フェムテックを拡大し、 リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を促進します

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2023年5月8日

2023年3月1日

アイーシャ・アミンさんは、パキスタン出身の社会起業家で、テクノロジーとジェンダー平等の活動家です。若者と女性が主導する「バイタック:タブーに挑む」という組織の創設者であり、平等を目指す全ての世代のコミットメントメーカーとして、性と生殖の健康と権利に関する情報へのアクセスを拡大する活動をしています。テクノロジー業界の差別的な構造を身をもって体験したアミンさんは、若者、特に若い女性を、自分たちの未来に関わる意思決定プロセスに参加させることが早急に必要であると強調します。「他に道はありません」。アミンさんは断言します。

パキスタン出身のテクノロジーとジェンダーの活動家で「バイタック:タブーに挑む」の創設者でもあるアミンさん。写真提供:アイーシャ・アミン

タブーに挑む

性と生殖に関する健康と権利をめぐるタブーのために、これまで長い間、たくさんの女性が、自分の身体についてよく知らずに生きてきました。そのために事実上、自分の身体を自分で管理することができませんでした。「情報にアクセスできないということは、自分の身体について情報に基づいた決定ができないということです」とアミンさん。スティグマ(偏見などによって烙印を押されること)に加え、移動の制限やリソース不足によって多くの女性が基本的な保健サービスにアクセスでききていません。

フェムテック(女性の健康をサポートするためにデザインされた技術)は、情報やケアに対する既存の障壁を壊すのに役立つものですが、残念ながら、もっともそれを必要としている人々が対象から除外されがちです。「既存のフェムテックアプリの大部分は、社会経済的に恵まれた女性たちのものです。農村出身の女性、デジタルに詳しくない女性、サブスクアプリ(継続支払いの必要なアプリ)の料金を支払う余裕のない女性たちは、このような代替の保健サービスにすら手が届きません。

デジタルアクセスにおけるジェンダーギャップをなくそうと闘いながらも、「疎外されたコミュニティにいる少女や女性たちを、ずっと後方に置き去りにしたままなのです」とアミンさんは語気を強めます。「格差の中の格差」とは、弱い立場に置かれた女性たちが、手軽に使えることが「売り」のテクノロジーからさえも排除されていることを意味します。「テクノロジーをローカライズし、疎外されたコミュニティにいる少女や女性たちも恩恵にあずかれるようにすることのできるテクノロジーモデルを構築するソリューションへの投資が必要です」とアミンさんは言います。

技術的サポート

バイタックの最新プロジェクト「Gul(グル)」は、AIを使った音声アシスタントです。WhatsAppというアプリで、性と生殖の健康について、現地の言葉で若者に教えるために使います。「この音声アシスタントを使えば、性と生殖の健康について相談できる友だちができるというコンセプトから、このアプリにジェンダーニュートラルで一般的なグルという名前をつけました」とアミンさん。

グルの開発は、テクノロジーを通じてその影響力を拡大しようとするバイタックの取り組みの一環です。最初は、地域で開催された対面セッションから始まりました。「女性が集まって、自分たちの性と生殖の健康について話し合い学ぶことができる安全な場所を作りたかったのです」とアミンさんは説明します。ですが、まだ訪れることのできない地域がたくさんあります。

「アクセスできる場所は限られています」と彼女は言います。「どこにでも行けるわけではありません。だからこそ、疎外されたコミュニティにいる少女と女性が、質の高い情報に内密にアクセスできるようなシステムを作りたいのです」。

新型コロナウイルス感染症の流行によって、バーチャルなリソースを作り出す必要性が高まりました。「Whatsappを使い始めてから、さまざまな地域の女性たちが、積極的にアクセスしてくれるようになりました。実際に足を運ぶことができなくなったからです」とアミンさんは言います。「昨年、パキスタンの広い範囲で起きた洪水により、プロジェクトの緊急性がさらに明確になりました」。

こうした危機がなくなることはありませんが、テクノロジーベースのソリューションを使えば、最悪の事態を緩和することができます。「今後のことですが、気候変動の緊急事態の最中にいる女性たちは、性と生殖の健康に関する質の高い情報にアクセスし、情報に基づいた意思決定をすることが難しい状況にあります。ですから、この音声アシスタントを使って支援したいと思っています」とアミンさんは言います。

居場所を確保する

テクノロジーの分野は男性に支配されているとアミンさんは言います。ですが、女性活動家はそんなことで諦めるわけにはいきません。「最初は、自分はここにふさわしくないと感じるかも知れません。でも、だからこそ、そこにいるべきなのです」。

アミンさんはテクノロジーの明るい未来を信じています。「このような分野がますます包括的になって、女性だけでなく、あらゆるジェンダーにとって安全な場所になり、より多くの共感が生まれる可能性が大いにあります」。

「バイタック:タブーに挑む」は、身体の自律、性と生殖に関する健康と権利、そしてジェンダーに基づく暴力に関する行動連合のコミットメントメーカーです。

ジェンダー平等の行動連合は、ジェンダー平等のための世界的なロードマップです。革新的な複数の利害関係者によるパートナーシップは、世界中の女性と少女に具体的な変化を起こすために、ジェンダー平等の6つの重要な分野に焦点を当てています。身体の自律、および性と生殖に関する健康と権利に関する行動連合は、女性と少女が差別、強制、暴力の危険に晒されることなく自分の身体について決定を下す権利を促進するものです。ジェンダーに基づく暴力に関する行動連合は、全ての女性と少女にとって暴力のない世界の実現を加速させています。平等を目指す全ての世代のイニシアチブの詳細については、こちらをご覧ください。

(翻訳者:松本香代子)

Expanding FemTech to advance sexual and reproductive health and rights | UN Women – Headquarters

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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