・女児が性暴力・ジェンダーに基づく暴力の被害者になったり、搾取されたりする可能性が増すのを防止する措置を講じる必要がある。それと同時に、男児や男性の中の弱者がそのような暴力の犠牲になることも見逃してはならない。
  • 休息を取ったり、心理社会的カウンセリングを受けたり、子供たちが遊んだりできる、安全な場を提供する必要がある。
  • 障害者・高齢者、特に女性に特有のニーズに関する正確な情報を入手するため、それらの人たちが、評価・確認・登録手続きに確実に含まれるようにする特別措置を講じる必要がある。

翻訳:上田恵美 UN Women提供「GENDER EQUALITY BULLETIN」より抜粋

 

復興に向けて立ち上がる

2015年5月27日付け
ツェリング・コングツァ記

二つの壊滅的地震と数えきれないほどの余震がネパールを揺さぶってから、2週間以上になる。私の生まれ育った首都カトマンズが、土ぼこりと瓦礫に覆われているのを見た時、私は、世界中の人たちと同様に恐怖におののいた。ニュースやソーシャルメディアで大々的に報じられてきた、破壊・苦しみ・喪失感・悲しみの観念から逃れることはなかなかできない。しかし、それと同様、ネパール国民の強靭さと、これまでより更に強固な国家再建に向けて立ち上がる回復力や心意気を、見逃すこともできない。

連携機関の多くの地元ボランティアと共に「救援品一式」を準備中の国連ウィメン職員

連携機関の多くの地元ボランティアと共に「救援品一式」を準備中の国連ウィメン職員

【復興に向けた動きが始動】
「ネパールが復興に向けて立ち上がるのを、新世代が助けてくれるだろう」は、多くの人から繰り返し聞かされた言葉だ。その通り、彼らは立ち上がって再建するだろう。ネパール国外からの救援が殺到する中、地震直後からの日々、地元の人々が男女を問わず団結して、互いに助け合うのを目の当たりにするのは感動的なことだった。支援の必要性と助けたいとの思いから、一夜の内に、多くの自主的な支援団体が生まれた。地元の若者たちは、遠隔地の村に救援物資を配り歩き、ボランティアは一時避難所を立ち上げ、子供たちは募金活動をし、救助隊は昼夜をおかずたゆみなく働いた。復興に向けた動きが、まさに始動していたのだ。

【女性たちが被災者の先頭に立って活動中】
私が最も心打たれたのは、被災後、ネパール女性たちが先頭に立ち、男性と互いに協力し合って活動している姿だった。私のいとこは、普段は家に籠もっている二児の母であるが、支援食糧を集め地元の孤児院でボランティアを始めた。新米ママや大学を卒業したばかりの私の友人は、救援物資を集め、他の大学生と共に地震の被災者を助けるためにあちこちの村に出かけた。孫のいる65歳の私の叔母は、水を集め、救助隊に配った。これらの類を見ない女性たちや数え切れない多くの人々は、復興活動を支援・主導するネパール女性の強さとひたむきさを示す典型的な例である。
自然災害が起きた時には、女性は最弱者グループに入るのが普通だ。地震後の数日間、病院・医療従事者・医薬品の利用はできないか、制限されるかしたため、妊婦や出産直後の女性は、大切で安全な医療サービスや出産前後の看護を受けられず、特に大きな危険にさらされた。彼女たちは、今なお危険な状況におかれたままだ。地震災害によって、多くの女性・女児が何の支援も受けられず住む所もないまま、人身売買の標的になり易い状況にある。女児は、大災害を目撃し家族・友達を失ったことで、心理的トラウマに直面している。高齢女性も見捨てられる可能性・健康問題で、潜在的に著しく危険な状態にある。

