ラクシュミ・プリ国連事務総長補による「持続可能な開発のための2030アジェンダの分析」を紹介します。

  • 2015/12/22

「我々が望む未来」から「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」へ

2030アジェンダの分析

ラクシュミ・プリ国連事務総長補
兼UN Women事務次長

2012年6月の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」からはじまり、普遍的で持続可能な新しい開発アジェンダの策定を目指して長らく続いてきた政府間協議は、ミレニアム開発目標(MDGs)を超える後継の目標の枠組みである「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2030アジェンダ)の文案が2015年8月の国連総会(UNGA)で確定したことによりゴールに近づいています。2015年9月25~27日に行われる「国連持続可能な開発サミット」において正式に採択される予定です。これは、ジェンダー平等と女性のエンパワーメント(GEWE)を21世紀の優先事項と位置付け、国連の持続可能な開発アジェンダに確実に盛り込むためのプロセスでした。この成果文書は、以下のサイトに6つの国連公用語で掲載されています。
https://sustainabledevelopment.un.org/post2015/transformingourworld

2030アジェンダにおけるGEWEへのコミットメントは、あらゆるセクターそしてすべての国で幅広いステークホルダーを巻き込み、2030年までにプラネット50-50(平等な地球社会)を達成しGEWEを目指す、これまでにない大きな機会です。今回初めて、GEWEの基準となるフレームワークが、各国政府が個別にあるいは共同で達成することを誓約する具体的な目標とターゲットの中に盛り込まれます。GEWEは、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)のような人権諸条約の土台となるものであり、北京行動綱領によって支えられています。2030アジェンダは、持続可能な開発のための変容をもたらす野心的で普遍的なアジェンダであり、人間、地球および繁栄のための行動計画でもありますが、すべての加盟国によって協議され、すべての加盟国に適用されます。
2030アジェンダのGEWEフレームワークは、国際的な合意に基づいてはいますが各国が主体となって実施するため、実行に移すまたとないチャンスが訪れています。それは人権と持続可能な開発にとってGEWEが有効であると認識されているためでばかりでなく、持続可能な開発目標(SDG)の目標5の中に、またそれ以外のほとんどすべてのSDGs、ターゲット、指標にこのフレームワークを実現させる鍵、-つまり縦横両方向での受益者同士の連携と相乗効果-が含まれているからです。フォローアップとレビューのプロセス、ならびに「実施手段とグローバル・パートナーシップ」へのコミットメントが、資源動員、実施、および説明責任を助けます。

他の国連機関との連携

UN Womenは、国連経済社会局(DESA)と国連開発計画(UNDP)が主導する関連機関テクニカルサポートチーム(TST)をはじめする国連機関と緊密に協働し、共同ファシリテーター(第1フェーズではケニアとハンガリーの常駐代表、第2フェーズではケニアとアイルランドの常駐代表)を組織的にサポートして成果に反映させました。また、国連タスクチーム、ハイレベル計画(プログラム調整?)委員会(HLCP)、国連開発グループ(UNDG)、国連システム事務局長調整委員会(CEB)などの機関間調整メカニズムに働きかけて、国連による新しいアジェンダに関するメッセージ発信とGEWEの視点の位置づけを強力に後押しするために、女性とジェンダー平等に関する機関間ネットワーク(IANWGE)と密接に連携しました。

市民社会との連携

UN Womenは、市民社会団体(CSO)、特にウィメンズ・メジャー・グループやポスト2015女性連合など、世界的な女性ネットワークとの強固で多方面にわたるパートナーシップと連携によって大きな力を得ました。政府と対話をするために国、地方、地域、そして草の根レベルで女性組織を動員しました。さらに、長引く政府間交渉において最も対話型でかつ基礎作りを重視したプロセスを通してCSOのアドボカシー活動や知識の基盤を確立するために、開発、環境、および人権の領域で活動する幅広いCSOに働きかけました。

