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活動現場から

【15のストーリーNo.1】ウクライナ女性たちのレジリエンスと再生

 

壊された日常を取り返し、未来を再建する
~ウクライナ女性たちのレジリエンスと再生~

 

第1話は、今なお戦争のただ中にあるウクライナから——。

ウクライナで破壊されたのはインフラだけではありません。人々の日常や夢も壊されました。そして、女性たちの生きる選択肢は大きく狭まりました。それでも彼女たちは立ち上がり、地域を守り、経済を動かし、未来を創り出しています。UN Womenは、「被害者」の枠に収まらず、強くたくましく闘う女性たちの再生を支援しています。


 

■一歩踏み出す勇気がほしい、自信を持ちたい、と考える女性のために

「夢の実現(Dream and Achieve)」という教育プログラムは、起業する第一歩を踏み出したい、自信を持ちたいと考える女性のために用意されました。これはウクライナのNGOがUN Womenと提携して運営するビジネス講座です。アリオナ・デムシェンコさんは、戦争による苦しみを新たな機会に変えて起業した1万人の女性たちのうちの一人です。

写真提供: Aliona Demchenko

 

「はじめはなかなか心を開けなかったわ。でもこのプログラムに参加することは、ただ仕事をするというだけでなく、誰かを支援することにつながると気づいたの。それこそが本当に価値のあることなのよ。」

アリオナは38歳。戦争から逃れるため、暮らしていたザポリージャ地域のバルキー村から、子どもを抱えてドニプロに避難しました。夫は出兵し前線で戦っています。未来が見えない中で不安は募る一方です。それでも、幼児向けの再利用可能なノートを作るという夢のためにブランドを立ち上げ、販売を始めました。このノートは、子どもの発達を助けるだけでなく、子どもたちの日常の体験を探求と発見の機会に変えてくれるものです。アリオナはこのプログラムでデジタルスキルと顧客管理の方法を学び、市場の仕組みを理解しました。おかげで利益は倍増。子ども発達センターを作るという新しい目標もできました。

戦争を生き延びる、それだけでも大変なことなのに、ウクライナでは起業する女性が増えています。

 


 

■『女性の仕事ではない』と思われることが、もしかしたらあなたのミッションになるかもしれません

今もなおミサイルやドローンによる攻撃が続く地域で、支援物資の配給、メンタルヘルス支援、戦争被害からの復興にリーダーシップを発揮する女性たち。UN Womenが事務局を務める「女性の平和と人道基金(WPHF)」は、戦争が始まって以来、ウクライナの20地域で65を超える女性団体を支援してきました

女性たちはこれまで男性が主導してきた領域にも進出しています。

写真: HALO Ukraine/Iryna Krykunenko

「『女性の仕事ではない』と思われることが、もしかしたらあなたのミッションになるかもしれません。2年前のある日、私はハイヒールをブーツに履き替え、ドレスから制服に着替えたんです。今使っている探知機を手に取ってね。」

こう語るテティアナ・ルバンカさんの仕事は、地雷の除去です。10歳の男の子と12歳の女の子のお母さんで、ロシアの侵攻前までは布のインテリア業界で働いていました。

「私は多くの人と同じように静かで普通の生活を送っていました。私を動かしたのは、助けたい、という気持ちからでした。私は軍人の妻だし、ウクライナの土地をきれいにして、軍人や市民が安全な地域に帰れるようにしたいと思ったんです。」

テティアナは続けます。「訓練期間を終えて初めて地雷原に行ったときのことを覚えています。緊張して内心震えていました。最初の爆発物を見つけたとき、恐怖、アドレナリン、そして大きな責任感が入り混じっていました。その小さな地雷が大きな被害を引き起こすと分かっていたから。それを見つけたことで誰かの命を救ったのです。」

「すべての女性に言いたいのは、自分を信じてください!ということです。新しいことに挑戦することを恐れないでください。時にはこれらの挑戦があなたの人生の意味を明らかにしてくれます。」

 

戦争が突きつけたジェンダー格差

 

女性たちの機会を切り拓くUN Womenの成果

各国政府や皆さんのような民間の人たちからの寄付が、2024年に18万人以上のウクライナ女性と少女の支援を可能にしました。命を救う緊急支援、紛争下の性暴力からの保護、職業訓練などの復興活動、政治やビジネスで女性がリーダーシップを発揮する手助けまで、UN Womenは女性たちの機会を切り拓いてきました。

  • 2024年に立ち上がった個人事業の59%は女性によるもの(2021年は51%)
  • 女性起業家の割合は、過去3年間で40%から61%に増加
  • UN Womenが事務局を務める「女性の平和と人道基金」から、被害の大きい地域で活動する80の女性団体2,400万ドル以上を提供。
    その結果:
  • 発電機やソーラーランプ、充電器の購入で40か所以上の避難所や炊き出しが停電下でも稼働。
  • 最も被害の激しい地域で、2万3,000人を超える女性とその家族に食料、衛生用品、女性用品のセット、冬用衣類などを配布。
  • 4万2,800人超の女性に心理社会的支援やトラウマの治療を提供。

 

自分たちの望む未来を自らの手で決めるために

紛争と格差の拡大に揺れる世界で、その最大の代償を払っているのは女性と少女たちです。女性の権利は後退し、フェミニズムを黙殺する動きが主流化しつつあります。それでもウクライナの女性たちは「被害者」にとどまるつもりはありません。自分たちの望む未来を自らの手で決めるべく立ち上がっています。

 

出典:
Ukrainian women at the front lines of resistance and recovery | UN Women – Headquarters

Five stories of Ukrainian women entrepreneurs who transformed the challenges of war into opportunities | UN Women – Ukraine

Tetiana Rubanka, a deminer: “What seems ‘not a woman’s job’ may turn out to be your mission. We are strong. We can do it all!” | UN Women – Ukraine