ネパール関連報告:ネパール大地震の被災地へのUN Womenの支援とその後の状況の一部をご紹介します

  • 2015/09/23

ネパール大地震の被災地に対するUN Womenの支援とその後の状況についてのレポートの一部をご紹介します。

UN Women’s Humanitarian Response Efforts to the Nepal Earthquake 2015 Progress Update April 2015 – August 2015 より抜粋

 

アドボカシー活動とジェンダー視点に立った取り組み

UN Womenネパールは、ネパール政府の災害後復興ニーズ評価調査報告書(Post Disaster Needs Assessment 、以下PDNA)の作成プロセスにおいて重要な役割を果たしました。特に、PDNAの「ジェンダー平等と社会的包摂」に関する章の作成には、主要な開発パートナーとして関わりました。また、国家計画委員会が主導するこのPDNAの実施においては、女性子ども社会福祉省に対してジェンダー平等に関して技術面から全面的に支援しています。

ネパール大地震が女性の生計、住居、土地、所有権および市民権に与えた影響に関する調査の開始に向けて、UN Womenは、オックスファム、CAREと現在協議をしています。この調査の主な目的は、2015年4月15日に発生した大地震(その後に発生した余震と地震を含む)が被災地での女性の社会経済的状況にどのような影響を与えたかを女性の生計、住居、土地、所有権、市民権の点から検討することです。

今回の地震で得た教訓と良い取り組み事例を記録に残すために、ジェンダー・ワーキング・グループは現在、ネパール大地震の人道支援におけるジェンダー平等に関する報告書を作成しています。

UN Womenネパールは、CFP(コモン・フィードバック・プロジェクト)と協力関係を結びました。CPFのねらいは、被災者が情報を入手し、より効果的な人道支援が実現するように意見を述べることができるようにすることです。この協力の一環として、2015年6月15日から19日までの5日間、ヌワコット郡カカニ地区でスカウトボランティアを対象に「現地の活動推進員としてネパールスカウトのスキル養成」のためのトレーナー養成プログラムを実施しました。緊急対応に関する意見を被災者から収集し、ネパールスカウトが担当地域で活動するときに直面する様々な困難に対して一層の準備をしてもらうことが目的でした。その結果、参加者全員が、人権の概念とその普遍的特徴、形式的平等、保護主義的平等、実質的平等という各アプローチの違い、差別の構成要素、人権を保護・推進・実現する国家の義務などについて知識と理解を深めました。

 

写真① ヌワコット郡カカニ地区で実質的平等について講習を受けるスカウトボランティアの皆さん

写真① ヌワコット郡カカニ地区で実質的平等について講習を受けるスカウトボランティアの皆さん

女性グループによる共同要望書
UN Womenネパールは、女性の団体に対して、人道支援におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを求める「女性グループによる共同要望書」の作成を支援しました。この要望書では、人道支援のあらゆる面における女性のリーダーシップと参加、食料の保障、ジェンダー視点に立ったシェルターと持続的な生計の確保、女性や少女に対する暴力の防止、女性を対象とした特別なプログラムなどを求めています。UN Womenの支援により要望項目と行動計画が作成され、ネパール政府(中央、地方)、開発のパートナー団体、国連機関、研究機関、一般市民、青年団、民間企業に対する普及計画 の概要が示されました。この要望書の内容を実施し拡大していくために、8つの女性団体の代表者によるコアグループが設けられました。コアグループは、2015年6月22日にはマヘンドラ・バハドゥル・パンディ外務大臣に、2015年6月21日には制憲議会での女性・子供・高齢者と社会福祉委員会の議長であるランジュウ・ジハ氏に共同要望書を提出しました。

写真② マヘンドラ・バハドゥル・パンディ外務大臣に要望書を提出

写真② マヘンドラ・バハドゥル・パンディ外務大臣に要望書を提出

写真③ ネパール政府代表に要望書を説明する女性グループ

写真③ ネパール政府代表に要望書を説明する女性グループ

焦点を絞った支援

5月25日、UN Womenネパールは、「UNフラッシュアピール」に対する改正案を提出しました。その内容は、 被災女性の尊厳を守る日常必需品キット20,000個、太陽発電ランプ20,000個を用意し、女性のための多目的センター14か所を設置するために150万USドルを要請するものです。
UN Womenネパールは、緊急救援活動の一環として、これまでに政府機関と地元の女性団体註に被災女性の尊厳を守る日常必需品キット5,000個を渡し、各女性への配布を依頼しました。また、3地区に情報センター、5地区に女性のための多目的センターを設置し、被災した3地区で心理社会的サポートを提供しています。

