ウクライナへの軍事攻勢は女性・少女にどのような影響を与えているのでしょうか

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2022年3月7日


2022年3月2日

アリア・エル-ヤシール、UN Womenヨーロッパ・中央アジア地域事務所長

モルドバ共和国とウクライナの境に位置するパランカ-マイアキ-ウドブノエ国境検問所に並ぶウクライナ女性、2022年3月1日、写真:Aurel Obreja, UN Womenモルドバ

ウクライナに対する武力攻撃は全ての人々の権利へのアクセスを阻んでおり、UN Womenはウクライナや近隣諸国で急激に高まっている人道危機を深く懸念しています。女性・少女は男性と比べ、より深刻な影響を受け、その質も異なっていることが分かっている中、UN Womenは、女性・少女の固有のニーズが十分満たされるよう心を配っています。

UN Womenは、ウクライナや近隣諸国で培ったノウハウを駆使して女性・少女の固有のニーズを見分け、それに対応してゆくつもりです。現地のプログラムを見直し、私たちのノウハウを他の国連組織や人道支援パートナーと共有し、ジェンダーの視点に立った人道支援計画と実施を目指します。

UN Womenは、2015年以来ウクライナで活動を続けており、東部に事務所も構えています。現在のように紛争が拡大する前でさえウクライナ東部では紛争が絶えず、女性・少女は深刻な影響を受けてきました。150万人(その3分の2は女性や子ども)が国内避難民になったり、医療、住居、就業へのアクセスを阻まれてきたのです。

UN Womenは、ウクライナ東部の紛争の影響を受けている地域でも女性のソーシャルモービライゼ―ション(社会参加)を支援し、彼女たちのレジリエンス、生計、能力、自信の向上、自助グループの立ち上げも支援してきました。市民社会のパートナーや平和調停人とも密に連携し、彼・彼女らの声が、人道支援、復興、再建、紛争解決に関わる決定に反映できるように、アドボカシー活動を支援してきました。

ウクライナで活動を始めて以来、女性・少女や取り残されがちな若者やLGBTIQコミュニティーのメンバーのレジリエンスに感銘を受け、それが私たちの努力の指針になってきました。私たちはパートナーの努力に力を貸し、その人権が守られ、助成金や他のリソースから平等な利益を受け、意思決定に参加できるよう引き続き支援していく所存です。

女性は国内避難民の大部分を占めています。イラスト:Dana Rvana、UN Womenの2019年のキャンペーン「もう取り残されない: ウクライナのイラスト」の一部

ウクライナから近隣諸国に脱出するウクライナ人が増えている中、私たちは脱出先での難民対応にも従事する計画です。UN Womenは、モルドバのフィールドでも活動しており、緊急ジェンダー評価を実施する予定です。2015年には西バルカン避難中のシリア難民女性に同じような評価を実施しましたが、それにより家族離散、心理的ストレスやトラウマ、障がい、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)へのアクセス欠如、搾取やジェンダーに根差す暴力など、女性が直面する様々な課題が白日の下にさらされました。この2015年のシリア難民やウクライナの国内避難民への支援の経験から、女性・少女が避難途中、あるいは難民状態が常態化してきたとき、どのように支援するのが一番良いのかよく分かってきました。

私は「女性・少女を中心に置き、ジェンダー視点に立って人道支援計画・実施をおこなう」というUN Women事務局長の 国際コミュニティーへのアピールに声を重ねたいと思います。また国連事務総長や国連人権高等弁務官の人権や人道法をないがしろにする軍事行動の中止を訴えるステートメントにも共鳴します。どのように戦争が展開していこうとも、私たちは女性・少女のニーズを見つけ出し、それに対応し続けます。女性・少女の声に耳を傾け、現地で活動する国連システムや人道支援パートナー、女性市民団体と緊密に連携し彼女たちのニーズを満たすように努めます。

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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