パキスタンで、芸術家や平和活動家が、暴力的過激主義に対処するために女性と少女をエンパワー 

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2022年2月9日

2022年1月20日

カラチのアーティスト、シャミム・アワン氏がデザインを手伝ったミュラルの前で話しているところ。ミュラルは寛容で平和な社会を描いています。写真:PAIMAN

世界中に見られることですが、特にパキスタンでは、女性と少女が過激派イデオロギーの広がりを防ぎ、地域社会の平和を保つために重要な役割を果たしています。一方で、彼女たちは、また、過激派グループの仲間とさせられる危険性もあります。‎

‎2020年初頭から、UNWomenは、欧州連合(EU)の援助により、シンド(Sindh)州の‎‎社会的結束プログラム‎‎を支援してきました。このプログラムは、非営利団体‎‎PAIMANによって実施されています。このNPOは、過激派による分裂を招くようなメッセージに対応し、暴力的過激主義に対する脆弱性を減らし、変化のエージェントになるのを支援するために、パキスタンの女性と若者を訓練しています。

写真提供:モサラット・カディーム(パキスタンに拠点を置く非営利団体PAIMAN Trustの共同創設者)

「私は女性の声はコミュニティーの声だと信じています」とPAIMANの共同創設者であるモサラット・カディーム氏は言っています。「適切な機会さえ与えられれば、女性は一貫して違いに橋を架け、コミュニティーの中に理解を構築し、対話を促進し、信頼を築きます。女性達は暴力的過激主義を予防する時であれ、異教徒間の調和を促す時であれ、COVID-19のような緊急事態に対応する時であれ、いつも誰も排除しないという包括的なアプローチをとる傾向にあります。そのため、私たちPAIMANは、暴力的過激主義への戦略を立てる時、こうした皆の見解をリーダーにつなぐことをいつも心がけています」

2020年、カディーム氏はUN Womenが主催する“暴力的過激主義やテロ対策対応のジェンダー側面に対する市民社会の見解や声を聴く.” オンライン諮問会議に参加しました。PAIMANは社会的結合を促進する上で、女性の参加を支援していますが、一方では、女性を公的な場や政治的な場から遠ざける障壁を取り除くことにも力を入れています」

「私達は、社会及び文化的レベルで存在する偏見、つまり女性をプライベートなスペースに閉じ込めて公的な生活から遠ざけようとする偏見と闘っていかなくてはなりません」とカディーム氏は述べています。「これを実行してこそ、女性をエンパワーして、リーダーやチェンジメーカーにすることが出来るのです。私たちには専門家として、平和を構築するための国内外のフォーラムに参加する機会が与えられるべきです。そうしてこそUNSCR(国連安保理決議)1325 の目的が完全に達成されます」 

2020年、PAIMANは、UN Womenのプログラムの中で、アートを通して社会の結束、女性のリーダーシップを醸成するために、シャミム・アワン氏、アミナ・バノ氏、ヒラ・スルタン氏などのカラチのビジュアルアーティストと協働し始めました。アーティストたちは、一緒にカラチカントンメント駅を飾る色とりどりのミュラルを作成しました。ミュラルは、より寛容で平和な社会が可能であること、女性のエンパワーメントが暴力的過激主義を防ぐ強力なツールであることを描いています。

カラチカントンメント駅のミュラルの一つの近景。「この国の市民は誰でも尊敬に値する」という説明がついています。写真:PAIMAN

アワン氏はこう言っています。「パキスタンでは女性の公的な場へのアクセスが限られています。パブリックアート(公園など公共的スペースに設置されるアート)に女性が参加することはさらに制限されています。このためカラチの駅の壁面にミュラルを飾るという私たちの提案に戸惑う人が見られました。それでも私たちは、紛争下にある社会では、アートが底辺に追いやられたグループの声を伝えて変化を生み出す媒体になりうると信じています」

展示場所も意図があって選ばれています。「駅は社会の縮図の良い例です」バノ氏は言います。毎日、様々なバックグラウンド、信仰、民族の人々が通過します。平和と結束を促進する壁画を作成することで、駅を通過する旅人をつなげ、紛争と寛容についての対話を促そうとしたのです。

完成したアート作品は、パキスタン女性が暴力的過激主義を予防し、社会の結束を醸成する上で大切な仲間であり、リーダーであることを再認識させてくれます。政府組織の中には、それ以来同様の協力を求めてPAIMANに連絡してくる団体もあります。

「女性たちがこのプログラムを通して、自分の作成したものに所有権を持てるようになり、パキスタンの最も政治的にデリケートな地域のいくつかのコミュニティーで社会的結束、信頼の構築へ道筋をつけているのを見るのはとても励みになります」とUN Womenパキスタンの資産運用マネジャーであるファリーハ・ウマ―氏は言っています。「私達は、社会規範に挑戦し、女性の声や経験が平和を維持する上で欠かせないことを伝えられる強い女性のコミュニティーを立ち上げ、連帯していくことが出来ました」

上記の様々な努力は、UN WomenがEUとパートナーシップを結んで運営しているプログラム「暴力的な過激主義:ジェンダーの視点を入れて」の中で行われたものです。2019年2月以来、プログラムはグローバルレベルで展開されており、パキスタンやヨルダンではパイロットプログラムが実施されています。パキスタンのシンド州やカイバル・パクトゥンクワ州には9,700人以上の受益者がいます。

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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