欧州難民・移民危機に対するプムレジ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長の声明をご紹介します

  • 2015/10/19

欧州難民・移民危機に対するプムレジ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長の声明

難民・移民危機に対して、女性と少女の固有のニーズに対応し、女性を対等なパートナーとして取り込む人道的活動が急務

2015年9月17日 午後12時44分

少しでも安全な生活を求めて避難する膨大な数の難民や移民。その対応に各国が苦慮しています。あらゆるレベルにおいて、その数の多さとその背景にある恐怖を受け止め、それに対応することは非常に困難です。

9月10日、母国から脱出し、ギリシャとの国境にあるゲヴゲリヤ市近くで金属製の仮設テントの中で雨をしのぐ難民たち。撮影:UNICEF/ゲオルギエフ

9月10日、母国から脱出し、ギリシャとの国境にあるゲヴゲリヤ市近くで金属製の仮設テントの中で雨をしのぐ難民たち。撮影:UNICEF/ゲオルギエフ

しかし、この状況に対して単に感情的な側面から対応するだけでなく、戦略的で実現可能なアプローチを見つけなければなりません。長期間にわたって十分で、かつ合理的な枠組みに沿った対応が取れるようなアプローチが必要です。緊急の救援が必要であると同時に、状況がこれほど深刻になった原因に真正面から向き合い、難民や移民が目的地にたどり着いたときに同じような差別を受けることがないように、この問題に対して掘り下げた対応が求められます。

国連は世界全体で8000万人を超える女性、男性、子どもたちへの人道的支援と保護を呼びかけています。

UN Womenは、脱出せざるをえない人たちすべての不安的な状況と危険を深く憂慮する一方、母国での危険、さらには移動の間に付きまとう危険から女性と少女を守る責任があります。

女性と少女は過激派グループから暴行を受け、服従を迫られ、紛争国では日常的な暴力の標的にされてきました。母国では教育を受ける権利や経済的、社会的権利を否定される恐れがあります。多くの女性たちが残忍な虐待や性的搾取を受け、さらには奴隷にまでされてきました。こうした状況から逃れるために脱出しても、結局は密航を手引きする業者などに目的地に着く前に搾取されたり、人身売買の対象になったり、怪我を負わされたり、置き去りにされたりする可能性があります。

安全ではないにも関わらず避難する人々が急増する背景には、こうした業者の大半が責任を問われていないことがあります。地中海だけを見ても、今年既に430,000人を超える人が海を渡りました。

女性と少女の固有のニーズに対応し、女性を対等なパートナーとして取り込む人道的活動が急務です。移民と難民、なかでも暴力の危険にさらされる恐れがある女性と子どもに安全なルートを確保し、到着したときに安全な場所と特別な保護を提供しなければなりません。また、女性と子どもに教育の機会と仕事を提供し、さらなる暴力から保護する手立てを講じなければなりません。残念ながら現在はこうした状況にはありません。目指した国で差別や略奪を受け、居場所を転々と変えなければならないような複合的な状況に陥ることがあります。公共医療は存在していないか、あっても手が回りきれていません。地中海を渡る女性の12パーセントが妊婦であると推計されおり、出産時に死亡する女性が急増しているという報告があります。到着した難民と移民へのリプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)ケアが非常に重要です。

UN Women は難民キャンプで直接活動を行うだけでなく、難民の母国、通過する国、目的地である国のパートナーと連携し、こうした問題を考慮した方針を定めて対応を進めています。例えば、シリア難民をもっとも多く受け入れているエジプト、イラク、ヨルダン、レバノンにおいて難民に収入源や心理社会的サポートを提供したり、難民キャンプや難民を受け入れた地域で女性が受ける暴力の問題にも取り組んでいます。

女性と10代の少女は復興の力として大きな力を持っています。危機に真っ先に対応するのは女性であり、家族や地域を1つにまとめるのも女性です。無力な者として女性が描かれるようなことがあってはいけません。また、環境が制約されているために無力であることを余儀なくされるということがあってもいけません。

今月末ニューヨークで開催される国連総会で、世界各国の指導者が世界に変化をもたらす開発アジェンダである持続可能な開発目標(SDGs)を採択します。その際に、世界人権宣言と国際人道法に対して新たなコミットメントを示すことが必要です。さらには、現在の難民問題への対応に、そのコミットメントが即座にかつ直接反映されることを望みます。世界の将来を方向付けるこのアジェンダにおいて、女性と少女をその中心に置くべきです。私たちの懸念の対象は女性であり、その支援の対象も女性に焦点を当てたものでなければなりません。

UN Womenは移民・難民のニーズを支援する各国や各機関の取り組み、個人やコミュニティの取り組みに拍手を送ります。しかし、私たちが直面しているのは未曾有の危機であり、やるべきことが山積しています。

この問題の対応には迅速かつ大規模な資金の調達が必要です。国連は世界全体でおよそ200億ドルにも及ぶ人道的支援を要請しましたが、これまで実際に調達した資金はその30パーセントにも達していません。また、今回の大規模な人々の移動が世界全体にどういう影響を及ぼすのかについて考えることも必要です。

この問題はまさしく、新しい持続可能な開発アジェンダの中で示されている人間の価値をテストするもので、今後の取り組みの方向性を決定します。失敗する訳にはいきません。差別や暴力から女性と少女を守ること、そして女性の立ち直る力に加え、女性の学び、導き、目標を達成する力に焦点を当て、力を結集し、忍耐強く、事態を改善しなければなりません。私たちにはそれができますし、それは私たちがやらなければならないことなのです。

UN WOMEN WEEKLY NEWS UPDATE(2015.9.21より)

翻訳:内堀千尋(実務翻訳スクール.com)

Categories: News, 本部

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