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人身売買から逃れ、人生を再スタートさせたたカンボジア人女性たち

UN Womenがカンボジアとミャンマーの人身売買を防ぐために設けたプログラムを通じて、自分たちの美容室を始めた3人の女性たち

 

3人のカンボジア人女性が、美容室でその日最初の客を迎え入れて椅子に案内しました。チャントリアは客の髪を優しく洗って乾かしてから、長い編み込みスタイルにまとめました。次の客には、クンテアが落ち着いた手つきでそれぞれの爪にカラーを二度塗りし、トップコートでマニキュアを仕上げました。最後にソカーニャが、客の顔にアイシャドウを少し塗って、パウダーをのせメイクを仕上げました。

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シェムリアップ州の美容室で髪を洗ってもらう女性 (写真提供はUN Womenのステファニー・シムコックス)

客をメークアップで変身させたように、この半年で彼女たちも自分の人生を変えました。UN Womenがカンボジアとミャンマーの人身売買を防ぐために設けた新たなプログラムを通じて、彼女たちは、風俗営業店から抜け出して自分たちの美容室を始めたのです。

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習得した編み込み技術で客の髪を編むチャントリア (写真提供はUN Womenのステファニー・シムコックス)

 

「私の家庭は貧乏だったので、兄弟の学費を払うためにシェムリアップのマッサージ店で働き始めたのが15歳のときです。いつも身体を触られて、客に店外に誘われて一緒についていくこともありました」と17歳のチャントリアは言いました。

23歳のクンテアとソカーニャも、シェムリアップの風俗営業店で深夜に働いていました。「私はカラオケバーで一晩中働いていました。客に身体を触られたり、ハラスメントを受けたりしたけれど、他に仕事がないから辞められなかった」とソカーニャは言いました。「私はそんな仕事のせいで精神的にまいっていました」とクンテアは言いました。

カンボジアでは、女性や子どもたちは満足に仕事がないため、田舎から観光地へ働きに行かざるを得ません。売春宿で売春を強制されたり、国外へ連れ去られたりすることもありますが、大半の女性は強制的にもしくは騙されて、マッサージ店やカラオケバーやビアガーデンで働かされます。でもそれは表むきで、実際はカンボジア人男性や外国人男性がお金を払って性的なサービスを受ける性風俗の店なのです。

2016年時点で、メコン河流域地域で推定150万人が人身売買の犠牲になっています。そのうち約25万6000人がカンボジア人です。これは2006年の推定数の3倍の数で、急激な上昇傾向を示しています。

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虹色のマニキュアボトルが並ぶ棚からにこやかにボトルを手にとるクンテア(写真提供はUN Womenのステファニー・シムコックス)

 

「NPOが宣伝しているトレーニングを受ければ、新しい技術を身につけることができると友達から聞きました」とチャントリアは言いました。UN Womenのパートナー組織であるカンボジア女性危機センター(CWCC)では、2018年から国境沿いに住む100人の女性にトレーニングを通して起業の方法を学んでもらいました。そのうち30人が少額補助金を受けて自分のビジネスを始める予定です。

チャントリアとクンテアとソカーニャは、トレーニングを通じてマニキュアやペディキュア、ヘアカットやヘアスタイリング、それにスキンケアといった美容技術を身につけました。それから少額補助金を受けて、シェムリアップ郊外で美容室を始めたのです。

「風俗営業店では、とても多くの女性が人身売買の危険にさらされています。借金を抱えていたり、家族を養うために収入が必要だったりする人がいますが、多くの人がこの仕事から抜け出そうと私たちのところにきます。このプロジェクトでは、収入を得る技術を身につけるだけでなく、彼女たちが自信を取り戻して自立する機会を提供します」とCWCCのプログラム・マネージャーのタク・ソチートは言います。

 

 

「私たちはUN Womenのトレーニングで知りあって一緒に美容室を始めることにしました」とシェムリアップの風俗営業店で働いていたクンテアとソカーニャは話してくれました。

(写真提供はUN Womenのステファニー・シムコックス)

 

 

 

 

トレーニングを通じて、女性たちは移住にはとても危険な罠が隠されていることも学びます。「このトレーニングを受ける前は、私はタイへ働きに行こうと思っていました。でも移住には安全なものとそうでないものがあることを知ったので、今ならその危険性もわかります」とクンテアは言います。

お店はまだスタートしたばかりですが、彼女たちは明るい未来に胸をふくらませています。「お店を始めて1か月で20人もお客様がきました。今、私はとても幸せです。きっとこれから明るい未来がやってくると信じています」とソカーニャは言いました。

* 個人が特定できないように仮名を使用。

日本政府の寛大な財政支援をもとに、UN Womenは国連薬物犯罪事務所(UNODC)と協力し、メコン河流域地域において、特に女性に焦点を当てて危険な状況にある国境の地域社会の人身売買に対するレジリエンス(強じん性)を高める活動をしています。具体的には、人身売買から逃れてきた人たちや人身売買の危険に遭遇している女性たちへの経済的支援、法律の執行における女性の参画やリーダーシップの強化を働きかけたり、国境の最前線で働く職員の能力を強化したりして、女性のニーズによりよく応える活動を行っています。

(翻訳:外山宗博・実務翻訳スクール)

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