ジェニーのブログ「子どもを産むことは女性の権利であり、義務ではありません」

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2022年1月13日

2021/7/10

著者:ジェニー・メイ

中国の上海にある学校で、9年生の終業式の日にカメラに向かってポーズをとるジェニーさん(2021年6月17日)。写真提供:アンジェル・シア

「北京宣言及び行動綱領」の中にある次の一文は、私にとって衝撃的でした。「子育ては、子どもの両親と社会全体が共有する責任である」。子育てについての正しい認識が示されたこの文に、私は心から賛同します。子育ては、女性だけがするものではありません。

歴史を振り返ると、中国では全ての職業、特に政治と文学の分野においては、男性が主導権を握ってきました。では、女性はどこにいたのでしょうか。女性は家庭の中で子どもの世話をしながら家事を担っていました。中には夫よりも優れた能力を持つ人がたくさんいたにもかかわらず、社会に出ることはありませんでした。たとえば、政治について言及した詩を多数発表した才気あふれる詩人であるエリザベス・バレット・ブラウニングは、「夫を心から愛する」女性として中国の教科書に登場し、学校で学んだのは、彼女が夫について書いた愛の詩だけでした。

家族の世話をすることは、社会に出て仕事をすることとほとんど真逆の行為です。なぜなら、もし女性がこれらのことを全て1人でやるとしたら、とてもバランスを取ることなどできないからです。父親が仕事で忙しくて家庭にいないのであれば、全ての家事負担が女性にかかります。

ですが、北京宣言にも述べられているように、子育ては社会全体の責任であり、男性も父親としての責任を果たし、家事などをして家族の世話をすべきです。家庭内でのバランスのとれた役割分担こそが真の調和に繋がります。なぜならそうすることで家族全員がお互いを理解し、それぞれが家族の幸せのために懸命に働いていることがわかるからです。

子どもを産むことは女性の権利なのに、義務になってしまっています。誰しも追い求めたい夢を持つものですが、少女たちは仕事を見つけることはおろか、学校に行くのにさえ困難な状況に直面しています。なぜなら社会が、彼女たちを将来の母親としてしか見ていないからです。女性は皆の面倒をみなければなりません。自分以外のすべての人の面倒を。数えきれないほどの女性たちが、自分のキャリアを追求するかわりに、毎日繰り返される単調な仕事に人生を捧げてきました。にも関わらず、女性たちが払った犠牲に対し、感謝されることはありません。

中国では、夫婦が持てる子どもの数が政府によって規制されています。今年は、人口の高齢化を緩和するために、その数が3人に増やされました。子どもを3人産むには、最低でも3年はかかることは明らかです。企業は収益、成長、生産性を追求していますが、このことが、女性にとって大きな不利益を生み出しています。なぜなら、働かないのに給料を払わなければならない従業員など、誰も欲しくないからです。最悪なのは、それが女性のせいではないということですが、企業はこの「もっともな」理由によって女性を差別しています。私はこれまで、「一時的に」子どもの世話をするために仕事を辞めた女性をたくさん見てきましたが、職場に復帰した人は誰もいませんでした。政府は、仕事と育児の両立に奮闘する母親たちに支援の手を差し伸べるべきです。

だからといって、私は不平を言ったり誰かを非難したりしているわけではありません。ですが、私たちは考えなければなりません。北京宣言が発表された日から今日までに、社会の何が変わって、何が変わっていないのでしょうか。変わっていない理由は何でしょうか。なぜ女性だけが仕事と家族の間で奮闘しなければならないのでしょうか。全ての障害を取り除き、女性が真に自分らしく生きるためには、何をすればよいのでしょうか。

ジェニー・メイさん。写真提供:アンジェル・シア

ジェニー・メイさん(15歳)は、中国の上海にあるYKパオスクールの10年生です。両親はテクノロジーとコンピューターの分野で働いていますが、娘が文学に興味を持っていることを理解し、応援しています。学校ではダンスチームに所属し、飼い主のいない動物を保護する組織を設立。最も人々に影響を与え、行動を起こさせるのは書くことだと確信し、作家になることを目指しています。

ジェニーさんのSNSアカウントInstagram

(翻訳者:松本香代子)

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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