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女性の健康に関する6つの厳しい現実

誤診から医療バイアスまで、女性は依然として真剣に受け止められず、正確な診断や適切な治療を受けられない傾向にあるーその理由を解説

2026年4月6日付

写真:Abbie Trayler-Smith

女性はこれまで以上に長生きするようになりました。しかし、女性の生活の質は向上していません。「ジェンダー平等はすでに達成した」と言う人や、「平等が行き過ぎているのでは」と疑問を呈する人がいたら、基本的な人権である健康は、依然としてすべての人に保障されているわけではないと指摘しましょう。

なぜなら、世界では女性が痛みを軽くあしらわれたり、症状を誤診されたり、病気の診断が手遅れになったりする傾向がより強いからです。これは、女性のことを考慮せずに設計された医療システムの結果です。

検査で今なお使われている器具から診断や治療の判断のもととなるデータに至るまで、医療システムには格差が生じており、女性の健康、安全、生活の質に実質的な影響を及ぼしています。

これが、私たちの日常生活におけるジェンダー不平等の姿であり、女性の身体を充分に考慮した研究、女性の痛みを真剣に受け止める医療、さらに尊厳、正確な診断と治療、女性や少女の身体に対する敬意をもって設計するシステムへと変えていく必要があります。

1. 婦人科の診察に用いる器具は、150年間ほぼ変わらず

冷たく、硬く、旧態依然とした器具
この器具は挿入時に多くの女性に痛みや不快感を引き起こす可能性があります。
写真:サイエンス・ミュージアム・グループ(イギリス)

内診に用いられる膣鏡は、初めて設計された19世紀当時と形状がほぼ変わっていません。

19世紀といえば、抗生物質の発見や麻酔の普及がなされる前で、ほとんどの国で女性が投票さえできなかった時代です。

女性は何世代にもわたって、不快は当然のことであり、女性につきものだと教えられてきました。

ところが今、状況が変わり始めています。女性主導のスタートアップやフェムテックの先駆者たちが、快適性、尊厳、安全性を最優先して、内診を見直しています。

とはいえ変化はゆっくりで、公的医療システム全体では、再設計された器具を採用しているのは、まだごくわずかです。

2. 女性の寿命は延びたものの、より長い人生の時間を健康状態が悪い状態で過ごすことに

女性の平均寿命73.8歳、男性の平均寿命68.4歳。しかし寿命が延びたからといって、より健康な生活を送るようになったというわけではありません。女性は男性より長生きです。けれども女性は人生の4分の1以上を体調が優れない状態で過ごしています

女性の平均寿命は73.8歳、男性は68.4歳と、女性は男性に比べて長生きです。しかしながら、人生の4分の1以上を体調が優れない状態で過ごしています。

これはつまり、女性が慢性的な痛みや疲労をやり過ごしたり、病気の治療を受けずにいたり誤診されたり、「病は気から」と何度も言われたりしながら、より長い年月を過ごしているということです。

寿命が延びたからといって生活の質が上がっているわけではありません。

多くの女性にとって、長生きは、医療システムからさえも冷たくあしらわれ、信用してもらえず、ないがしろにされる時間が長くなることを意味しています。

3. 女性が罹患する疾患は看過、男性が罹患する疾患は資金提供の対象

5倍以上の研究が行われているのはどちらでしょう。
女性の90%が経験する症状 VS 男性の19%しか経験しない症状

月経前症候群(PMS)は、ほぼすべての女性や少女に影響を与えます。多くの女性にとって、PMSとは毎月毎月、一定の期間に繰り返し起こる痛み、疲労感、生活に支障をきたすような精神的苦痛のことです。

勃起不全を患う男性の割合ははるかに少ないものの、 この疾患を対象とする研究はきわめて多く、資金が投入されています。

何十年にもわたって、この不均衡が、女性の痛みがどう理解され、あるいは誤解され、軽視され、またかなり頻繁に正常とみなされて放置されてきたかを形づくってきました。

しかし、このような状況は変わり始めています。

2023年にヨーロッパで初めてスペインが女性に有給の生理休暇を付与する法案を可決し、日本、インドネシア、韓国、台湾、ザンビアに続きました。この新しい法案では、生理痛は重い場合があり、医療支援と回復のための時間が必要であると認めています。