被災女性の尊厳を守る日常必需品キットには、非常用衣類や衛生用品のほかに太陽発電ランプのような日用品など16品目が入っています。この被災女性の尊厳を守る日常必需品キットは移民女性労働者の組織や自宅をベースに働く女性労働者の組織の女性メンバーが準備したものです。被災女性の尊厳を守る日常必需品キットは、地震の被害が最も深刻な7地区において、DWC(女性子ども社会福祉省女性子ども局)を通じ、地方自治体と治安部隊との協力により、UN WomenのNGOパートナーから女性たちに配布されました。
UN Womenネパールとパートナー団体は、被災女性の尊厳を守る日常必需品キットが、女性障害者、女性世帯主世帯、地震で家を失った女性、高齢女性など、様々な面で弱い立場にある女性や固有のニーズを持つ女性に確実に届くようにしました。またパートナー団体は、キットを受け取った女性からキットの用品がどの程度役に立ったか、こうした日用品の配布で今後どのような改善が必要かなどの意見を集めています。2015年8月20日現在までに、太陽発電ランプ6,400個と生理用ナプキン15,083個を含む被災女性の尊厳を守る日常必需品キット合計6,093個を配布しました。


ネパール女性リハビリテーションセンター(WOREC)、SAATHI、ポウラキネパール、シャクティ・サムハ、先住民族女性フォーラム、HIV女性陽性者ネットワーク、ネパール障害者女性協会、人権のための女性連合(WHR)、SABAHネパール、BBC、フェミニスト・ダリット協会など、立場が弱い女性、社会から疎外された女性たちが働く組織とネットワークがキットを配布しました。

 

写真① ディグニティー・キットを手渡す前にキットに入っている日用品について説明するカブレ地区の女性開発事務所の職員

写真①
ディグニティー・キットを手渡す前にキットに入っている日用品について
説明するカブレ地区の女性開発事務所の職員

写真② ディグニティー・キットを受け取った被災地の女性

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ディグニティー・キットを受け取った被災地の女性

写真③ ディグニティー・キットを準備する女性グループ 撮影:UN Women/サミール・タパ

写真③
ディグニティー・キットを準備する女性グループ
撮影:UN Women/サミール・タパ

女性のための多目的センター
女性のための多目的センターは、5地区に設立されました。これらのセンターは、実施パートナーが、各地区ごとにDWC、女性や子どものための事務所の職員らと密接な連携を図りながら運営しており、以下のようなサービスを提供しています。
1) 被災女性の尊厳を守る日常必需品キットと太陽発電ランプの配布
2) 心理社会的カウンセリング
3) サービス利用者が直面している様々な問題(ジェンダーに基づく暴力、身分証明書、家屋など)に関する救命情報を地区サービス提供者に提供
4)早期復興と生計活動の促進
5)困っている女性への安全なスペースとシェルターの提供
センターを運営しているNGOは、各地区で女性の安全に関する調査も実施することになっています。2015年7月24日現在、5つの地区にある女性のための多目的センターを利用した女性は13,918名になりました。

写真④ UN Womenが支援する女性のための多目的センターで実施した活動中に、地震で家を失ったためにゴルカに移動してきた女性たちの質問に対応する女性開発事務所の職員

写真④
UN Womenが支援する女性のための多目的センターで実施した活動中に、
地震で家を失ったためにゴルカに移動してきた女性たちの質問に対応する女性開発事務所の職員

心理社会カウンセラーの活動
UN Womenネパールは、これまでに拷問被害者センターと協力関係を築いてきました。その関係をもとに、被災した女性と女児に対しカウンセリングを行うため、UN Womenが実施した心理社会的カウンセリングプロジェクトで訓練を受けた3人の心理社会カウンセラーが採用されました。各担当地区に配置されたカウンセラーたちは、最前線で活動するスタッフやボランティア、現地の活動推進員を対象に心理的応急措置の研修を行いました。この活動の中心は、被災女性やその家族が抱える震災直後の精神的外傷と心理社会的ニーズに対応することです。
2015年7月24日現在、上記3地区では236名の女性がグループカウンセリング、105名が個人カウンセリングを受け、988名の女性とその家族が心理社会的カウンセリングのグループセッションに参加しました。UN Womenのパートナー団体に対する人道サービスの提供という新たな手法であることを考慮し、UN Womenネパールでは、国際基準に沿った質の高いサービスを確立して提供し、適切なモニタリングの枠組みを設置できるように、パートナー団体の能力開発に正規スタッフと臨時スタッフ総出で取り組みました。

情報センターの設立

また、各地区の情報センターはMedia Advocacy Groupとの協力のもと設立されました。センターは、利用できるサービスについての最新情報を女性に提供し、女性と女児たちのニーズをどの程度把握し、どの程度それに対応しているかを断続的に評価するために救援対応をモニターしています。情報センターは、各地区の地方自治体から承諾を得て開設されており、地区行政の事務所内に設置されているセンターもあります。2015年7月24日現在、805名の女性が3つの情報センターでサービスを利用しました。
翻訳協力:湯島正、武藤洋子(実務翻訳スクール.com)

Categories: News, 本部

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