レポート:ジェンダー平等を後退させ続けるCOVID-19 (抄訳)

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2022年7月5日

2022年6月22日

アジア太平洋地域、7カ国の調査結果によると、COVID-19危機が始まって以来、男性に比べより多くの女性が洗濯、介護、自宅での子どもの学習など、家族に欠かせないケアワークをするために有償の仕事をやめています。水や燃料が手に入らなくなって家計が苦しくなり、食料にも事欠くようになりました。さらに医療・衛生用品が手に入らなくなった人が増え、供給網のひっ迫やワクチンに関する誤報によって、女性のワクチン未接種者が男性よりも多くなりました。

『発症から2年:アジア太平洋で長引いているCOVID-19パンデミックのジェンダーによる影響』

COVID-19パンデミックも2年を過ぎましたが、ウィルスがそれほど広がってない国でさえ、女性が高い代償を払い続けています。新しく出版された上記のレポートによると、危機はデータを収集した7カ国(インドネシア、キリバス、パキスタン、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島とトンガ)で女性に偏って悪い影響を与え続けています。『発症から2年:アジア太平洋で長引いているCOVID-19パンデミックのジェンダーによる影響』というタイトルのこのレポートはオーストラリア外務貿易省の支援でUN Womenとアジア開発銀行が共同出版しました。

調査結果によると、COVID-19ワクチンの接種率は、ほとんどの国で男女で異なることが強調されています。太平洋諸国では、女性は2回目の接種をする人が男性より少なくなりがちということです。理由は副作用の恐れや妊娠・授乳にまつわるリスクの誤報です。インドネシアではワクチン接種率は高いのですが、女性の方がワクチンを全コース受けたくても手に入らないことを受けない理由に挙げています。男性が2回目の接種ができない理由は、ほぼ予約をスケジュールするのが難しい、時間がない、ワクチン接種場所が不便などによります。

この危機はまた女性を労働市場から追い出しています。なぜなら女性は家族の世話などで仕事をやめざるを得ないからです。レポートは、パンデミックのせいで女性の方が収入を失いがちで、貧困のジェンダー格差を広げる原因になっていると指摘しています。「パンデミックで家事や介護の負担が増したことは分かっています」と、サラ・ニッブUN Womenアジア・太平洋事務所担当職員は述べています。「データによれば、パンデミックが始まる前からすでにこのような家事は女性が担っているのに、その上にさらに負担が上積みされているのです。家族の中で家事の分担の見直しが行われている形跡もなく、女性は収入や仕事を得るのが難しくなっています」

仕事や収入を失うと、栄養のある食料を十分に得る能力も落ちてきます。COVID-19パンデミックが襲って以来、どこの国でも食料を手に入れるのが難しくなってきました。新データは、パキスタン、サモア、ソロモン諸島とトンガで男性より女性の食料の安全保障が悪化していると指摘しています。

7カ国すべてで、パンデミックと悪天候や自然災害が重なっています。サイクロン、洪水、日照り、地滑りなどが、女性・男性のパンデミックによってもたらされた問題に対応していく能力を奪っています。キリバスではパンデミック以来、人口の4分の1に近い人々が電力を失いました。パキスタン、パプアニューギニア、ソロモン諸島では、この数字は15%から19%になっています。電力へのアクセスを失ったことによるジェンダーから見た影響は、女性にとって夜が安全でなくなる、料理、洗濯、掃除などの無償の家事労働の負担が増える、などです。

パンデミックに対応して政府の多くは、経済的支援、医療品、農産物、助成金、景気刺激パッケージなどを提供するプログラムを実施しています。しかし、これらの支援へのアクセスは限られており、場合によってはジェンダーで差別されています。レポートは、助成金はもっとも恵まれない立場の人を対象に提供されているので、どの国でも教育レベルの低い国民が、助成金を受け取る可能性が高くなっていると指摘しています。

