COVID-19感染拡大が続く中、ハイテク大手、UN Womenと協力してドメスティックバイオレンスの被害者に命を守る情報を提供

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2020年8月2日

2020/6/24

世界で数十億の人がいまだ新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン下にある中、家庭内に目を向けると、女性への暴力という影のパンデミックが広がっています。

女性と少女への暴力は重大な人権侵害のひとつで、新型コロナウイルスの感染拡大前から世界中で起こっており、3人に1人の女性が被害を受けた経験があります。最近のデータによると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンが始まって以来、多くの国でヘルプラインを通じて把握されたドメスティックバイオレンスの報告件数が急増しています。世界の国々で今、経済危機、サービスの不足が生じ、人々のストレスが高まっている中、多くの女性が身を守るために必要な情報や支援のサービスを利用することができないまま、虐待をするパートナーと共に閉じ込められて社会から孤立しています。

(日本事務所字幕製作)
新型コロナウイルスの発生以来、女性と少女への暴力が世界中で増加しています。ロックダウン政策で感染拡大は抑えられていますが、家庭で暴力を受けている女性や少女は、支援者やサービスからますます隔離されています。この新しい公共広告では、ケイト・ウィンスレットさんにご協力いただき、影のパンデミックに光を当て、被害を受けている女性を支援するためにできる3つの行動を紹介しています。
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こうした暴力の急激な増加に対し、世界各地のUN Women 事務所はドメスティックバイオレンスの被害者にとって重要なヘルプラインサービスの情報を提供するために、グーグル、ツイッター、フェイスブックのようなハイテク大手と協力しています。

5大ハイテク企業のうちグーグルとフェイスブックは、UN Womenと協力して、暴力の被害者が情報や支援サービスを利用できるように取り組んでいます。

グーグルは最近「Ad Grants危機救済プログラム」を通して、最高で100万米ドル相当の広告費を助成金としてUN Women に提供しました。世界で急増しているドメスティックバイオレンスに立ち向かうため、女性に対する暴力の撤廃に関連する支援サービスをはじめとした2020年の新型コロナウイルスとジェンダー平等についての情報の啓発に役立てています。グーグルは、アメリカで同社のサイトのCOVID-19 information hub 上にUN Womenの関連ページへのリンクを掲載しており、今後対象の言語と国を広げていくつもりです。

フェイスブックもドメスティックバイオレンスの被害者を対象にしたサービスを、同社のプラットフォーム上で容易にそして迅速に利用できるよう取り組んでいます。62のUN Women各国事務所は、長年のパートナーである米国のドメスティックバイオレンス撤廃のための全国ネットワーク(NNEDV)と世界女性シェルターネットワーク(GNWS)とともに、フェイスブックに ヘルプラインのリストを掲載しています。その他に、家庭内虐待の兆候を知る方法、ドメスティックバイオレンスを受けている疑いのある人を助ける方法、自分自身を守る方法など、さまざまな関連する情報や支援サービスも掲載しました。これらの情報は世界のどこからでも見ることができ、例えば COVID-19 information Center やフェイスブックのグループといったプラットフォーム上ですぐ目につくように工夫されています。

「こうした絶望的な状況にある何百万人もの女性も、地元のシェルターやヘルプラインに関する適切な情報さえ得れば、大きく状況を変えることができます」とプムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長は述べています。「虐待をするパートナーに厳しく支配されている場合は特に、パートナーに知られずに支援を受けられる場所を探し出すことは難しいでしょう。助けを求めている女性が身の安全を守りながら容易に情報を見つけられるようになったのは、ハイテク企業の皆さまの強いお力添えによるものと大変感謝しています」。

アジア太平洋地域では、新型コロナウイルスに伴うロックダウンが始まる前から、すでに3人に2人の女性が暴力を受けたことがあるとの報告がありますが、ツイッターとの協力により、迅速に支援が受けられるようにヘルプラインの番号を提供しています。ツイッターの利用者が女性に対する暴力に関する言葉(虐待、性的暴行、ドメスティックバイオレンスなど)を検索すると、検索結果のトップにその地域の言語で「あなたが今暴力を受けているなら、支援を受けることができます」というメッセージと、ホットラインの番号とそのサービスのTwitterアカウントへのリンクが表示されます。

ツイッターはUN Womenのサポートを受けて、 #ThereIsHelp キャンペーンの一環としてこのメッセージをタイ、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、ベトナムで表示しています。

「アジア太平洋地域全体で女性と少女への暴力は蔓延していますが、実際の報告件数は非常に少ないです」とUN Women で女性への暴力撤廃を担当するアジア太平洋地域マネージャーのメリッサ・アルバラード氏は述べています。「暴力を受けた女性が通報したり、何らかの助けを求めたりするのは全体の40パーセントにも満たないのが現状です。世界各国で新型コロナウイルス拡大抑制のためのロックダウンや外出禁止が長引くにつれ、暴力をふるうパートナーと暮らしている女性は、支援をしてくれる人や支援サービスからますます隔離されています。危険にさらされ、おびえて暮らしている女性を守るには、外部とのつながりをつくることが不可欠です」。

#ThereIsHelp キャンペーンの一環として、ツイッターは利用者に対し、暴力を受けている女性にサポートのメッセージを送ったり、そうした女性を支援するサービスが誰でも利用できることを他の人に知らせたりするよう呼びかけています。

(翻訳者:早乙女由紀・実務翻訳スクール)

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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