フォトエッセイ:変わりゆく仕事の世界

  • 2017/04/10

フォトエッセイ:変わりゆく仕事の世界

2017年2月28日

タイ, 2015. Photo: UN Women/Pornvit Visitoran. | レバノン , 2015. Photo: UN Women/Joe Saad | ケニア , 2016. Photo: CIAT/Georgina Smith

仕事の世界は、技術革新、流動化・インフォーマル化の促進などによって急速に変化しています。しかし今こそ女性のエンパワーメントを目指してさらにそのスピードを上げていかなくてはなりません。女性たちは近年すでに世界的に様々な利益を生み出していると言うのに、いまだに報酬が低くて手当もないような仕事に就いている率が高いからです。彼女たちは、これがなくては経済が回っていかない重荷、つまり無報酬のケアや家事を引き受けているというのに男性より少ない報酬しか得られていません。女性の経済的エンパワーメントを実現するには、繁栄の果実を公平に共有し、だれも取り残さないようにする根本的な変革が必要です。国際社会はすでに「持続可能な開発のための2030アジェンダ」でこのコミットメントを約束しています。
すべての女性は働き甲斐のあるちゃんとした仕事に就く権利があります。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのグローバルなチャンピオンであるUN Womenはこう問うています。どうすればそこにたどり着けるのだろうか、と。

東チモール, 2013. Photo: UN Women/Betsy Davis.

女性にも男性と同じ報酬を!
どこで働こうと、どんな仕事をしようと、女性は男性より少ない報酬しか得ていません
どうして男女の賃金格差はなくならないのでしょう。多くの国で教育の格差はなくなってきています。でもこれだけでは仕事の世界の男女差別を取り払うに十分ではないのです。女性はある種の仕事から締め出され、多くの場合低賃金の仕事に追いやられています。女性が受ける制約の多くは仕事と家庭の責任のバランスをとることから生まれています。決められた労働時間や限られた育児休暇などが女性をパートタイム雇用や、長期の失業に追いやっています。国によってはまだ女性の定年が男性より短いところがあります。
どうしたらよいでしょうか? 男女の同一労働同一賃金原則をうたった法律や規則を施行する。男女賃金格差を埋めるため企業も確実に分を尽くす。

ヨルダン, 2015. Photo: UN Women/Christopher Herwig.

就業率格差を埋めよう!
記録的な数の女性が有償の仕事に就いているが、就業率は男性よりずっと低い
労働年齢にある男性の4分の3は実際に仕事に就いていますが、女性は半分しか働いていません。地域によっては若い女性の失業率は若い男性より高いのです。この格差は働きたい女性全員が働けていないということを意味しています。ジェンダーによる偏見でやる気をなくしてしまう人もいれば、育児休暇がない、子供や扶養者をケアする人がいないという障害を乗り越えるすべがない人もいます。どのような理由があっても、女性は男性と平等に就業する権利があります。経済の伸びも注目に値します。2025年までに世界の年間GDPはUSD28兆伸びる可能性があるのです。
どうしたらよいでしょうか? 有償の育児休暇、柔軟性のある就業規則を確立し、保育を提供し、公的・民間雇用主がすべてのレベルの雇用でジェンダー平等を達成できるよう奨励する。

セイシェル, 2017. Photo: UN Women/Ryan Brown.

無償のケアワークを共有しよう!
女性は公共サービスの隙間を埋めるケアワークで大きな経済的貢献をしています。なぜそれが男女間で共有されず、評価もされないのでしょう。
料理、掃除、育児、介護―経済はこのおかげで回っており、GDPの10-39%を占めています。実際、製造業や商業よりもっと経済発展に貢献できるのです。無償のケアや家事は公共サービスやインフラの不備を補っていますが、大部分は女性が担っているのです。これは不公平な負担で、男女平等の就業や報酬の障害になっています。これを改善するには、この仕事をだれが負担するのかに影響を与える規範を変えたり、ケア事業の中の仕事をきちんとした報酬を伴うものにするために投資していくことが必要です。
どうしたらよいでしょうか? 報酬を伴わないケアワークを減らしたり、男女間で公平に負担することをうながす法制の整備。これはケア事業の中に報酬を伴う仕事を増やしたり、男性にケアや家事を共有してもらうことで可能になるはず。水、電気、交通機関、その他家事の負担を減らすのに欠かせないシステムに投資。

コロンビア, 2015. Photo: UN Women/Ryan Brown.

すべての女性に働き甲斐のあるちゃんとした仕事を!
あまりにも多くの女性が、インフォーマルセクターで十分な報酬ももらえず、権利も保障されずに働いています。
ジェンダーに基づく偏見が不公正に女性たちをインフォーマルセクター、中でも街の物売り、家事労働、自給自足農業などに追いやっています。スキルも権利意識も持ち合わせない女性たち、あるいは他国から移住してきた女性たちにとってはインフォーマルセクターの仕事が生きるための唯一の選択肢なのかもしれません。このような雇用は昔から低賃金です。労働法が及ぶ範囲外にあるため、仕事は危険で、年金、疾病手当、健康保険など社会保障もないことが多いのです。世界的に見ても、家事労働者の57%は勤務時間に上限がありません。
どうしたらよいでしょうか? 社会保障や最低生活賃金を広げ、ILO勧告No.204に基づいてフォーマルセクター雇用への転換を促し、ILO家事労働条約189を批准する。

セイシェル, 2017. Photo: UN Women/Ryan Brown.

