フィジー:気候変動の影響を受けやすい地域における女性と少女に対する暴力の防止と撤廃

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2022年10月14日

2022/7/5

太平洋の島国フィジーは、気候変動による災害が多い国です。近年は、巨大サイクロンに繰り返し見舞われ、壊滅的な影響を受けています。なかでも深刻な社会経済的被害により、女性と少女が暴力にさらされるリスクが高まっています。

バ市場でFemLINKpacificの出版物Community Radio Times第5号を読むファネ・ロマーニさんとカティザ・ビビさん:写真提供、ファネ・ロマーニさん/FemLINKpacific

フィジーで活動するFemLINKpacific(FemLINK)は、国連女性に対する暴力撤廃信託基金の援助を受け、女性と少女に対するあらゆる形態の暴力をなくすために地方に力を与えるプロジェクトを実施しています。女性がつくるメディアプラットフォームを活用して地域のフェミニストネットワークを強化することで、特に人道的危機における暴力の根本原因について認識を高めます。

危険にさらされている女性をつなぐ

ウィメンズ・ウェザー・ウォッチ(WWW)を通して地方の女性たちをつなぐことは、FemLINKの極めて重要な役割のひとつです。WWWは、地域のメディアとラジオを利用して、遠隔地に住む女性、障がいを持つ女性、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーの女性やインターセックスの人たちなど、普段見過ごされている人々に、リアルタイムの気象情報や災害管理情報、警報、最新情報などを提供します。

また、FemLINKの多様なネットワークでは、このようなつながりを利用して、オンラインのプロジェクト「より良いフィジーのための物々交換」で、地域内外の人たちの間で物々交換を行っています。フィジーの人々が昔から行っていた習慣にヒントを得たこのプロジェクトは、暴力の被害者や暴力を受けるリスクのある女性たちが生活必需品を交換したり緊急の支援を手に入れる機会にもなっています。

女性の声を届ける

気候変動の影響を受けやすい地域で、女性と少女に対する暴力への認識を高め、防止するには、最も弱い立場にある女性たちの声を広く届けることが鍵となります。

そこでFemLINKは、女性によるフェミニストコミュニティのラジオ局、FemTALK89FMを運営し、さまざまな民族による交差的(人種、エスニシティ、国民、ジェンダー、階級、セクシュアリティなど、さまざまな差別の軸が組み合わさり、相互に作用すること)な対話を促して、有害な伝統や社会規範といった暴力の根本原因に対処しています。また、都市部や遠隔地を含めフィジー各地に住む多数のリスナーに、女性と少女に対する暴力を防止する方法を広めています。

FemLINKの地方女性リーダーコミュニティメディアネットワークのボニータ・キーオさんは、「このような問題に、差別のない方法で光を当てることがメディアの役割です」と述べました。

femTALK89fmでニュースを伝えるFemLINKのアナウンサー、パトリーナ・アグネスさん。写真提供:FemLINKpacific

災害対応の体制づくり

災害時、女性と少女は真っ先に危機に直面し、最前線で対応しなければならないにも関わらず、災害対応の体制から排除されていることがほとんどです。

異常気象による避難や移動で、フィジーの女性たちは危険な生活環境に置かれています。物質的な被害が増加すると、暴力の被害者が専門的なサービスを受けることがますます難しくなります。

FemLINKの地方女性リーダーコミュニティメディアネットワークのヤシュミン・カーンさんは、課題のひとつとして、「避難所では女性に配慮した環境をつくり、女性が男性や少年と離れて眠ることができる安全な場所を確保するべきです」と、話しました。

FemLINKは、どのような状況においても女性と少女のニーズが考慮されるよう、独自の女性ネットワークや地方のフェミニスト運動を活用しています。フィジー女性危機センターやフィジー女性権利運動など他の組織の支援のもと、メディアを活用して人道的危機が女性と少女に対する暴力を悪化させることを社会に訴えてきました。また、フィジー保健省に対して政策の提言を行いました。

(翻訳者:祖父江 美穂)

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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