【報告書】証拠はここに:女性の権利擁護団体への投資は確かな成果を生む
2026年7月9日付
「女性に対する暴力撤廃国連信託基金」2025年報告書
―アビゲイル・エリクソン代表によるまえがき—

第70回国連女性の地位委員会(CSW70)の開催を目前に控え、この「2025年報告書」の起草を始めた矢先、ヤナル・モハメッド氏がバグダッドの自宅前で殺害されたという知らせを受けました。ヤナル氏は「イラク女性自由機構(OWFI)」を共同設立し、2003年に同国初の女性シェルターを開設しました。数十年にわたり、ほぼ絶え間なく殺害の脅迫にさらされながらも、彼女は名誉殺人、人身取引、家庭内暴力から多くの女性を守り続けてきました。彼女の正義、安全、自由、そして平等を追求する姿勢は一度も揺らぐことがありませんでした。
私たちは、ヤナルさんの歩みや、「女性に対する暴力撤廃国連信託基金(UN Trust Fund)」が手を携えてきた数多くの素晴らしい組織の一つであるOWFIにわずかでも関わることができたことを誇りに思います。私たちは、ヤナルさんが殺害されたことに、深い衝撃と怒りを覚えています。彼女は、女性の権利を守るために、究極の犠牲を払いました。世界中の非常に多くの場所で、非常に多くの女性たちがそうしてきたように。
2025年は厳しい年でした。女性や少女に対する暴力が増加しました。ジェンダー平等に対する逆風は単なる言葉の領域を超えて、政府間の様々な場を含め、具体的な行動へと発展しました。市民社会の活動空間は縮小し続け、その防波堤を死守している女性権利団体の資金も減少しました。その防波堤を守るのが最も困難な、まさにこの時期に。

2025年、当基金が公募した助成金には128カ国から4,000件近くの申請があり、その要請総額は21億米ドルに達しました。しかし、私たちが資金提供できたのはその1%にも満たず、この格差は長年にわたり変わっていません。私は、女性や少女に対する暴力の撤廃に取り組む基金の代表者として、この数字を受け入れることはできません。この数字は、女性権利団体が実現しようとしていることと、彼女たちが利用できる援助資金との間に、いかに大きな隔たりがあるかを如実に示しています。
資金が増えれば、より多くの成果を上げることができます。当基金の「2021~2025年戦略計画」期間中に実施されたさまざまな評価を客観的に分析した結果、女性の権利擁護団体への継続的な投資が確かな成果を生むことが、データによって裏付けられました。これは、助成先のパートナー団体が長年にわたり実証してきた事実です。継続的な投資は、有害な社会規範を変え、被害者支援サービスの利用機会を広げ、より適切に対応できる司法制度の実現につながります。そしてより強固でレジリエントな女性団体を築き上げるのです。解決策は既に存在しており、女性や少女、そして彼女たちが率いる団体がそれを実現しています。年次報告書に掲載された成果が、その証左です。
2025年は「北京行動綱領」の採択から30年、そして2026年は女性に対する暴力撤廃国連信託基金の設立30周年という節目にあたります。当基金は、女性や少女に対する暴力の撤廃に特化した、国連総会が定めた唯一の基金であり、国連システム全体にわたる機関横断的な共同資金調達・説明責任メカニズムです。国連の改革が進む中、有効性が実証されており、持続可能で、国連・加盟国・市民社会間の数十年におよぶパートナーシップの上に築かれた当基金のようなメカニズムこそ、まさに保護され、強化されるべき存在です。
新たな戦略計画の開始にあたり、当基金は時代の要請に応えるべく進化を続けています。助成先である私たちのパートナーにより近い場所で活動し、可能な限りすべての資金を最も必要とされる場所に届けるというシンプルな約束を具現化するため、私たちはグローバルな拠点(バンコク、ボン、イスタンブール、ナイロビ、ニューヨーク、パナマシティ)を基盤とする事務局体制へと移行しました。
この年次報告書を通じて、女性権利団体や市民社会組織が、資金、信頼、そして柔軟性を得て活動を主導できるようになったときに、どのようなことが可能になるのかをお伝えできれば幸いです。
助成先パートナーの皆さまへ:この報告書は皆さまのものです。私たちとともにこの報告書を作り上げてくださったことに感謝申し上げます。ここには、皆さまの勇気、専門知識、そして不屈の精神が反映されています。多くの機関が撤退せざるを得ないような状況下でも、皆さまは女性と少女たちへの支援を止めず、皆さまの取り組みを発展させるための新たな環境を築き上げています。皆さまのリーダーシップが、この分野を前進させ続けているのです。
ご寄付者および加盟国パートナーの皆さまへ:多国間主義が脅かされ、軍事費への投資増加により援助資金調達が圧迫されている今、女性の権利擁護団体とともに歩んでくださっていることに感謝申し上げます。
女性や少女に対する暴力を終わらせることは可能です。私たちは成し遂げることができます。私たちには解決策があり、意志があり、パートナーがおり、権限があり、そして確固たる決意があります。
ヤナル・モハメッドさん、そしてすべての女性の人権擁護者の皆さまへ:私たちは皆さまの活動を継承し、皆さまと連帯して立ち続けます。
アビー・エリクソン、ならびに女性に対する暴力撤廃国連信託基金チーム一同
2025年年次報告書はこちらからお読みいただけます(英語)