女性はどんな仕事にも就ける
仕事はどんどん変化しています。仕事間の差別をなくすこともこの変化のひとつです。
技術、経済のグリーン化は仕事の世界で女性に新しいチャンスを提供しています。しかしながら、女性が低所得の仕事に集中して、リーダーシップをとれるポストや科学技術分野から締め出されている現状はあらためなくてはなりません。世界中の労働人口の半分はサービスセクターで働いており、その大部分が女性です。東アジアではその率が77%にも達しています。仕事の中のジェンダーの壁は差別的な法律・社会規範・政策に端を発しています。例えば貿易法は安い女性の労働力に乗じています。財政政策は、女性が仕事と家庭のバランスをとるのを助けるサービス業への支出を制限しているのかもしれません。
どうしたらよいでしょうか? 女性労働者を差別する壁を取り払うため、早急に政策的なアクションをとる。変わりつつある仕事の世界で女性にチャンスを与えるような教育や研修を提供する。

フィリピン, 2016. Photo: UN Women/Norman Gorecho.

労働組合の結成:これは女性の権利
女性の仕事の性質上、彼女たちは労働組合を結成したり、その保護を受けたりすることから遠ざけられています。職場やコミュニティーで組織を結成する女性の能力は労働権を維持していく上で欠かすことが出来ません。
女性が集団となって声をあげれば、働き甲斐のあるちゃんとした仕事を確保し、公共政策の優先順位について意見を言うことが可能になります。労働組合に関しては、家事労働者のように非常に弱いグループも含めて女性のメンバーが組合を結成し、集団で交渉して成果をあげています。しかしながら抑圧的な法律や組合結成の権利などでまだ壁が見られます。パートタイムや在宅で働いている女性は、保護ネットワーク、自助グループあるいは労働組合のような組織のことを知ったり、立ち上げたり、参加したりする機会が少ないかもしれません。
どうしたらよいでしょうか? 組合、従業員雇用主組織、取締役会の決定権を持つボストを男女半々にすることを目指す。政府、雇用主、労働組合員に、一緒に全女性労働者の労働権と人権を守っていこうと促す。

レバノン, 2015. Photo: UN Women/Joe Saad.

職場でのハラスメントをやめて!
女性への暴力は女性の権利の侵害です。職場で、それは高くつきます。
働きに行くということは年齢、収入、仕事の種類にかかわらずすべての女性にとって暴力やハラスメントのリスクを負うことを意味します。ボスは昇進をセックスと引き換えにしようとするかもしれません。タクシーは収入源にもなりますがレイプされるリスクももたらします。色々な結果が考えられます。体や心の健康を損ねると、欠勤、収入減少、失業につながります。女性たちは仕事の選択、移動の自由が不当に制限されていると感じているかもしれません。
どうしたらよいでしょうか? 職場のハラスメントやジェンダーに根差す暴力はどんな形であっても犯罪として罰する法律や政策を作り、施行する。労働組合、雇用主、インフォーマルセクター労働者の支援者と協働しよう。そうすればすべての女性が自分の権利を知り、侵された場合には賠償を求めることが出来る。

モルドバ, 2010. Photo: UN Women/Janarbek Amankulov.

法律と手当の男女平等
差別的な法規や社会保障の男女格差が女性の貧困率を高める
雇用時に男女差別を禁じる法律を適用している国はわずか67ヵ国ですが、雇用されていたり起業したりした女性に差別的な規制を1つ以上適用している国は少なくとも155ヵ国に及びます。差別的な法律や法的保護の欠如が男女不平等をさらに加速させて女性労働者の自信を奪っているのです。女性はまた社会保障手当も不足しています。年金、失業手当、健康保険がない、あるいはあっても一部しかもらえていない人73%の多くを女性が占めています。これが女性の収入を男性より少なくしているだけでなく、貧困に陥らせやすくしているのです。
どうしたらよいでしょうか? すべての差別的な労働法をCEDAW(女性差別撤廃条約)に合わせて廃止する。すべての女性に届いて、貧困を削減するようにうまく設計された社会保障を確立する。これには現在働いている人も、退職した人も、無償のケアを担っている人も含まれる。

Photos: Vidura Jang Bahadur, Vidura Jang Bahadur, UN Women/Ryan Brown, Andrei Dolghier, UN Women/Ryan Brown, UN Women/Ryan Brown, UN Women/Joe Saad, UN Women/Joe Saad, UN Women/Joe Saad, UN Women/Dragana B. Stevanovic, UN Photo/Marco Dormino, UN Women/Ryan Brown, UN Women/Christopher Herwig, World Bank/Maria Fleischmann, Abbie Trayler-Smith, UN Women ECA/Rena Effendi, UN Women/Janarbek Amankulov, UN Women/Janarbek Amankulov, UNAMA/Fardin Waezi, UN Women/Janarbek Amankulov, CIAT/Georgina Smith.

女性に都合のよい経済はすべての人に都合がよい
人類や地球の未来は、SDGの17のゴールすべてでいかに女性の力や可能性を解き放つことができるかにかかっています。さあ今こそ野心的な2030年アジェンダに向かって行動を起こす時です。すべての女性が人間らしい、尊厳のある仕事をすることで力強く成長し、社会に寄与していけることを目指して。

UN WOMEN WEEKLY NEWS UPDATE(2017.3.6より)

翻訳:本田敏江(国連ウィメン日本協会理事)

Categories: News, 本部

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