宇宙や科学技術の分野に携わる女性の力を最大限に引き出すために:強力なネットワークを築く

記事をシェアする

2023年5月8日

30 for 2030ネットワーク 会員 ドゥワニ・ルパリ・ヴァニ

2023年3月29日


宇宙科学の分野でキャリアをスタートさせるのは、容易なことではありません。でも、17歳の宇宙科学者であるドゥワニ・ルパリ・ヴァニさんは信じています。固い意志と支えてくれるネットワークがあれば、何でもできると。
 
30 for 2030ネットワーク (青少年リーダーシップネットワーク)会員のドゥワニ・ルパリ・ヴァニ。イラスト:UN Women/ハラー・マクーロフ

私は天文考古学と宇宙化学が大好きな17歳の研究者で、女性が宇宙開発技術分野で直面する問題を、自らの経験で知っています。だからこそ、この分野で女性が活躍し、成功するために平等な機会を提供することの重要性を、全面的に支持します。

「より包括的な業界をつくるという共通の目標を達成するためには、宇宙や科学技術に携わる女性たちの間で強いつながりを築くことがきわめて重要だと思います」
— 30 for 2030ネットワーク 会員 ドゥワニ・ルパリ・ヴァニ

まだ高校生だった頃に初めて宇宙科学関連の仕事をしてみて、この分野でキャリアをスタートさせるのは必ずしも簡単ではないと気づきました。それでも、固い意志と支援してくれるネットワークのおかげで、自分の興味を追求し、この分野で有意義な貢献をすることができました。

その経験から、より包括的な業界をつくるという共通の目標を達成するためには、宇宙や科学技術に携わる女性たちの間で強いつながりを築くことがきわめて重要だと思います。これらの分野は成長し発展を続けています。誰もが自分の意見や考えを言えるようにしなければなりません。

「多くの企業がメンター制度やネットワーキングの機会を提供し、将来の課題に効果的に対処することができる、より力強い、多様な人材育成を支援しています」
— 30 for 2030ネットワーク 会員 ドゥワニ・ルパリ・ヴァニ

近年、宇宙や科学技術の分野で女性が著しい進歩を遂げているにもかかわらず、今なお大きなジェンダーギャップが存在します。これらの分野では女性の人数がまだ少なく、そのためメンター制度やネットワーキングの機会が不足しています。有色人種の女性、LGBTQ+の女性、障がいのある女性は特にこの傾向が明らかで、さらに大きな困難に直面することが多々あります。

ただ、こうした問題はあるものの、状況には変化の兆しも見えています。職場におけるダイバーシティ&インクルージョン推進の重要性を認識し、女性たちがつながり、連携し、互いに支え合う機会を作るための対策をとる企業が増えています。多くの企業がメンター制度やネットワーキングの機会を提供し、将来の課題に効果的に対処することができる、より力強い、多様な人材育成を支援しています。しかしながら、女性がこうした機会を等しく利用し、この分野で成功できるようにするには、やるべきことがまだたくさんあります。

宇宙や科学技術に携わる女性を対象にしたネットワーキングの利点

ネットワークを築けば、宇宙産業や科学技術産業で働く女性たちに多くの機会を生み出すことが可能です。メンター制度、ネットワーキング、アドボカシー活動を通じてつながり、連携し、支え合うことができます。SNSのプラットフォームや専門家のネットワーキングサイトを提供することで、女性同士が互いにつながることができると同時に、リソースや、1対1のメンタリング、世界的なメンターシップネットワークなどのメンター制度を利用することもできます。

私自身、ネットワーキングを個人的に活用してきたので、その利点を証明することができます。15歳のとき、宇宙研究業界で働く人々とのつながりを持ちたくて、LinkedIn(リンクトイン)のような専門家のネットワーキングサービスを利用しました。こうした戦略的なつながりを持つことで、Society for Space Education, Research, and Development(宇宙教育研究開発協会)でのインターンシップを手に入れました。このインターンシップの機会を得たことで、スキルを磨き、自分の仕事を認めてもらえるようになりました。

「このような経験から、ネットワーキングには計り知れない価値があること、そして専門家と強いつながりを築くことが個人として、また専門家として成長するために重要だと学びました」
— 30 for 2030ネットワーク 会員 ドゥワニ・ルパリ・ヴァニ

