ウクライナで女性のための安全な場所を作る

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2023年4月3日

2023年2月23日

2022年2月24日にロシア連邦の本格的な侵攻が開始されて以来、ウクライナ全土の家屋や民間構造物を破壊した攻撃で2,000人以上の女性が死亡したことが確認されています。国連人権委員会によると、2022年に記録された21,000人以上の民間人死傷者の40%近くを女性が占めています。また、ウクライナの推定790万人の国内避難民のうち、女性は現在、少なくとも90%を占めています。

UN Womenとパートナーが実施した緊急ジェンダー分析は、女性が他の分野でも男性に比べ危機の影響をより多く受けていることが明らかになりました。治安上の脅威が続く中、女性と少女は、親密なパートナーからの暴力、セクシャルハラスメント、紛争関連の性的暴力など、ジェンダーに基づく暴力の増加に直面しています。社会経済状況の悪化は、この脅威をさらに強め、性的搾取、人身取引、その他の形態の暴力の割合を高めています。すでに12カ月が経過しましたが、支援サービスは暴力サバイバーのニーズを満たすには十分ではありません。

ウクライナのキーウ市民は、2022年2月の侵略初期は地下鉄駅で夜を過ごしました。写真:UN Women/Serhii Korovainyi

このような中、状況はさらに悪化し、あらゆる種類のサービスやリソースが女性にとってより利用しにくくなりました。さらに、危機の心理的影響によって、必要な支援を得ることがいっそう困難になりました。「避難や感情的なストレスなどによって引き起こされた混乱の中で、集中力を維持し、避難民のニーズを表明することは非常に困難です」と、侵略によって故郷のスカドフスクから避難したオクサナ*は言います。

避難の真っ只中にいる女性の83%が収入を失ったことを報告しています。故郷のハリコフから逃げてきたアンナ*は、かつて旅行代理店として働いていました。現在、イバノフランコフスクで、避難民の女性として仕事を見つけることの難しさを強調しています。「50歳以上の女性が仕事を見つけることが非常に難しいという厳しい現実に直面しています」と彼女は言っています。「雇用主は、あなたが[国内避難民]である場合、いつ仕事を辞めるかわからないので、信頼できないと考えています」

生計手段の喪失に加えて、ウクライナの女性は無給の介護労働の大幅な増加に苦しんでいます。彼女らは家庭や地域社会でますます指導的役割を果たすようになっていますが、人道的および和平プロセスに関連する意思決定の場には依然としてほとんど参加できていません

一緒に癒しあう

ロシア占領下の故郷を脱出した後、オクサナはウクライナ西部の都市イバノフランコフスクに向かいました。最初は、避難しているという感じがしませんでした。「ずっと仕事を持ってきたので、イバノフランコフスクに来ても安全だとは感じませんでした」と彼女は言います。

何よりも、彼女は癒しの場所を求めていました。「すべての[国内避難民]女性にとって、まず心が回復にむかえるような安全な場所を見つけ、自分たちの問題や不安について話しあい、必要に応じてアドバイスを得ることがとても重要だと思います」と彼女は言っています。

今日、オクサナは女性と少女のための安全なスペースパイロットイニシアチブを通じてその場所を見つけました。2022年10月にUN Womenによって立ち上げられたこのイニシアチブは、安全な都市と安全な公共空間グローバルイニシアチブに基づいています。後者は公共スペースでの女性と少女に対する性的暴力に対処するための包括的なアプローチを10年以上にわたって開発、実施、評価してきました。

UN Womenは、女性の権利擁護団体やその他の地元のパートナーと協力して、このイニシアチブを地域の状況に適応させることを目指して活動しています。その結果、ザポリージャとイバノフランコフスクの地域に女性のための4つの安全なスペースが作られました。多様な女性を対象に実施された評価に基づいて開発されたスペースは、来訪する受益者の特定のニーズを満たすように設計されています。