2030アジェンダの政府間推進力

第58回国連女性の地位委員会(CSW58)で採択された合意結論では、MDGsが不完全であり女性と女児について十分な内容ではなかったことを認め、優先的に実施するべき対策を明確にしました。合意総論の採択は、SDGsに関するオープンワーキンググループ(OWG)とそのレポートに影響を与えうるという重大なタイミングで行われました。さらに第59回国連女性の地位委員会(CSW59)で採択された北京+20の政策宣言は、完全で効果的な実施、フォローアップとレビュー、モニタリングおよび説明責任を加速するような勢いを生み出し、GEWEの達成期限が2030年に設定されました。

今後の基準となる成果

リオ+20の成果は、GEWEをSDGsにおける優先的な行動領域と認識し、GEWEが経済、社会、環境面での持続可能な開発の重要な推進力であると確認したことです。単にジェンダー平等の推進だけではなく、「すべての女性と女児のGEWEを達成する」ことを1つの独立した目標(包括的かつ変容をもたらすもので、長く続いてきた構造的障壁と不平等に対処するもの)とし、それ以外のSDGの大半においてもGEWEに関連するターゲットを入れ、アジェンダ全体においてGEWEを主流にすることにUN Womenは心血を注いできました。アジェンダ全体とは、アジェンダの前文、宣言、フォローアップとレビューにおいて、さらには開発資金調達会議の成果であるアディスアベバ行動目標(AAAA)の中心にGEWEを確実に位置づけることで実施手段(MOI)においてもGEWEを主流にするということです。

SDGsにおける独立したGEWEの目標とジェンダーを考慮したターゲット

このアジェンダの所有者でもあり賛同者でもあるUN Womenは77ヶ国グループ(G77)と共に取り組み、2014年7月にはこの独立した目標5をアジェンダに組み入れることが出来ました。後発開発途上国(LDCs)、すべての地域グループ、そして後にG77+中国を巻き込んで、GEWEのSDGを提案してもらい、そのコンセプトについて合意形成に持ち込むことに成功しました。西ヨーロッパ・その他のグループ(WEOG)もこのコンセプトを支持し、変容をもたらすようなターゲットにするべきだと主張したのです。
同様に決め手となったのは、最初に議題に上った、変容をもたらす11のターゲットのうち6つのターゲット、そして3つのMOIターゲットについて合意形成ができたことでした。さらに、ジェンダーを考慮したターゲットを策定し、それをSDGsの17の目標のうち11に盛り込むことができたことも大きな成果であり、今後の議論の流れを変えることになるはずです。
ポスト2015年開発アジェンダの主要な基盤として、持続可能な開発目標に関するOWGのレポートが2014年9月の国連総会(UNGA)において採択されました。そのときには、UN Womenも、この17のSDGs目標と169のターゲットからなるパッケージを維持すべきという主張に加わりました。そして今年の最終結果をみて安堵しました。ターゲットの中にはさらに強化することができたものがあったかもしれませんし、他のターゲットに実際変更がいくつかありました。しかし、すでに得たものを失うリスクをあえておかすことはできませんでした。
ジェンダー平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図るというSDG目標5には、6つのターゲットと3つの実施手段があります。