また、この業界の会議やネットワーキングイベントに積極的に参加したことで、自分が取り組んでいることに対して貴重な意見をもらったり、NASAのセーガンプログラムなど、新たな機会に触れたりすることができました。14歳のときにセーガンプログラムに参加し、人生で初めて、生命居住可能領域の観測とその重要性に関する論文を発表しました。懸命に努力してSTEM(科学・技術・工学・数学)分野で実績を残し、インタビューで宇宙分野における自分の経験を話しました。

このような経験から、ネットワーキングには計り知れない価値があること、そして専門家と強いつながりを築くことが個人として、また専門家として成長するために重要だと学びました。女性リーダー同士がつながれば、互いに知識や見識を得ることができ、幅広いネットワーキングの機会があれば、女性のキャリア向上に役立ちます。これは、男性と同じリソースを利用できない女性の専門家にとっては有益なことです。

これらの取り組みは、ジェンダー平等を推進し、企業や組織における女性の活躍を促進することが目的です。ネットワーキングや団結した活動を促す環境を作り出すことで、女性が自分の専門知識や深いつながりを活用して他の女性に貢献できる機会が増えます。また、国際的なジェンダーネットワーク全体でジェンダー平等を推進する基盤にもなり、ジェンダーに基づく暴力の被害者への支援も提供できます。世界各地のセンターがつながることで、女性の経済的なエンパワーメントに関する意識を高めることもできます。

宇宙や科学技術業界の女性のネットワークを築くことで、つながり、連携し、支援する機会を生み出すことができます。私の経験をはじめ、個々人の経験はネットワーキングに大きな価値があり、それが個人として専門家としての成長にどうつながっているのかをあらわしています。このような取り組みを通じてジェンダー平等を推進し、これらの産業に女性が参加することを促すことができ、ひいては、より多様で包摂的な宇宙や科学技術のコミュニティへとつながると思います。

ネットワーキングプログラム

宇宙や科学技術の業界で知られている女性向けメンタープログラムには、ウィメン・イン・エアロスペース(宇宙業界の女性)、米国黒人エンジニア協会メンタープログラム、テック・ウーマンプログラムがあります。これらのプログラムは、メンターシップだけでなく、キャリアアップのためのリソースや支援も提供しています。

宇宙や科学技術に携わる女性を対象とした専門家ネットワーキングのイベントには、グレースホッパー会議ウィメン・イン・スペースカンファレンス、 女性技術者・研究者たちのサミットなどがあります。これらのイベントは、女性が同じ分野の人とつながり、考えを共有し、新しい視点を得る機会を提供します。

「技術がますます重要な役割を果たす未来に向けて、女性が取り残されないようにすることが不可欠です」
— 30 for 2030ネットワーク 会員 ドゥワニ・ルパリ・ヴァニ

宇宙や科学技術分野の女性に向けた支援組織には、NPO法人Women Who CodeGirls Who Code、 女性エンジニア協会などがあります。これらの組織は、ネットワーキングの機会、キャリア開発のためのリソース、ダイバーシティ&インクルージョンを促進するアドボカシー活動など、この業界の女性のためのリソースや支援を提供しています。

ジェンダー多様性と公平は、宇宙産業や科学技術産業の成長と成功に欠かせません。技術がますます重要な役割を果たす未来に向けて、女性が取り残されないようにすることが不可欠です。これらの業界でジェンダー平等に向けた歩みを進めるためには、そこに携わる女性の声を支援し、広めることが必要です。その手段の一つが、業界の女性を対象にしたネットワーキングやメンター制度の取り組みに参加することです。さらに、宇宙産業や科学技術産業でジェンダー平等の推進に取り組む組織を支援することもできます。また、包括的な雇用慣行を支援したり、多様な視点や経験を尊重する環境を作ったりすることで、各自の職場でダイバーシティ&インクルージョンを推進する行動を取ることができます。これらの策を講じることで、女性をエンパワーして宇宙産業や科学技術産業に価値ある貢献ができるようになり、この業界が可能性を最大限に発揮できるようになるでしょう。

この記事は、韓国の女性家族省から資金提供を受けたプロジェクト「Changemakers Project: Youth, Technology and Innovation to End Violence Against Women and Girls in Asia and the Pacific (2021-2023)」の支援によるGenderNetキャンペーンの一環で書かれたものです。

(翻訳者:本多千代美)

Unleashing the power of women in space & tech: Building strong networks for success | UN Women – Asia-Pacific

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

寄付する