アフガニスタンの女性リーダーが国連で「席を譲ってください」と発言

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2021年11月10日

アフガニスタンの女性リーダーと人権擁護活動家達は、2021年10月21日に国連安全保障理事会の会議室の外で記者会見を行った。

向かって左から2人目がAsila Wardak, Fawzia Koofi (発言している女性), Anisa Shaheed 及び Naheed Farid。 写真提供:UN Women/Amanda Voisard

2021年8月15日、アフガニスタンはタリバンの手に落ちた。それ以来、全国の女性と少女の生活は深刻な影響を受けている。少女達は中等学校へ通うことを禁止され、女性は仕事を続けることができず、女性に対する暴力は増加している。

2021年10月21日、UN Womenとパートナーは、国連安保理女性・平和・安全保障に関する公開討論の傍ら、ニューヨークの国連安全保障理事会本会議で行われた一連の公開討論やハイレベル会合でアフガニスタン女性代表団が参加して演説する機会を設けた。代表団は、アフガニスタンの女性国会議員、女性指導者と人権擁護活動家、ジャーナリスト、市民団体リーダー及び研究者で構成されていた。

2021年10月21日、国連本部で開かれた会議「アフガニスタンの新章:アフガニスタンの女性と少女の支援の確保」に向けて歩いている女性リーダー、人権擁護者で構成されるアフガニスタン代表団。写真提供:UN Women/Amanda Voisard

元共和国和平交渉官で女性では初めてのアフガニスタン議会副議長であるFawzia Koofiさんは、「アフガニスタンの新しい章: アフガニスタンの女性と少女を支援する国際協力を確保する」というテーマのサイドイベントで「アフガニスタンの女性たちについては多くのことが話されているが、ほとんど耳を傾けてもらえなかったので、私たちはこの機会を感謝します」と述べた。このイベントは、英国、カナダ、カタールの国連常駐代表部、UN Women、ジョージタウン女性平和安全保障研究所が共催した。

「1年前、私はいつかこの美しく権威ある建物に来て、アフガニスタンの大統領として話すことを夢見ていました」とKoofiさんは続けた。「私と一緒に、アフガニスタンの何百万人もの少女と女性は、今になっては、決して実現しないと思うこの夢を持っていました。」

Koofiさんと共に、Naheed Faridさん, Asila Wardakさん, Mariam Safiさん, Anisa Shaheedさん, Sofia Ramyarさんは、安全保障理事会の公開討論、および一連のイベントに参加し、同国の現在の人権状況に関するブリーフィングを行い、女性の人道支援、平和のための努力、ガバナンスへの完全かつ平等な参加を求めた。また、アフガニスタンにおける女性の人権の全範囲を守るために国際社会が今何をする必要があるかの概要を説明し、同国が直面している最も差し迫った問題に関する実践的な政策提言を提示した。

「今話した通り、アフガニスタンには、今、起こっていることのための人権監視機構はありません。だからこそ、この代表団は今日ここにいるのです。」と、アフガニスタンのシンクタンクの代表で研究者のMariam Safiさんは、2021年10月20日正午に開催されたメディア・ブリーフィングで語った。

27歳で史上最年少の女性国会議員に選出された人権擁護活動家のNaheed Faridさんは、「カブールの事実上の政府が、アフガニスタン社会の多様性を代表する包括的で完全に代表的なガバナンス機関を開発するために行動を起こす必要があります。」と、話した。そのためには、アフガニスタン政府は、包摂的な政府、国民の願望が十分に実現されるように、影響力のある国際社会の支援を必要としている。

UN Women事務局長のシマ・サミ・バホス氏は、「本日、この部屋に出席した加盟国に対して、加盟国が団結して、女性の権利が後戻りしている状況を元に戻し、アフガニスタンの女性と少女が直面している人権侵害を止めることを強く求める」と述べた。国際社会からの行動を求める声を反映して、英国代表部のウィンブルドン・アーメド卿は、10月21日のサイドイベントで、「アフガニスタンの女性と少女を保護するだけでなく、アフガニスタンにおける女性や少女の権利を強化し、最終的にはタリバンと共に、彼らの言葉と行動を説明するために緊急に取り組む必要がある。アフガニスタン全土の女性と少女は平等であるべきである。彼らは安全かつ尊厳をもって危険がなく暮らす権利を有する」と述べた。

アフガニスタンの女性代表団は、女性、平和、安全に関する会話や決定の一部になる権利を強調した。2021年10月21日の閉会の挨拶で、著名な女性の権利と市民社会活動家のAsila Wardakさんは、「これらの議論をしている時に私について話さないで下さい」と述べた。

「私や他のアフガニスタンの女性指導者がタリバンと直接話すスペースを作ってください。このようにして、皆様は、平和と安全保障のプロセスや人道支援プロジェクトに女性を有意義に含めて下さっています。テーブルの席を私たちにください。廊下に出さないで下さい。」

アフガン女性の声

Naheed Farid

Naheed Faridさんはアフガニスタンの国会議員であり、人権擁護活動家である。27歳の時、2010年に最年少で国会議員に選出された。

Naheed Farid, 前アフガニスタン国会議員。写真提供: UN Women/Ryan Brown

「今日は、アフガニスタンの少女が中等学校に通うのが禁止されてから34日目です。」 「経済崩壊は明らかであり、それが起れば、アフガニスタン女性の大きな負担になるので、人権問題です。」「アフガニスタンでは、国際社会の迅速かつ具体的な行動を必要とする人道的災害が起きています。私たちは、市民社会や人道的アクターが、困っている人々を助けることができる信頼できる回廊を直ちに確立できると信じています。タリバン.すなわち男性だけの政府をつくるのではなく、女性も含めた包括的な政府を設立する必要があります。女性が意思決定プロセスの一部でなければ、政治的な空間の一部でなければ、私たちが行ったすべての成果は消えてしまいます。」