    • ターゲット5.1:「あらゆる場所におけるすべての女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。」差別的な法律や政策を改正、修正、または廃止することは、GEWEを達成するための根底となる基盤です。
    • ターゲット5.2:「人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。」このターゲットは、あらゆる場所における、あらゆるタイプの犯罪者による、あらゆるタイプの暴力とその示威行為を対象としています。
    • ターゲット5.3:「未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。」このターゲットは、根深い不平等と差別的な社会慣習に結びついた人権侵害に取り組むものです。
    • ターゲット5.4:「公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。」このターゲットはまさにブレークスルーであり、公共サービスの提供、インフラ、世帯と地域社会による負担の分担等を通じて無報酬の育児や介護を認め、削減し、再分配するべきだという要求の実現に大きく貢献するものです。
    • ターゲット5.5:「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。」このターゲットは、MDG目標3の女性議員の数に対するコミットメントをはるかに拡大し、行政、司法、法執行機関、公務員、企業部門、その他あらゆるレベルで統治と意思決定への女性の参加とリーダーシップを目指すものです。
    • ターゲット5.6:「国際人口・開発会議の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利(リプロダクティブヘルスとリプロダクティブライツ)への普遍的アクセスを確保する。」このターゲットとターゲット3.7の健康目標の下で、性と生殖に関する健康と権利の問題を巡って現在も論争が続いていることを考えると、このターゲットそのものが1つの成果です。生殖に関する権利のアクセスへのコミットメントは、特に若い女性と女児のエンパワーメントのためには非常に重要です。性に関する権利についてはこのターゲットの中では言及されていませんが、北京綱領および国際人口開発会議(ICPD)、ならびにその検証会議の成果文書については言及されています。
    • ターゲット5.a:「女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、土地及びその他の財産の所有と管理、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。」経済的なエンパワーメントのアジェンダは、目標を実施する重要な手段として取り込まれており、あらゆる資源や資産保有へのアクセスにおける構造的な不平等に取り組むものです。完全かつ生産的な雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、同一労働同一賃金(目標8)、インフラ(目標9)、基礎的サービス(目標1および11)、教育と能力の開発(目標4)に関するターゲットと共に、本ターゲットは女性の経済的エンパワーメントのための包括的かつ変容をもたらすアジェンダです。目標1の関連するターゲットには、「各国の法律に従って」という文言はありません。
    • ターゲット5.b:「女性のエンパワーメント促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。」これは、GEWEのための技術インフラ開発、教育およびICTへのアクセスと活用に女性と女児を取り込んでかつ優先することへの強いコミットメントです。
    • ターゲット5.c:「ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子の能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規をあらゆるレベルで導入・強化する。」このMOIターゲットは、アジェンダ全体の実施に関わるものです。

これらのターゲットとMOIは、身体の安全と健全性および自由、あらゆる領域での意志決定における対等な発言権と参加およびリーダーシップ、平等な選択と機会、あらゆる資源への平等なアクセスと管理、資産の平等な所有という、私たちの主要な要求事項と優先事項の本質が反映されています。これらのターゲットとMOIはまさに私たちが求める変革への鍵を握っており、他のSDGsに含まれている、GEWEに対して変容をもたらすコミットメントによって補完されています。もし達成された場合には、これまで目指してきた、女性と女児がジェンダー平等を享受できる世界にこれまでにないほど近づくことができます。またそれは、GEWEを阻む構造的な課題に取り組み、収入、資産、賃金、生活時間などに関わる根強い社会経済的な不平等(社会、民族、文化などの違いに基づくさまざまな形態の差別により複雑化した不平等)との闘いに新たな天地を開くものです。有効な指標と連動させて各地域で効果的に実施できれば、これらのターゲットが達成され、構造変化をもたらすことができます。
ただ、これらの達成への道は容易ではないでしょう。上記のうち2つのターゲットは、それぞれ「各国の法律に従って」あるいは「各国の状況に応じて」という文言によって制限が加えられており、差別的な法律や政策の継続を容認してしまう可能性があるため、改革への抵抗を正当化するような言葉の使用を加盟国に思い留まらせる必要があります。SDG目標5はまさに勝ち取った大きな目標であり、GEWEフレームワークを強力に推し進めるものであり、他の11のSDGsにおけるターゲットと共に、2030年の目標に向かって突き進むための強力なエンジンです。さらに、SDG目標5の強みは「すべての女性と女児」を対象としていることであり、それによって暗に年齢、環境、民族、人種、性的指向等の多様性に鑑み、誰も置き去りにしないという文脈や精神のもとですべての人を網羅していることです。加えて、2030アジェンダには各国内および国家間の不平等を減らすための独立した目標11が含まれており、最も普遍的な不平等の形態であるジェンダー不平等を含む、あらゆる形の不平等に取り組むための重要な出発点になっています。

