「ロヒンギャ難民女性支援」実施報告

2019年3月3日

国連ウィメン日本協会2018年度拠出金支援プロジェクト
ロヒンギャ難民危機への対応:学習、生計、コミュニティー支援

○UN Womenとそのパートナー、ロヒンギャ女性・少女のための多目的女性センター2か所目を開設


2018年10月、UN Womenは第4キャンプにロヒンギャ女性・少女のための多目的女性センター(MPWC)の2か所目を開設した。新施設は第18キャンプにあるMPWCの3倍の大きさで、ロヒンギャ女性に役立つ新しい機能や設備を備えて いる。新施設には共同で料理したり制作したりするスペース、会議室、ミーティングと研修が同時にできる広い公共スペースがある。第2MPWCはまた災害時のシェルターとしても使えるようになっている。

この2つのMPWCは基本的な健康相談やGBV(ジェンダーに根差す暴力)の相談窓口の紹介、女性の健康支援サービスを提供している。

ロヒンギャの女性達はMPWCをキャンプ生活の混乱から逃れられる避難所ととらえている。つまりここでは女性たちが経験を共有し、コミュニティーを作り、安全でいられる場所なのだ。ハシナ・ハトゥンもセンターのことをこのようにほめている。「私はUN Womenの研修に数回参加し、今では家族をよりよく支えられるようになったと感じています。家族は皆私のことをもっと尊敬してくれるようになりました。友人や家族にも研修に参加するよう勧めています」

2018年1月に最初のMPWCがオープンして以来、センターを訪れる女性・少女の流れが絶えない。10月に第2センターが開設され、さらに多くの女性達が、クラスに参加したり、サービスの情報を得たり、ただおしゃべりのためにセンターを訪れている。MPWCは今や女性達を繋ぐ要となっているのだ。ここでは女性たちが一緒に料理し、課題を話し合い、つながっていける。多くのロヒンギャ女性にとってコミュニティーの一部になるということは今まで経験したことがないのが実情だ。

2018年1月から11月までに17,226人の女性が第1及び第2MPWCを利用し、11月25日から12月10日までのジェンダーに根差す暴力根絶16日キャンペーンの期間中は利用者が大きく増えた。平均値 で見ると、第18キャンプの第1MPWCは毎日115-160人、第4キャンプの第2MPWCは120-190人が利用している。UN Womenとパートナーは2019年に新たなプログラムや研修が実施されればこの数はもっと増えると期待している。

この活動の実施機関であるActionAidYMSAは女性省やバングラデシュ児童省から技術的支援を受けながら両MPWCで毎日プログラムや活動を展開している。

○ロヒンギャ女性の自己発見、エンパワーメント、リーダーシップ向上


2018年の10月、11月にUN Womenは「女性のエンパワーメント、参加、リーダーシップ」という対話型研修を開発し、今までに300人のロヒンギャ女性を研修した。単位には、ロヒンギャ女性が子供のころから親しんできたロールプレイ、輪くぐりジャンプのようなゲーム、双六などが含まれている。ロヒンギャ女性の識字率が比較的低いことから、研修は彼女たちに読み書きを要求していない。目的は女性たちがリラックスした雰囲気の中で他の女性達と交流し、きずなを築くことである。このようなグループ活動の評判は良く、ますますその人気が高まっている。研修の後、あるロヒンギャ女性は「ゲームをしながら子供時代に帰りました」と述べ、また別の女性は「ジャンプゲームをする前には躊躇しました。なぜなら思春期後は体を動かす事を勧められていませんでしたから」と述べている。

研修は、自己エンパワーメント、自信構築、家庭での暴力削減、少年・少女を平等に待遇する、など奥の深いテーマを取り上げている。センターは教育や情報へのアクセス、家庭内の意思決定アプローチなど実質的な情報を提供する要となっている。多くの女性は今まで家庭で意思決定をすることが許されていなかった。でも今では女性たちは地域の問題解決やよりレジリエンス(復元力)のあるコミュニティー構築をめざして、リーダーシップ、ネットワーキング、社会的動員の授業を受けている。


コースをとった女性はクラスは、自分、家族、コミュニティーについて改めて考えるきっかけを作ってくれたと述べている。参加者の一人は以下のように強調している。「研修に参加することで、人生初めて自分について考えること、自分を大切にすることの重要さを学びました。自分が自分の足でたてるようになれば、他人を助けることができます」

UN Womenの現場は18人のロヒンギャ女性を使って研修単位をテストし、19人のActionAidとYPSAスタッフ(女性14人、男性5人)を含むパートナーを教育するためのトレーナー研修を実施した。現在までに300人の女性を研修し、2019年にはさらに4,000人を研修する予定である。

○UN WomenとWFP(世界食糧計画)、ロヒンギャ女性の生計向上を目指して手を組む


2018年9月、UN WomenとWFPは最も弱い立場にある女性と思春期の少女に維持可能な生計の機会を提供するためにパートナーを組む覚書を交わした。2つの国連機関の共同事業はお互いのユニークな強みを利用しようとするものである。UN Womenは生活技能やリーダーシップ研修、自助グループの立ち上げなどを担い、WFPは識字や基礎数学の研修を行い、木版印刷のような生計につながる実質的な研修を女性たちに提供した。収入につながる研修はロヒンギャ女性たちの間で人気を呼び、多くが伝統的な縫製や刺繍を超えて職種を広げていくことに興味を示した。女性たちはいくつか決められたクラスを終了すると、現金援助を受けられる。MPWCの研修が多様化することで女性たちのモチベーションが高まり、続けて研修を受け受けるようになり、活性化につながった。ジェンダーに根差す暴力根絶16日キャンペーン中には、ActionAidがロヒンギャ難民が作った製品を展示し、女性たちが新たに獲得した技術を披露した。MPWCは生計研修やそれに関連する活動の要として活動している。