「緊急ジェンダー評価は、ジェンダーの視点に立った経済回復プログラムが、パンデミックによって弱い立場に追いやられた女性・少女の支援・発展に、いかに役立っているかを指摘しています」とサマンサ・ハングアジア開発銀行ジェンダー平等テーマグループ長は述べています。「今後、アジア開発銀行は、パンデミック後の政策にジェンダーデータが十分に取り入れられるよう、公的及び民間のパートナーと協力していきたいと思っています。これによって女性・少女がアジア・太平洋全域で包括的な復興過程の中心に据えられるようになります」

Note to the Editor: 編集後記より

以下はレポートとデータからの主な結果です。 インフォグラフィック他のデータもご覧ください。

COVID-19パンデミック発生以来2年がたっても、女性はその長期的影響の重荷を背負い続けています。影響の多くは病気そのものからくるものではなく、それによって引き起こされた経済危機や様々な制約によるものです。

  • COVID-19ワクチン接種パターンの不平等 

アジア・太平洋全域で、男性より女性の方が2回のワクチン接種を受けられていません。一度しかワクチンを受けていない人の中では、女性の方がより副作用を恐れ、接種の予約を守るのが難しくなっています。男性はワクチンのスケジュールを理解できておらず、その時間をとること、接種場所に行くことが難しいと言っています。
 

  • 有償・無償の仕事の変化.
    パンデミックにより男性より、女性の方が多く労働市場から締め出されてしまいました。女性の多くは家庭で家事や介護の責任を負っているからです。調査を行った国の中では女性の32%が仕事をやめました。男性でやめたのはわずか9%です。また女性の28%が無償の介護や家事労働を担うようになったのに対し、男性はわずか2%です。
  • 送金の流れの変化
    パンデミックは送金の流れを大幅に減らしました。女性の92%、男性の88%で受け取る送金が減っています。送金は調査した多くの国で重要な収入源で、サモア、トンガの人口の半分以上を支えています。全体では女性の方が少し多く送金を受けています。
  • 食料確保困難のひろがり
    多くの場合、 収入の減少は食料確保を困難にします。パキスタンやトンガ、少し程度は落ちますが、サモアやソロモン諸島でも、男性よりも女性が、食料、特に栄養価の高い食料を十分得ることが難しくなっています。
  • 拡大する無償ケア、家事労働
    各国がウィルスの拡散を防ぐために様々な規制を導入するにつれ、女性は、これまでにも男性よりずっと家族の世話に時間を取られていたのに、さらに料理、掃除、こどもの自宅での教育などで家族のための負担を負わなくてはならなくなりました。女性の14%は掃除の時間が増えたと言っているのに対し、男性でそう言っているのは10%です。
  • パンデミックと環境危機の重なり合い
    パンデミックの影響は様々な環境要因と密接にかかわりあっています。パンデミックにより家で過ごす時間が長くなったことでエネルギー消費が増え、大量の個人用保護具が必要になったことでプラスティックの消費が増えました。公共交通機関が止まったり混乱したため、あるいは感染を恐れて、自家用車の使用が増えました。さらに政府の多くはパンデミックの経済的影響を緩和するために、交通や採取産業など公害産業を支援しました。男性の27%、女性の12%が、農業、林業、漁業、鉱業、採石、電気・ガス・エアコン供給に転職しましたが、この中には環境悪化を引き起こすリスクの高い活動が含まれています。別の調査によれば、世界的に見て、女性は、海面上昇や酸性化、異常気象や他の気候変動・公害の影響に対して男性より脆弱です。
  • 政府支援へのアクセスを阻むもの
    政府の多くは影響を受けた国民に助成金を提供したり、経済界に刺激策を提示しています。しかし、このような政府の助成金へのアクセスは公平でなく、ジェンダーによって差が出ることもあります。社会保障助成金は最も広く行きわたってはいますが、普遍的とまでは言えません。キリバスでは人口の半分がこのような助成金を受け取っていますが、パプアニューギニアやソロモン諸島では誰も受け取っていません。

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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