2030アジェンダの各セクションにおける成果

2015年に行われた2030アジェンダ交渉の第2フェーズにおいて、SDG目標5に加えて、アジェンダ全体をカバーする次の重要なコミットメントを確保しました。

    • 前文において、加盟国は「すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児のエンパワーメント達成を目指す」とし、2030アジェンダ全体に対するジェンダー平等の優位性を示しています。
    • 北京行動綱領はアジェンダ全体についてもGEWEについても『基準となるマザーボード』であるという私たちの考えが、「我々が共有する原則と約束」の項の宣言にも反映されました。その項では、ICPDおよび北京行動綱領を含むすべての主要な国連会議やサミットの成果が、「持続可能な開発のための確固たる基礎を築き、この新たなアジェンダを形作るのを助けた」と述べられています。
        • 「新アジェンダ」の項ではパラグラフ20が、私たちが大変な努力の末にようやく獲得した、アジェンダ全体とその実施を形づくるGEWEに関するパラグラフです。
        a. パラグラフ20は、「ジェンダー平等の実現と女性・女児のエンパワーメントは、すべての目標とターゲットの進展に重要な貢献をするものである」、そして「人間の潜在力の開花と持続可能な開発の達成は、人類の半数に上る(女性)の権利と機会が否定されている間は達成することはできない」と、明確に断言しています。
        b. また、「女性と女児は、質の高い教育、経済的資源への公平なアクセス、また、あらゆるレベルでの政治参加、雇用、リーダーシップ、意志決定において男性と同等の機会を享受するべきである」と主張しています。
        c. 「ジェンダー・ギャップを縮めるための投資を大幅に増加するために努力するとともに国、地域及びグローバルの各レベルにおいてジェンダー平等と女性のエンパワーメントを推進する組織への支援を強化する」というコミットメントも重要です。私が国連開発資金国際会議(FfD)に関するレポートでも指摘したように、このコミットメントは、国家のジェンダー平等メカニズム、市民社会組織および女性団体、そしてUN Womenへのあらゆるレベルでの資金投資も含め、支援の顕著な増加を是としているという点で、極めて重要です。
        d. 「女性と女児に対するあらゆる形態の暴力は男性及び男児の参加も得てこれを廃絶していく」という決意が書かれています。差別を終わらせ、女性に対する暴力根絶(EVAW)を目指すこのコミットメントは、SDG目標5の2つのターゲットと共に政治的意志の強力な表明です。また、男性と男児の参加へ言及されていることは、HeForSheキャンペーンも含め、男性と男児とのパートナーシップと連帯を活用するというUN Womenの戦略が有効であることを示すものです。
        e. 「新たなアジェンダの実施に際してはジェンダーの視点を系統的に主流化していくことが不可欠である」という認識が書かれています。これは、2030アジェンダ実施のあらゆる側面にGEWEの情報を提供し、それに貢献しなければならないということを意味しています。
        • 「実施手段とグローバル・パートナーシップ」のコミットメントについては、基本的にFfDに含まれており、AAAAでもこのアジェンダを優先し、GEWEの変容をもたらす資金調達および技術と能力構築への関連投資を強く主張しています。