○人道支援におけるジェンダー(GiHA)研修:難民対応で連携


UN Women, UNHCR, 人道支援におけるジェンダー(GiHA)ワーキンググループは共同で「人道支援におけるジャンダー(GiHA)研修:難民対応で連携」を11月11日-12日に実施し、UNパートナー/セクターやロヒンギャ難民対応を実施しているNGOにどのようにジェンダーニーズを測るか、ジェンダー分析ツールを使うかを伝授した。強調されたのは、戦略的計画作成過程で、特にジェンダーに配慮した指標やIASC(機関間常設委員会)ジェンダー&年齢マーカーを利用して、ジェンダーを中心に据えることがいかに大切かということであった。

同グループには多方面の国際・国内組織が参加している。主なものは、社会正義センター、オックスファム, UNHCR, IOM, WFP, プランインターナショナル、セーブザチルドレンなどである。これは2018年中2度目の研修であった。

○ロヒンギャ女性は#HearMeToo(私の言うことを聞いて)と言っている―女性に対する暴力根絶16日キャンペーン

ロヒンギャ危機発生以来、沈黙、スティグマ(烙印)、恥辱がコックスバザールそばの難民キャンプで起こるジェンダーに根差す暴力に油を注ぎ続けている。深く根を張った文化や社会規範は女性が自分たちのために発言しにくくし、世帯の重大決定ができなかったりコミュニティー活動に参加できない状況を作り出している。つい最近までロヒンギャ女性は孤立していた。


女性に対する暴力根絶16日キャンペーンは、#HearMeTooのテーマのもと、女性たちの連帯を強めた。その中のイベントは「団結しよう、女性への暴力を終わらせるために(UNiTE to End Violence against Women)」の一部とみなされた。このキャンペーンによってコックスバザールのロヒンギャ女性・少女は、彼女たちの毎日の生活を左右する暴力の世界的な広がりに声をあげるチャンスを持てるようになった。

コックスバザールではこのキャンペーンは第2MPWCの植樹式で開幕した。ロヒンギャ女性・少女は一緒に最初の数本を植えた。後に女性達はキャンプ中に100本の木を植え、それは暴力から解放された安らかな将来のシンボルとなった。


植樹のあと、ロヒンギャ女性たちはイマーム(イスラム教高僧)、ロヒンギャコミュニティーリーダー、キャンプ運営者(CiCs)と会い、自分たちの生活に悪影響を与えている様々な問題について話し合った。最も緊急を要する問題には、日常的にまん延しているキャンプ内の暴力、DV, 児童音、強制労働、まだ広く行われている持参金の習慣などが含まれる。また女性に対する暴力を根絶あるいは削減するには男性・少年が話し方や行動をどのように変えていけばよいかなども話し合われた。

UN Women, GiHAワーキンググループ、難民対応の中のGBV(ジェンダーに根差す暴力)サブセクターがリードして実施された16日キャンペーンでは真の意味で皆が協力し、様々な分野からの広い参加が実現した。20に及ぶ国内外のパートナーが参加し、キャンプ内で200のイベントや活動が開催された。

このキャンペーンは男性・少年の参加も促した。キャンプ内に住む男性、キャンプ運営者は、女性に対する暴力を引き起こす緊張を和らげる手段としてスポーツを奨励し、サッカーの親善試合を実施した。


UN機関やパートナー組織はオレンジ色で#HearMeTooがプリントされたTシャツ3500とスカーフ500を配布した。言語はベンガルの人々が話すマガダ語、英語、ビルマ語で書かれており、「私は子供であって花嫁ではない」「暴力と虐待に言い訳はない」「本当の男は女をぶたない」などのスローガンもついている。

○ジェンダーに根差す暴力(GBV)に取り組むため警察機能を強化


UN Womenはバングラデシュ警察と共同で73人の警察官向けに「ステークホルダーの能力構築」ワークショップを開いた。73人の警察官のうち50人は女性で、10人はNGOスタッフやパートナーであった。このワークショップではどのようにGBVに対応すればよいか、どのように法医学的証拠を集めて保管するか、被害者や目撃者とのかかわり方などが討議された。この対話型研修では、女性・子どもに対する暴力犯罪に取り組む上で法執行機関の果たす役割は何かが討議され、信頼関係を築くには被害者中心のアプローチをとることがいかに大切であるかが強調された。NGO研修の最終日には警察が被害者や目撃者を守り、証拠を確保し、犯罪現場の異物混入防止する上で各組織がどのようなツールや戦略を駆使すれば警察を支援できるかが話し合われた。この研修の成果は、警察、NGO, パートナーが共同で作成した女性に対する暴力という犯罪をどのように防止していくかに資する計画である。この報告書は2019年の始めに発表される。 

(翻訳者:理事 本田敏江)

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