UN Women、ベイルート爆発で被害をこうむった女性・少女を緊急支援

2020年8月22日

深刻な経済危機にあえいでいたレバノン、今度は爆発に見舞われ、復興計画の中心に女性を置く必要に迫られています。

2020年8月13日

破壊された家の前にたたずむ女性、ベイルート、カランティナ 写真:Dar Al Mussawir

ザロウク・アル・マラーナジは、現在ベイルートに住んでいるシリア難民女性です。8月4日の午後、ソファーに座って休んでいるときにすべてのものが揺れ始めました。「息子はその時バルコニーで遊んでいたのですが、文字通り飛ばされてデッキに打ち付けられました。幸い軽い傷を負っただけで済みました」と彼女は言っています。

アル・マラーナジ一家は、8月4日に2つの爆発に見舞われたベイルート港から10キロも離れていないタリク・エル・ジードの近郊に住んでいます。爆発は都市を破壊し、現在のところ少なくとも200人が死亡、5,000人以上が負傷し、約30万人の人々が家を失いました。

ザロウク・アル・マラーナジはシリアの暴力から逃れてきたトラウマも癒えていませんでした。そのような中でUN Womenの難民・地元女性を対象とした職業訓練を受け、石けん・ろうそく作りのビジネスを始めたばかりでした。今はもう恐ろしくて、生計の道も閉ざされてしまいました。

破壊された自分の家の前に立つ女性、ベイルート、ジェマイゼ、2020年8月5日 写真:Dar Al Mussawir

爆発の前でさえ、COVID-19(新型ウイルス感染症)のせいでレバノンの医療体制はひっ迫していました。爆発の数日後、8月9日には294人の感染が報告されており、これはレバノンの新記録でした。

UN Women:2020年ベイルート爆発対応計画

UN Women: 2020 Beirut Explosion Response Plan

UN Womenはレバノンや国連のパートナー機関と協力して、そのプログラムやノウハウを調整し、女性・少女に緊急支援しようとしています。パートナー機関の多くは、女性が主導するレバノンの団体なのですが、UN Womenはそれらの団体を通して被害者を緊急保護したり、心理社会的援助を提供したり、すぐに必要な食料や現金の配布を支援したりしています。全国NGOであるケア・インターナショナル・アバ―ドの協力も得て、様々な支援ニーズにジェンダー視点を入れた評価も進行中です。これは国連人道支援の一環でもあります。性暴力は危機の後に増えるものですが、この問題に取り組むためにもUN Womenはパートナー機関と協働しています。国連及びレバノン内外のパートナー機関、国内の人道支援機関が主導する「性暴力及びジェンダーに根差す暴力対応計画(Inter-Agency Sexual and Gender-Based Violence Response Plan)」の一環として、UN Womenは、近隣地域の安全評価を支援し、女性・少女に必需品を配布するため、ジェンダーに根差す暴力の専門家によるモバイルチームを展開しています。対応計画には、特殊なサービスや心理支援が必要な女性・少女をどのように見つけ出すかの情報も含まれています。

ベイルート爆発は、2019年の経済危機、それに続く2020年3月に始まったCOVID-19パンデミックにさらなる追い打ちをかけました。パンデミックによって世界中のDVや女性に対する他の形の暴力が増えています。レバノンのある調査によれば、回答者の54%がコミュニティーや家庭で女性に対する暴力や虐待、ハラスメントが増加していると言っています。女性が確実に支援やサービスを受けられるようにすること、そのような支援にどのようにアクセスできるかの情報を提供することは非常に重要です。

ベイルート、ジェマイゼで欠かすことのできない食料を配布する若者たち、2020年8月5日 写真:Dar Al Mussawir

COVID-19やベイルート爆発でさらに深まった経済危機により女性の経済活動への参加が減少し、減少率は14%から19%に増加していると推定されています。ジェンダーギャップが高く(レバノンは2020年の世界経済フォーラムジェンダーギャップ報告書によると153カ国中139位を占めている)、女性の労働市場参加率が最も低い国の一つであるレバノンのような国(労働力率は、女性29% [1]、男性76% [2])にとって、この影響はとくに厳しいものです。これらの不平等はレバノンの公式・非公式労働市場で働く難民や移民にも反映されています。

「平均して女性は男性に比べ外からのショックから立ち直るためのツールやリソースを少ししか持っていません。これは女性を男性の下位に置く既存のジェンダー不平等のせいです」とレイチェル・ドーレ‐ウィークスUN Womenレバノン代表は述べています。「女性は銀行口座、貯蓄、年金を持たず、社会保障へのアクセスもないことが多いのです。我々の対応策ではこのことを認識し、緊急かつ長期的復興努力によって女性が男性と同等に充分に立ち直れるようにしなくてはなりません。この危機は、女性を男性より貧困に陥りやすく、暴力の被害にあいやすくしてきた昔からのジェンダー不平等を正すまたとないチャンスでもあります」

ベイルート爆発後チームを組んで道路を掃除する若者たち ベイルート、ジェマイゼ 2020年8月6日 写真:Dar Al Mussawir

この危機の後、UN Womenはレバノンの復興プログラムをさらに拡大し、平和と安全分野での女性のリーダーシップを強化しました。これこそ、国や地域の安定を確実なものにするカギとなる要素だからです。

UN Womenはクロアチア、フィンランド、日本、オランダ、ノルウェー、スイス、スウェーデン、フォード財団、レベッカ・ダイクス財団、国連SDGs基金、国連人間の安全保障基金からの拠出による5つのプログラムをレバノンで展開しています。これらのプログラムは、レバノンの経済危機、COVID-19に取り組むことに焦点を当て、またベイルート爆破の被害者を長期的に支援していこうとしています。

[1] ILO and Central Administration of Statistics, Labor Force and Household Living Conditions Survey (LFHLCS), 2018-2019, https://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/—arabstates/—ro-beirut/documents/publication/wcms_732567.pdf.

[2] World Economic Forum, Global Gender Gap Report, 2020, http://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2020.pdf.

カテゴリ: UN Women , ニュース

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