ウクライナでの戦争によって避難した女性たちは、UN Womenが支援する4つの安全な場でコミュニティを見つけ支援を受けています。写真:NGO Kryla Pidtrymky/Kalush

各スペースは、避難民の女性が今までアクセスするのに苦労した重要なリソースとサービスを提供しています。具体的には、衛生キット、教育リソースを配布し、大人と子どもの両方のための心理カウンセリング、法的アドバイスへのアクセス、地元の雇用と住宅のリソース、サバイバーサービス情報など多面的な形態のサポートを提供します。また、セーフスペースを運営するパートナーは、セルフケアの重要性や代理トラウマ(クライアントの1次的トラウマ体験を聞くことで、2次的に影響を受けること)に対処するためのテクニックについて学びました。

女性達は、ウクライナの女性のための安全なスペースパイロットプロジェクトの下で開催されたアートセラピーセッションで自分たちの作品を見せ合っています。写真: NGO D.O.M.48.24/Ivano-Frankivsk
 

また、このスペースは保育も提供しており、各場所に子ども向けの専用スペースがあります。これは、息子のダニーロ*と一緒にザポリージャに避難したオレナ*にとって非常に重要でした。「息子をここに残しても、大事に世話されていることが分かっているので、彼のことを心配することはありません」とオレナは言います。「だから私は様々なサポートを受けることに集中できます。」

子ども専用スペースがあるので、女性達は自分のニーズを満たすさまざまなサービスにアクセスでき、子どもはケアを受けることができます。写真: Mykola Kolodiazhnyi, NGO UkrProstir/Zaporizhzhia

子どもたちが遊んでいる間、女性達は充電し、癒され、いろいろな学ぶ機会を利用することができます。彼女らはヨガや瞑想のクラスに参加したり、差別の防止や女性に対するさまざまな形態の暴力へ対処するための学習セッションに参加したり、雇用やその他のスキル構築に役立つワークショップにも参加できます。「ワークショップやイベントをサボらないようにしています」とオレナは言います。「それらはすべて、今のウクライナの女性にとって非常に役立ちます。子どもの行動、金融リテラシーの基礎、地雷リスク教育を理解できるようになるからです」

安全スペースは、ヨガや瞑想のクラスなどを通じて、女性が充電し、癒されたり学んだりする機会を提供します。写真:NGO "D.O.M.48.24

時折、セーフスペースに来た女性達は、市議会議員、地元の雇用センターの代表者、国内避難民に法的サービスを提供するNGOの代表者など、地元の意思決定者やサービスプロバイダーと会っています。これらのミーティングでは、女性は自分のニーズや懸念を表明し、教育や雇用へのアクセスなど、ホストコミュニティで利用できる機会について学ぶことができます。

「私にとってザポリージャのこの安全なスペースは、救命ボートのようなものでした。私はここでリラックスして、肉体的にも感情的にも回復できるのです」とオレナは言います。オクサナは、「ようやく自信がつき、仕事さえ見つけました」と付け加えた。

アンナは同意してこう言っています。「私は文字通りここで私の安全な場所を見つけました。履歴書を書くワークショップに参加し、最終的に仕事も見つけました。ここには友達がいます。だから今、私は街にでても孤独を感じません。私は安心し、友人のコミュニティに囲まれていると感じています」

2022年10月から現在までのUN Womenとそのパートナーによる女性のための安全なスペースパイロットイニシアチブへの支援は、全国の紛争の影響を受けた女性と子どもたちに届いています。このイニシアチブは「ウクライナにおける民主的で平和でジェンダー平等な社会の構築」プロジェクトの下で立ち上がったものです。ノルウェー政府の資金提供を受けたこのプロジェクトは、安全な都市や安全な公共空間を支援して、ウクライナの女性の回復力とエンパワーメントの構築を助けています。

※個人の安全とプライバシーを守るため、名称を変更しています。

https://www.unwomen.org/en/news-stories/feature-story/2023/02/creating-safe-spaces-for-women-in-ukraine

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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