シマ・サミ・バフースUN Women事務局長、モルドバ訪問: モルドバや難民の女性達のエンパワーメントとレジリエンス向上に取り組むことを表明(抄訳)

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2022年4月18日

2022年4月11日


(キシナウ、4月11日) シマ・サミ・ バフースUN Women事務局長は4月8日―10日までモルドバ共和国を訪れ, 同国のキーパートナーとしてジェンダー平等と女性のリーダーシップ向上に努めることを再確認しました。この訪問の中でバホス事務局長は、隣国ウクライナから逃げてくる多くの難民を受け入れているモルドバを支えていく決意を強調しました。


キシナウから20kmのところにあるコステシュティの仮設避難所で、女性、子ども、高齢者と会っている事務局長 写真: Aurel Obreja / UN Women

戦争の勃発以来、374,000人以上の難民がモルドバにたどり着いています。近年の歴史の中でもまれに見る人道危機に直面しているのです。その多くは女性・少女で、国境警察からの情報に基づいたUN Womenデータによるとモルドバ難民の66%を占めています。

事務局長はシモン・スプリンゲットUN常駐コーディネーターやフランチェスカ・ボネリUNHCR代表と会い、UN Womenが国連の全体的な難民対応にどのように貢献していけるか、国連が開発アジェンダ、特にジェンダー平等の実現をどのように支援していくのかなどを話し合いました。


モルドバ、コステシュティ避難所で、高齢の難民カップルと話すシマ・
バフース UN Women事務局長 写真: Aurel Obreja / UN Women

バホス事務局長は、キシナウとコステシュティの仮設避難所を訪れて、ウクライナからの難民に会いました。「ウクライナから逃げてきた女性、子ども、高齢者の話には心を打たれました。皆が声をそろえて言うことは、なるべくはやく母国に帰りたいということです。でも多くの人たちは帰る家がすでにないのです。自宅を提供し、ウクライナの人々に心を開いてくれたモルドバの社会に心から感謝の意を表したいと思います。難民たちは、政府、市民社会、個人、UN Womenを含む国連機関から生活してゆく上で欠かせない物資を受け取っています」と彼女は述べました。


モルドバの国境パランカで国境警察官と話すシマ・
バフース UN Women事務局長 写真: Aurel Obreja / UN Women

事務局長はウクライナから多くの難民が毎日到着するプランカ(モルドバ南東部のマヤキ-ウドブノエ国境検問所)を訪れ、国境警察、ボランティア,国境を越えてきた難民達と話しました。彼女はこう言っています。「ここで私が目にしたものは、難民たちが-多くは女性・子どもなのですが-尊厳を持って、組織的に、規律を守って受け入れられているということです。UN Womenはこのような活動を支援し、モルドバの警察や政府と連携しています。最も重要なことは、UN Womenとして、また国連機関として、難民が保護されてきちんと世話をされていること、女性がリーダーとして人道支援活動に加わっていることを確認することです」


UN Womenは障がいを持ったり、高齢だったり、乳幼児を連れた難民のニーズを考慮して車いすや歩行器を提供しています。写真: Aurel Obreja / UN Women

UN Womenは、現地当局や市民社会組織と協力して、仮避難所で2,000人の女性や子どもの難民を支援し、生活に欠かせないニーズを満たしてきました。またUN Womenは国境警察と協力して、国境検問所で障がいを持ったり、高齢だったり、乳幼児を連れた難民に車いすや歩行器を提供しました。UN Womenは、さらに性暴力やジェンダーに根差す暴力を啓発し、女性・子どもの緊急ニーズに対応するために、国連女性・平和・人道基金を利用して市民社会組織に資金も提供しています。

UN Womenは、難民危機のジェンダーダイナミックスの分析や最新情報が提供できるよう、パートナー機関と協働しています。これは、人道支援に携わる人たちがジェンダーの視点にたった難民対応ができるよう支援するうえで欠かせないものです。UN WomenとIOM(国際移住機関)は、難民のニーズ、意向、パターンの情報・分析を網羅した調査報告書を発行しています。

シマ・バフース UN Women事務局長とモルドバ共和国の政府高官 写真: Aurel Obreja / UN Women

シマ・バフース 氏はモルドバで以下のような政府高官と面会しました:オレグ・セレブリアン再統合副首相、アナ・レベンコ内務大臣、ドゥミトロ・ウドレア内閣官房長官、セルジュ・オダイニック外務・ヨーロッパ統合省事務総長。会談ではモルドバで展開されているUN Womenの活動や難民危機の中で必要とされる支援について話し合われました。

バフース 氏は次のように強調しています。「ジェンダー平等、女性のリーダーシップや経済的エンパワーメントを向上させていく上で、モルドバ共和国政府との確固としたパートナーシップをこれからも維持し続けていくことが大切です。難民危機が続く限り、受け入れ国と難民コミュニティーの女性達のレジリエンスを最優先しなくてはなりません。私は、モルドバがジェンダー平等や政府の高いレベルでの女性のリーダーシップ向上にしっかり焦点を当てられていることに感銘を受けました」

オレグ・セレブリアン再統合副首相は、女性・平和・安全保障アジェンダでUN Womenと協働できることを喜び、ことに今回の人道支援対応に感謝の意を表しました。アナ・レベンコ内務大臣は、現在のプログラムを発展させて、若者・女性に能力構築や経済的機会を与えてほしいこと、現在難民に宿泊所を提供している地方のコミュニティーを支援してほしいことなどを訴えました。ドゥミトロ・ウドレア内閣官房長官は、「UN Womenとパートナーシップを組むことで、国の政策のなかでジェンダー主流化を実現でき、2030アジェンダも前進させていけます」と述べました。セルジュ・オダイニック外務・ヨーロッパ統合省事務総長は、同省のジェンダー監査に触れ、「それによって組織能力が強化され、外交政策文書などでもジェンダー平等の主流化が進むことを期待します」と述べました。

2021年の選挙の後、女性国会議員の数は国会の40%に達しました。モルドバはヨーロッパでは唯一、世界では2国のうちの1国、女性大統領と女性首相を擁する国です。

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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