グラスルーツサッカーで暴力根絶に向けて少女たちがキックオフ

  • 2015/06/26

グラスルーツサッカーで暴力根絶に向けて少女たちがキックオフ

日付:2015年6月2日
プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長がカエリチャにあるプライマリースクールを訪問し、男性4人が設立したスポーツを主体としたプログラムの成果を見学しました。このプログラムは少女たちのエンパワーメントを後押しし、女性への暴力の問題に取り組むものです。

グラスルーツサッカーで暴力根絶に向けて少女たちがキックオフ
2015年6月2日

ケープタウンのカエリチャにあるヨメレラ・プライマリースクールで国連女性に対する暴力撤廃信託基金(UNTF)が支援するグラスルーツサッカーのスキルズ・ストリートの活動を見学するプムジレ・ムランボ‐ヌクカUN Women事務局長 撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

ケープタウンのカエリチャにあるヨメレラ・プライマリースクールで国連女性に対する暴力撤廃信託基金(UNTF)が支援するグラスルーツサッカーのスキルズ・ストリートの活動を見学するプムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長
撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

風が吹く日の午後、南アフリカのケープタウン最大のタウンシップ(非白人居住地域)であるカエリチャで、ヨメレラ・プライマリースクールに通う10~14歳の少女100人以上がサッカーをするためにコンクリートの「ピッチ」に集結しました。20人のグラスルーツサッカーのケアリングコーチが、簡易のゴールが設置されたピッチのサイドから少女たちに指示を出し、声をかけて励まします。

14歳のヤムケラ・ヌクウェニソさんは、カエリチャで生まれ育ちました。ここでは毎日が困難の連続であり、構造的貧困、蔓延するHIV/AIDS、未整備の社会インフラという環境の中で生活しています。ヤムケラさんは昨年、グラスルーツサッカーのスキルズ・ストリートのプログラムを卒業し、そのままこのチームに残ってボランティアを始めました。今ではメンバーとして活動しています。「グラスルーツサッカーセンターにいると安全で安心できます」とヤムケラさんは言います。

1週間の南アフリカ滞在の初日、プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長は、グラスルーツサッカーのメンバーに会い、校庭でヤムケラさんのプレイを見学しました。このグラスルーツサッカーは、UN Womenが運営する国連女性に対する暴力撤廃信託基金(UNTF)の支援を受けています。

 2015年6月1日、ムランボ‐ヌクカ事務局長がケープタウンのカエリチャにあるヨメレラ・プライマリースクールで子どもたちと交流 撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

2015年6月1日、ムランボ=ヌクカ事務局長がケープタウンのカエリチャにあるヨメレラ・プライマリースクールで子どもたちと交流
撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

「グラスルーツサッカーの活動がこの地域に大きな効果をもたらしていることに、とても感銘を受けました。スポーツを通して少女たちのエンパワーメントを後押しする点で、ここには学ぶべきことがたくさんあります。カエリチャの若い女性が直面している問題はこの地区に限られたものではありません。それどころか、いたるところに存在しています。このプログラムは、同じような問題を抱える多くの地域社会にも有効で、適切な支援があれば、どこでも実施することができます。このプログラムから恩恵を受けた多くの少女がチームに残り、コーチとなって後輩たちに手本を示していることが特にすばらしいと思います」とヌクカ事務局長は述べました。

グラスルーツサッカーは4人の男子プロサッカー選手が2002年に設立しました。HIV/AIDSがチームメートに与えた悲惨な影響を目の当たりにしたことがきっかけでした。市民組織であるグラスルーツサッカーは、HIV/AIDSの拡散防止を目指し、サッカーを通して若者を教育し、希望を与え、エンパワーしています。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、南アフリカでのある研究の結果、親密なパートナーから暴力を受けたことがある若い女性は、暴力を受けていない女性よりもHIVへの感染率が50%も高くなることが明らかになりました。

ムランボ‐ヌクカ事務局長とグラスルーツサッカーのスキルズプログラムに参加する少女たち 撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

ムランボ=ヌクカ事務局長とグラスルーツサッカーのスキルズプログラムに 参加する少女たち
撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

2009年、グラスルーツサッカーは「スキルズ・ストリート」という革新的なプログラムをつくりました。これは特に思春期の女子に着目し、同じ年代の男子よりHIV感染のリスクが高い10代の女子が抱える問題に応えるものです。このプロジェクトは、暴力撤廃信託基金から50万ドルを超える助成金を得て、トゥトゥゼラ・ワンストップケアセンターや他の市民組織と連携して少女たちのエンパワーメントを後押しし、性と生殖に関する健康への意識を高め、医療・法律・心理社会的サービスの利用を促進するために、スポーツを基盤とした活動を拡大させています。

スキルズ・ストリートのプログラムに参加した少女たちは、運動トレーニングに加えて、自分より少し年上のコーチからHIV感染とジェンダーに根ざした暴力防止について助言を受けます。コーチ達はプログラムの開始時に自分の体験談を話します。そして、11週間のプログラム中に、心を開き、自分が抱えている困難に立ち向い、タウンシップの外側にある未来の可能性を心に描くように少女たちに働きかけます。

このプログラムでは、女子だけのサッカーリーグ戦やトーナメント戦などを実施して地域支援を呼びかけ、また女性や少女への暴力根絶に協力する仲間として男子を入れた男女混合チームによるトーナメント戦も実施しています。

2015年6月1日、ケープタウンのカエリチャにあるヨメレラ・プライマリースクールでサッカーをするスキルズの少女たち 撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

2015年6月1日、ケープタウンのカエリチャにあるヨメレラ・プライマリースクールでサッカーをするスキルズの少女たち
撮影:UN Women/カリン・シャームブラッカー

「私たちにとってスポーツとは、子どもたちが参加することを誇りに感じ、安全で安心できる場所で子どもたちとのつながりを築く場です」と話すのはグラスルーツサッカー代表のジェームズ・ドナルド氏で、次のように続けています。「スポーツによって、子どもたちが共感できる身近なイメージや例えをたくさん示すことができます。サッカーは特に、ジェンダーにまつわる慣行や固定観念を克服する上で有力な方法です」。

2014年と2015年には、ソウェト、アレクサンドラ、カエリチャにおいて10~14歳の少女3,000人近くがスキルズ・ストリートプログラムを卒業しました。UNTFの支援を受け、2016年の終わりまでには5つの南アフリカ分区でさらに5,600人に参加してもらうことを計画しています。

ヨメレラ・プライマリースクールに話を戻しましょう。サッカーの試合前には、コーチは、HIVに感染しているかどうかにかかわらず、自分の身体を大切にし、健康的な生活をすることについて活発に話せるようなセッションを持ちます。これは簡単なことではありませんが大きな意味を持っています。部屋は希望と活気であふれます。少女たちのまさに目の前で変化が起きているからです。

「スキルズ・ストリートのメンバーになる前は、自分がこれからどうなるのかわかりませんでした」と14歳のヌクウェニソさんは言います。「でも今は、自分がどこから来てどこへ向かうのか、そして将来どうしたいのかがわかっています。自分に自信をもつことができました。未来に何が待っているのかがわかったからです。安心できる場所で、未来に対して前向きな気持ちを持つことができる自分を誇りに思います」。

翻訳協力:武藤洋子(実務翻訳スクール.com)

UN Women WEEKLY NEWS UPDATE 2015.6.8より抜粋

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