とはいえ、紙上の法案が必ずしも実社会を動かすわけではありません。多くの女性は偏見を恐れて必要かつ権利のある休暇を取らず、法律の導入以降も取得率は低くとどまっています

今必要なのは、ただ法を整備することではなく、可視化です。つまり率直な会話、知識を有する医療従事者、女性の健康ニーズを脇に追いやらずに当然のこととみなすリーダーシップが必要です。

4. 痛みの診断に10年近くかかることも

子宮内膜症を患うと、このような声がよく聞こえてくるかも…痛み止めを飲んだら?、原因は食生活、ストレスのせい、気のせい、生理痛がひどいだけ、妊娠すれば治る、ホルモンの影響、普通のこと…。

世界では女性や少女の10人に1人、推定1億9000万人が子宮内膜症を患っています。ところが、診断と治療には平均で4年から12年かかります。

言い換えると、慢性的な痛み、疲労感、炎症があっても何も問題はない、痛いのは普通のことと言われながら何年も暮らし、診断名のつかない症状に合わせて生活しているのです。

子宮内膜症のような疾患は珍しくなく、それ自体は問題ではありません。

問題は、女性の痛みが今なお頻繁に軽視され、治療が遅れ、誤診されることです。痛みを深刻に受け取ってもらえなければ、診断が手遅れになります。


5. 1990年代まで女性は医療研究の対象外

1990年代まで、女性は医療研究の対象外
臨床試験の被験者は男性のみ
 

1993年まで、女性は臨床試験の対象からほとんど外されていました

つまり、治療や医薬品は何十年もの間、男性の身体を基準に開発されており、女性に関しては適切な試験が行われていませんでした。

  • 投薬量の基準は男性の身体を基に設定
  • 症状は男性の身体をもとに定義
  • 女性の副作用は往々にして看過

私たちは今なおその影響を受けています。

女性は薬の有害反応が起こりやすい傾向にあります。女性の症状は誤診されることが多く、自己免疫疾患など、主に女性が罹患する疾患については、依然として十分な研究がなされていません

今日でも大きな格差が存在し続けており、新たな形で再生され続けています。臨床研究から医療に用いられるAIツールに至るまで、女性に関する限られたデータが引き続き疾患の研究、診断、治療のあり方の決定に用いられているのです。

最近の研究では、新型コロナウイルス感染症への対応時をはじめ、治療がすべての人にとって安全で効果的であるために、臨床研究で性別とジェンダーを考慮することがいかに重要かが強調されています。

写真:UN Women/Bektur Zhanibekov

もう一つの問題は、医療分野の指導者に女性が少ないということです。これは重要なことです。なぜなら、女性の医師やリーダーは患者中心の医療、エビデンスに基づく実践、女性の健康状態を向上につながる方針を優先させることが多いからです。例えばアメリカでは、女性医師が治療した高齢患者の死亡率や再入院率が低く、インドでは女性のリーダーが多い地域ほど新生児の死亡率が低いということがわかっています。

保健分野だけでなく他の分野でも、指導的な地位にある女性を支援すると、命が救われ、すべての人がさらに効果的な医療を受けられることになります。

6. 症状が教科書にあてはまらず、それが命取りになることも

心疾患は女性の死因の第1位です。けれども、胸の痛みが腕に広がっていくという典型的な症状は、主に男性が心臓発作を起こした時に現れる症状がもとになっています。

女性の場合、疲労感、吐き気、息切れ、顎や背中の痛みなど、異なる症状が現れる場合があります。

こうした兆候は認識されにくいため、女性は血管形成手術やステント手術など、命を救う治療を適切な時に受けられないことが多くなりがちです

結果的に、女性は男性に比べて心臓発作後の死亡リスクが高まります。

場合によっては、治療を受けずに家に帰されることもあります。

SDG 3
すべての人に健康と福祉を

SDGs目標3を学んで、世界の女性の健康と福祉の状況を調べてみましょう。

原文:https://www.unwomen.org/en/articles/explainer/six-uncomfortable-truths-about-womens-health

(翻訳者:本多千代美)

※ 翻訳者の方々が、ボランティアでUN Womenの記事を翻訳してくださっています。長年のご協力に感謝申し上げます。