ベトナムにおける女性の生活基盤と災害・気候変動に対するレジリエンスの強化 

2020年2月15日

 2020/1/8 UN Womenアジア太平洋地域ウェブサイトより

ベトナムの農村に住む51歳の女性、トラン・ティー・ミー・リンが、自分の水田をハス田に変えると言い出したとき、多くの人々が目を丸くして驚きました。ベトナムの首都ハノイのすぐ南にあるフー・イェン県の小さな集落ホア・ドンでは、村人は代々稲作に従事してきたからです。しかし、近年の気候変動の影響で、フー・イェンをはじめベトナムの農村地域に住む何百万人もの住民は生計を立てる新しい道を探し始めました。

トラン・ティー・ミー・リン(51歳)。写真撮影:UN Women/タオ・ホアン

「天候は極端で不安定になる一方です。台風や豪雨、洪水が頻繁になり予測がつきません。私の村は絶えず洪水の危険にさらされています。稲作に打撃を与えるような大洪水が起こらなかった年はなかったと言っていいほどです。遅かれ早かれ私たち一家は新しい収入源を見つけなければならないと思いました」と、リンが話してくれました。 UN Womenの支援を受け、リンと村の住民は、ベトナム安全生産管理基準を満たすハス栽培の技術を新たに習得しました。

写真撮影:UN Women/ファム・フォン

生計基盤構築のための新しいプロジェクトが村にやってくることを耳にすると、リンはすぐさま夫と近所の人たちをプロジェクトに参加するよう説得しました。リンの一家のほか25世帯が参加者に選ばれました。UN Womenの支援のもと、参加した農民は、ベトナム安全生産管理基準(VietGAP)の基準を満たすハス栽培の技術を新たに習得し、市場や経営について学び、自分たちの生産物を強力なブランドに育てる技術も学びました。

UN Womenが主催する市場開拓と経営管理の研修を受けるリン。
写真撮影:UN Women/タオ・ホアン

4か月後、ハス田からあがる収入は米の6倍になり、リンとプロジェクトの参加者は経済的な成功を収めました。

「ハスの種子や他の生産物、たとえば、ハスの葉や根が高値で売れました。地元の企業数社が、私たちのハス田の産物を全部買い上げると約束してくれしました」とリンは言います。

フー・イェン女性組合のダン・ティ・ホン・ガ議長は、「プロジェクトのおかげで、地元の女性は、持続可能な形で災害へのレジリエンスを強化する機会を得ましたが、それ以上に大事なことは、 プロジェクト遂行全般に渡り、女性が意思決定に全面参加できる機会ももたらしたことです。このプロジェクトの前にも別の生計基盤モデルをいくつか試しましたが、ここまでの成功にはいたりませんでした。9月に、リン達のハス田は、フー・イェンで初めてVietGAP認証を受けたハス栽培モデルになりました。これによって、農村の女性が高収入を得る機会が拡大するでしょう」。 リンとプロジェクトの参加者はハス栽培で稲作の6倍の収入をあげ、経済的な成功をおさめました。

写真撮影:UN Women/タオ・ホアン

ベトナムは気候変動や災害に最も弱く、最も打撃を受けている国の一つです。2019年の世界気候変動リスク指数によると9位にランクされています。ベトナムの人口の65.76%が農村に住んでいます。労働人口のほぼ半分は農業に従事しており、少数民族では、農業が突出して主要な収入源になっています。農村の女性の多くは小規模農家で、特に貧しい少数民族の女性は、情報やリソース、資金貸付、市場、職業訓練、農業改良普及事業へのアクセスが乏しく、やっと自給自足できる程度の農業を営んでいます。このことが制約となって、気候変動に適応しレジリエンスを構築する可能性を阻んでいます。

9月、UN Womenの支援を受けたハス田は、フー・イェンで初めてVietGAP認証を受けたハス栽培モデルになりました。


写真撮影:UN Women/タオ・ホアン

エリサ・フェルナンデスUN Womenベトナム事務所長は、生計基盤と能力開発に対する適切な支援があれば、気候変動の影響を受けた地域の女性も、気候変動に適応し、レジリエンスと持続可能な開発を高めていく上で効果的な貢献を果たすことができると述べ、以下のように付け加えました。

「このことから、ジェンダー平等は効果的な災害対応と気候変動への適応を目指す活動の土台であると考えられ 、SDGs(持続可能な開発目標)を達成するために欠かせない要素でもあります」。

「ベトナムにおける女性の生活基盤と災害・気候変動に対するレジリエンスの強化」プロジェクトは、ラオ・カイ、カン・ナム、フー・イェンの3県で実施されており、およそ400人の人々に直接的な影響を与えています。このプロジェクトは2018年から2021年の3年間、シャネル財団の助成金で実施されています。

(翻訳者:岩田茂美・実務翻訳スクール)

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