ジェンダー統計と指標

GEWEターゲットは、指標のフレームワークを用いてサポートし、その詳細を明らかに示す必要があります。そのためにはデータの根本的な改革と高レベルの投資が必要とされますが、これについては2030年アジェンダの中である一定の支援が約束されています。「2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、およびその他の特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のあるデータの入手可能性を向上させる」というコミットメントがあります。こうしたデータで、各国の事情に関連する不利益と差別には共通点があるということを提示することになります。UN Womenは、地域での効果的な実施とSDGsのモニタリングのためにジェンダーデータのギャップを埋めることに取り組まなければなりません。私たちは、新たなパートナーシップを構築すると共に既存のパートナーシップとも関わりを持っていきます。その中には、GEWEをその重要な目標の1つとして明確に優先している、持続可能な開発データのためのグローバル・パートナーシップも含まれます。とりわけ加盟国、ドナー、市民社会など、グローバルな賛同者を特定することが重要です。
これまでにも、国連統計委員会とその委員会が設立した組織であるSDG指標に関する機構間・専門家グループのプロセスにおいて、担当の加盟国と共に、国際的な指標フレームワークの開発に向けてTSTで賛同者の特定と選択に取り組んできました。SDG目標5およびSDG1、2、3、4、6、8、10、11、13、16、17のターゲットについてGEWE関連のグローバルな指標を策定する作業を現在行っています。それによって、貧困撲滅、食の安全保障と持続可能な農業、健康、教育、水と衛生、持続可能な経済成長、完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク、国内・国家間の格差是正、都市と人間の居住、気候変動、平和で包摂的な社会、実施手段などに関するジェンダー平等という側面をすべて網羅することになります。
このグローバル指標フレームワークは、2015年10月に行われるSDG指標の機構間・専門家グループの第2回会合において完成し、2016年3月に国連統計委員会によって政府間レベルで採択された後、経済社会理事会(ECOSOC)と国連総会で採択される予定です。
UN Womenはここに建設的に関与する必要があります。指標を地域レベルに落とし込み、信頼性のある確実な統計を介してその進捗状況を追跡するUN Womenの能力がなければ、これまでに達成したグローバルレベルでの大きな成果と、GEWEについて2030アジェンダに取り込んだ政治の牽引力を危険にさらすことになるかもしれません。

フォローアップとレビュー

2030アジェンダでは、グローバルなフォローアップとレビューのプロセスが定められます。このプロセスは、国連事務総長の年次SDG進捗報告を受けて持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)が主導するもので、UN Womenを含む国連機関も協力します。また、科学と政策のインターフェイスを強化するためのグローバル持続可能開発報告書も予定されています。これらの報告書の範囲と作成頻度についてはECOSOCを中心に話し合いが行われます。HLPFは先進国、途上国、関連する国連機関、その他のステークホルダーの分野横断的な事項を含む実施の進捗状況について自主的に定期レビューを実施します。
CSWとその他機関を含め、ECOSOCの機能委員会が全面的に支援します。また、UN Womenは、2030アジェンダのジェンダー関連指標を加盟国による実施状況のモニタリングと説明責任の作業に組み込むために、CEDAW委員会を支援します。
普遍的な目標とターゲットの実施において各国が主体的に取り組む体制をとっているので、多数のフォローアップとレビュー原則が確立されることになります。それにより、フォローアップとレビューがオープンかつ包括的、参加型で透明性のある人権に基づいたプロセスとなるということであり、UN Womenの立場から重要なのはジェンダーを考慮したものになるということです。特に、最も貧しい人、脆弱な立場にある人、最も取り残されている人に焦点が当てられます。関係するすべてのステークホルダーに報告が求められ、既存のプラットフォームとプロセスに基づいて各国の能力やニーズ、優先事項を考慮します。
SDGsおよび持続可能な開発の達成を支援するという点で、十分に資源を持ち、適切で首尾一貫した効率的かつ効果的な国連の体制が重要な役割を果たすとともに比較的優位であるることが2030アジェンダで認められています。こうした優位性を活用して、我々は、基準策定、運用、知識の拠点、戦略的パートナーシップ、資源動員、国連機関の調整など、すべての機能領域における活動を強化し推進していかなければなりません。