Fawzia Koofi

Fawzia Koofiさんはノーベル平和賞ノミニー(2020年)であり、熟練した作家であり、女性、子ども、マイノリティ、および民主主義の権利を国際的に主張している提唱者として国際的に著名である。彼女はアフガニスタン議会で女性として初めて副議長を務め、議会の女性問題委員会の委員長を務めた。彼女はアフガニスタン内協議で共和国の元交渉チームの21人のメンバーの一人に任命された。

Fawzia Koofi。元アフガニスタン共和国和平交渉官とアフガニスタン議会の最初の女性副議長。
写真提供: UN Women/Ryan Brown 

「私が今日ここで話そうとしているように、私の国では、平和を築き、法と正義と平等の支配を促進するために人生を捧げた女性と男性、私たちのコミュニティを守り、奉仕するために自分の命を危険にさらす人々、市民社会、平和構築者から、裁判官、ジャーナリスト、音楽家、安全担当官まで、皆すでに身を隠しています。何人かは現在タリバンにより探索され、すでに見つかり捕まった人々もいます。」

「長年、なぜ国際社会は我々のステークホルダー和平プロセスの要請を拒否したのでしょうか。そして、なぜ私たちが望むものを生み出すために和平プロセスにもっと時間が与えられなかったのでしょうか? 我々の紛争は多次元的であり、和平努力にはより長い時間がかかるかもしれません。タリバンはあなたに忍耐を求めますが、国際社会も彼らから具体的な行動を求めなければなりません。」

Mariam Safi

Mariam Safiさんは研究者であり、独立した学際的な政策指向の研究機関である政策研究開発研究機構(DROPS)を率いています。

Mariam Safi、国際関係アドバイザー、アフガニスタンに関する研究専門家。
写真提供:UN Women/Ryan Brown

「国家の健康レベルは女性の地位によって決まります。国際社会が同じベースに立ち、てこ入れをして、タリバンとタリバンとの関係のために明確なベンチマークを設定してかかわることが重要です。」

「国際社会も人道的対応を調整すべきです。これを行わなければ、経済的支援がどこにあって、人道支援がどこで使われているのか、何に食料を与えているのか、そしてそれが最も必要としている人々の手に渡っているのかは分かりません。」と語った。

「アフガニスタンの女性は教育へのアクセスを望んでいます、彼女らは元の仕事に戻りたいのです。彼女らは配布物を望んでいません。女性は二流市民として扱われるのでなく、アフガニスタン社会の一員になりたいのです。女性の権利の尊重は基本的に重要です。アフガニスタンの女性にたいしても、人道的対応は非常に重要ですが、女性の権利の未来を犠牲にするのはやめましょう。人権と人道的対応は、手をつなぐべきです。」

「カブールが陥落した時、一定期間、希望はありませんでした。しかし、私は路上で抗議するアフガニスタン女性達を最初にテレビで見た時、希望を持ちました。この世代は簡単には沈黙しないと思います」

Anisa Shaheed

Anisa Shaheedさんは、世界中の30人の国際的な「情報ヒーロー」のグループのひとりで国境なき記者団から認められた有名なジャーナリストです。「立法、行政、司法に責任を負わせるためには、メディアと報道の自由が必要です。現在、報道の自由はありません。」

Anisa Shaheed, アフガニスタンのジャーナリスト
写真提供:UN Women/Ryan Brown

「国際社会は、報道の自由を達成するために、過去20年間非常に懸命に働きました。彼らは20年間投資し、非常に懸命に働きましたが、これは2ヶ月で悪化しました。大多数のメディアは閉鎖され、女性は家に残り、子どもたちは教育を奪われています」

「報道機関が職務遂行と報告を行うとき、彼らはタリバンによる暴力に直面し、場合によっては投獄され、殴られます。家から出てきて抗議した女性たちは、その大半が暴力に遭い、その中には投獄された女性もいます。」

Asila Wardak

Asila Wardakさんは著名な女性の権利指導者で、彼女は、イスラム協同独立人権委員会のメンバーとして選出された最初のアフガニスタン女性であり、国連アフガニスタン常任ミッションで公使も務め、アフガニスタン外務省の人権・女性国際局長に任命された。

Asila Wardak。アフガニスタン国際連合常駐代表部の元公使、アフガニスタン外務省の人権・女性国際問題局長。写真提供:UN Women/Ryan Brown

「すべてのアフガニスタンの女性指導者がアフガニスタンを去ったわけではないことを強調することが重要です。非常に多くのアフガニスタン人は、彼らの権利と自由のために日々の闘争を続けています。たとえタリバンに止められても、カブール地域、州、地区、どこでも仕事を続けています。」

「女性指導者は女性の権利に警鐘を鳴らすだけではありません。我々はまた、我が国が深刻な人道危機に直面していることを提起しています。1800万人のアフガニスタン人が飢餓に直面し、1日3食ではなく、1日に1食しか食べられません。我々の経済はほぼ崩壊しています。」

「女性のリーダーシップは、効果的な人道的な提供と支援のために重要です。女性は単なる援助の受益者ではありません。人道支援の設計を知らせるためには、我々の声とリーダーシップが緊急に必要です。これは、前例のない規模の人道的ニーズを満たす唯一の方法です。多くの女性指導者は今、海外移住をしようとしています。これは選択の余地がありません。我々は安全のため、そして我々の努力を続けるためにアフガニスタンを去りました。」

「私たちが活動を続けられるのは、世界中の女性リーダーから受ける連帯と励ましのおかげです。連帯には目に見えない力があります。女性は、国内にいる人々を支援するために、世界中からアフガニスタンの女性を支援し、関与させる必要があります。」

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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