今回の地震の結果、女性に特有の問題のいくつかがすでに生じている。女性たちは、女性独自のニーズへの取り組みで先頭に立ち始めた。ネパール国内の様々な共同体で、女性が主導する地元グループが、国際機関―国連ウィメン・国連人口基金・世界女性基金・国連児童基金・その他多くの民間機関―と共にすでに活動を開始している。
言うまでもなく、これは簡単な任務ではないだろう。しかし、単に傍観者でいることでよしとするネパール人女性はもはやいない。高学歴の現代的都会女性であろうと、無学の農婦であろうと、主婦であろうと、誰もが自分の共同体や地域の再建に対等な役割を果たしたいと願っている。女性たちには、自分の兄妹や国を助けるための技能・意欲・ひたむきさがある。ネパールの女性たちにとって、このように緊急に参加・主導する必要がある状況は、これまで一度もなかった。今回は女性たちが喜んで先頭に立つ好機となっている。

【逸話】
私は、ネパールのいとこと、電話のつながりが悪く雑音が混じる中で話していた。二児の母である彼女は、ネパールとチベットの国境にある遠隔の村―そこで、昔、彼女の祖母が尼僧をしていた―に行くつもりだという話を、私にしたところだった。その女子修道院は地震で壊滅的な被害を受け、多くの人が食糧も避難所もない状況に置かれていた。私のいとこは救援物資を集め、5人のポーターを雇い、彼女の兄弟たちと救援に向かう予定だった。女子修道院にたどり着くには、通常のルートだと、車で国境まで行き、そこから山間の道を2日間歩くという行程だ。地震後は、道路状況がはっきり分らなかった。「本当に行きたいの?まだ余震が続いているのだから、そこに着くのにどれ位かかるか分らないでしょ?」と私は尋ねた。「そこまで行くのはまだすごく危険よ。もう少し待ったほうがいいんじゃないの?」「ツェリング、もし今がだめなら、いつならいいの?」と彼女はネパール語で答え、自信に満ちた声でこう言ったのだ。「すべてのネパール人にとって、復興に向けて立ち上がる時は今なのよ。」

【結論】

適切な動機付け・自信・支援があれば、女性は何でもできる。私のこの手記は、1300万の強いネパール女性の真実の姿だ。ネパールが立ち上がるのを助けるのは、強いネパール女性の新世代であろう。より良き強固なネパールの復興を目指す活動の中で、女性たちが有益な役割を果たすだろう。その歩みはすでに始まっている。

翻訳:上田恵美 UN Womenより提供 Asia and the Pacific♯Nepal Quake Relief UPDATEから抜粋

 

UN Womenのネパール地震への人道的対応より抜粋

~ディグニティー・キット~

ディグニティー・キット:UN Womenはすでに5000個のディグニティー・キットを配布しました。ディグニティー・キットは緊急時に女性に必要な衣類や衛生用品を提供し、これによって女性たちは衛生を保ち、尊厳を失わずに済みます。

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【60歳代の女性の場合】
ナンサガ・クマリ・タマングはカトマンズ近郊のゴダワリ村に夫と一緒に住んでいる67歳の女性です。彼女の家は地震で壊れ、二人は現在UN WomenのパートナーであるSAATHI(女性への暴力根絶を目指すNGO)から提供されたテントで暮らしています。「ディグニティー・キットは避難生活の中でとても役に立ちました。私は弱っていて走ることもできず、家の中に入るのが怖かったです」とナンサガは言っています。「家の中にあった洋服や身の回りのものはすべてなくなりました。だからディグニティー・キットの中の洋服はとてもありがたかったです。おかげで地震の約1週間後には清潔な洋服を着ることができたのですから」

【20歳代の女性の場合】
シリシャ・タマングはゴダワリに住む21歳のシングルマザーです。彼女の家は崩壊してがれきの山となり、今は家族と一緒にトタン板の家に住んでいます。「夜中にひとりで外のトイレに行かなくてはならず、いつも怖い思いをしていました。その時に太陽光ランプが身の安全を守るのにどんなに役に立ったかわかりません」とシリシャは語りました。「ディグニティー・キットに入っていた石鹸、タオル、粉石けんなどもとても役立ちました。なにしろ市場でこういうものを買うお金がないのですから」

UN Women HUMANITARIAN Response to The NEPAL Earthquakeより抜粋 2015.6.11 UN Women提供

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