UN Womenの今後のアドボカシー活動と戦略的パートナーシップの活動では、2030アジェンダとプラネット50/50のように、SDG目標5とGEWE からインスピレーションを得て、それを2030アジェンダの中にコンパクトに盛り込んでいなかればなりません。北京行動綱領と、その完全で効果的かつ迅速な実施とともに、これを基礎として、今まさに開始されるGEWEステップアップキャンペーンを本格的に展開します。HeForSheとユナイト(UNiTE)の2つの活動にも、もちろん2030アジェンダのメッセージを組み込みます。
これは初めての普遍的な開発アジェンダであり、UN Womenにも普遍的な任務があります。アジェンダに盛り込まれたコミットメントの意義と、それを各国で、また世界で実施していく義務について、先進国を含むすべての国に理解してもらい、意識を高めてもらうように働きかけていかなければなりません。
主流化においても、変容をもたらす焦点を絞った行動と投資においてもGEWEを優先するというこの基準となる考え方を活用して、あらゆる規範的政府間協議において「GEWE達成に向けた変容をもたらす資金調達」というUN Womenの立場を一貫して強く主張し続けていかなければなりません。

結論:支流から主流へ

UN Womenの設立から約5年が経過し、GEWEは今や人道的な問題の支流ではなく主流になりました。支流であったときは、広範な持続可能な開発、人権、平和と安全、人道的課題、その資源動員(資金調達?)において支流から主流へと継続的な取り組みが必要でした。ラウル・プレビッシュの違う文脈からの言葉を引用すれば、「周辺」にあったGEWEが、基準を設定する大きな地殻変動によって「中心」に移動したのです。
広範な持続可能な開発の中でGEWEフレームワークとその資金調達の問題がこのように中心に置かれたということは、人権と平等に基づくアプローチにおけるGEWEの本質的な価値が認められ、そしてそれが公正かつ公平な経済、社会、環境の秩序のために不可欠なものであると認識されたということがその背景にあります。さらに、2030アジェンダ全体は北京綱領やCEDAWおよびCSWの成果、GEWE黄金律を基準としており、そのどれもが2030アジェンダと密接に関連しています。
2030アジェンダおよびFfD全体にわたるもうひとつの大きな変化は、AAAAの最初のパラグラフにもあるように、GEWEは実行可能なミッションであると断言していることです。2030アジェンダの前文と宣言、そしてSDG目標5にも「GEWEを達成する」と書かれています。これは、多数の構造的障壁や家父長制に基づく既得権、根強い社会・文化・宗教的慣習やジェンダーに対する固定観念などによりGEWEが遅々として進まず、時には止まったり、時には後戻りしたりして、GEWEを達成した国など世界に1つもない、GEWEは果てしない徒労を伴うものであり、実行不可能なミッションであるというこれまでの猜疑心や認識を打ち破るものです。
また、変化のペースが遅いため女性運動やUN Womenがいらいらするのは理解できる、
、でも今のペースのままであれば変革にはさらに100年かかることになり、そんなには待てないということが認識されています。そのため、2020年までに具体的な成果(CSW政治宣言)を出し、2030年までにGEWEを達成することを目指して行動と投資を加速するということで、2030年という期限が設定されました。女性と女児に対する不平等、差別、そして暴力を、私たちの世代で終わらせることが、非常事態とはいえなくても喫緊の課題であることを伝えなければなりません。
それ以外にGEWEフレームワークのパラダイムシフトには、GEWEは、女性の、女性による、女性のための視野の狭いアジェンダではないという認識もあります。GEWEは富める国も貧しい国も北も南も関係なく、すべての国のすべての人に関わる問題です。GEWEは女性や女児が主張する必要がありますが、男性と男児もまたそれぞれの役割を果たす必要があります。すべてのステークホルダーが、2030年までのGEWE達成の責任を負っています。もちろん、義務の担い手として最大の役割を果たすのは各国政府ですが、AAAAが指摘しているように民間セクターにも大きな責任があります。そして両者ともに、「We the People(我々)」すなわち、女性にも男性にも、女児にも男児にも、すべての人に対して責任を果たさなければなりません。
From the “”Future We Want” to “Transforming our World: The 2030 Agenda on Sustainable Development” Analysis of the 2030 Agenda を翻訳
(Lakshmi Puri, UN Assistant Secretary General and Deputy Executive Director of UN Women)

翻訳協力:松本香代子(実務翻訳スクール.com)

Categories: News, 本部

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