国際ガールズデーによせて タリバン支配下で苦しむアフガニスタンの少女・女性に支援の手を!
2023年9月4日
UN Women本部より、現在のアフガニスタンの女性が置かれた状況とUN Womenがどのような支援を行っているかを述べたレポートが届きましたので、皆様と共有させていただきます。
アフガニスタンでは、2021年8月から始まったタリバン統治により、女の子は中学校以上に進めなくなり、女子学生も大学に通えなくなりました。女性は外で働くことを禁じられ、UN Womenをはじめとして国際機関で働く女性は在宅勤務だけを許されています。
国連ウィメン日本協会では、このような女性たちの状況を知り、支援につなげていくため以下のようなウェビナーを企画しています。ぜひご参加ください。アフガニスタンの状況について、専門家の考察とアフガニスタン女性の臨場感あふれる経験を聞くことができます。
2023年10月9日(月・祝) 午前10:30-12:00
Zoom ウェビナー (オンライン開催)
講師:中西久枝氏
同志社大学グローバルスタディーズ研究科教授
事例報告:K氏
アフガニスタンからの女性留学生
参加費:一般:1,000円 会員:800円 18歳以下:無料
お申込みはこちらより
https://kokurenwomengirlsday2023.peatix.com/
以下、UN Women本部から届いたアフガニスタンの続報です。
アフガニスタンでUN Womenならではの支援を実施
現在進行中の人道的・経済的リスクは、女性と少女の権利に対する攻撃と相まって、アフガニスタンを他に類を見ない危機に陥らせました。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを主導することをミッションとするUN Womenは、ユニークな立場にあり、以下を目指しています。
* アフガニスタンで原則に基づいた女性のための、女性によるプログラムを実施。女性組織と女性運動の支援、再建、強化
* 現地で女性と少女に何が起きているかを記録する。彼女たちの声、優先事項、提言を大にし、国際的な聴衆に影響を与える。
* アフガニスタンの女性と少女に利益をもたらすジェンダー公約を推進するために、国連システムの枠組みを形成する。
* UN Womenはカブールに1カ所、国内の主要地域に5カ所の出張所を持っており、女性スタッフ60人を抱えています。
女性をすべての活動の中心に
* 私たちは、アフガニスタン女性の声と優先事項をすべての支援活動の最前線に据えて、再考し、刷新し、適応し続けています。
* 1人の女性の手に渡った援助は、アフガニスタンの7人の人々に恩恵をもたらすと報告されています。
* 私たちは、2025年までに600,000人以上の女性と少女に支援が届くことを目指しています。
希望への投資
* アフガニスタンの女性たちは、最も抑圧的な状況の中で、信じられないほどのレジリエンス(回復力)を示し続けています。私たちはこのレジリエンスに投資し続けます。現在、62の女性主導/女性中心の市民社会パートナーを有しており、2023年末までにこの数を倍増させる予定です。
女性と少女にインパクトを与える支援
* 私たちは、国連機関間常設委員会(Inter-Agency Standing Committee: IASC)の指導原則に沿った、人道支援の最低基準の採択に向けた作業を主導することから、女性による女性のためのプログラムを確保・拡大するための革新的な方法を特定することまで、人道支援と基本的人権ニーズの枠組みを超えたジェンダー対応プログラミングの先頭に立っています。
アフガニスタンの女性と少女の声を増幅し、擁護する
* 私たちは、証拠収集、データ収集、女性の経験、優先事項、提言の増幅を主導する主体であり続けます。これには、国連安全保障理事会の議論など、アフガニスタン女性の声を政策に反映させための定期的な協議の場を設けることも含まれます。
女性、平和、安全保障
* 従来の「女性・平和・安全保障」アジェンダは、政府と協力して政策枠組みを策定し、国が直面するあらゆる平和と安全の問題への女性の参加とリーダーシップを促進することを目的とするものでしたが、アフガニスタンではこれを実行するのが困難な状況にあります。
* 女性のリーダーシップの機会を作り出してきた仕組みは崩壊し、女性のリーダーや組織が女性の権利やジェンダー平等の問題を公に動員し、主張するための市民的な場は、あったとしても限られたものにとどまっています。
* このような困難にもかかわらず、UN Womenは、この重要な安全保障理事会のアジェンダを運用するための入り口を見つけ、世界的に最も深刻な女性の権利の危機の中で、女性、平和、安全保障のアジェンダを確実に実行し続けるための新しいモデルとグッドプラクティス(優れた取り組み)を生み出してきました。
私たちの活動は具体的には次のようなものになります
・ 女性の市民団体に対する柔軟な支援を強化し、女性の権利を主張できる場を確保し、女性と少女の状況を文書化し、社会的結束と女性の影響力実現のためにコミュニティ・レベルでの入り口を見つける。
・ 女性と少女に課された現在の制限の影響を記録・分析し、アフガニスタンに関する国際的な意思決定とプログラミングに情報を提供するための調査への投資を倍増する。
・ アフガニスタンの女性たちが集まり、主体性を発揮し、国際社会で議論されている最も差し迫った問題について意見を述べる場を提供するために、アフガニスタン全土の女性たちとの協議できる手段を強化する。
・ 調査、データ、協議を通じて得られた証拠を用いて、アフガニスタン国内および国際的な政策決定に影響を与える。
女性と少女に対する暴力撤廃
* 女性と少女を対象とした従来の保護サービスが、エスカレートする禁止措置によって深刻な影響を受けています。そのような状況下、私たちの支援は、さまざまなコミュニティベースのサービス提供モデルを通じて、暴力の危険にさらされたり、暴力を経験している女性と少女にアクセスできるよう、改善を重ねています。
私たちの活動は具体的には次のようなものが含まれます
・ パートナーや暴力被害者へのサービス提供者の能力を強化し、質の高い、生存者中心の、トラウマに配慮したサービスを提供する。
・ 必要不可欠なサービス・ネットワークを通じて、リファラル(紹介)経路を強化する。有害な社会規範に対処するために、男性や少年、コミュニティ・リーダーとの関わりを通して、統合的な予防サービスを実施する。
人道活動におけるジェンダー
* UN Womenは、国連の人道支援活動全体にジェンダー対応を取り入れることで、国連システムの戦略的・技術的な役割を担っています。私たちのプログラムは、より多くの女性と少女が、危機の最中やその後に人道支援から恩恵を受けられるようにすることを目的としています。
私たちの支援は、次の点に焦点を当てています
・ 被災した女性と少女、およびその家族のためのワンストップ・サービスの役割を担う多目的女性センター(MPWC)を通じて、暴力被害に関するリファラルや生活支援を含む人道支援を提供する。
・ 女性平和人道基金(WPHF)を通じて、能力開発、現金ベースの提供を含むジェンダー対応への備えを強化するため、女性組織に緊急支援を行う。
・ 性的搾取と虐待の防止に関する意識向上と知識の普及を通じて、人道的サービス提供の説明責任を強化する。
アフガニスタンにおける女性運動の構築
* アフガニスタンでは、女性市民団体は女性と少女にとって最後の希望の砦のひとつであり続け、彼女たちに安全な場所を提供し、フェミニストの連帯を可能にし、彼女たちの主体性と指導力を高めています。強力で十分な資金を持つ女性運動がなければ、女性は意思決定プロセスから排除され、女性の権利は損なわれ、社会的結束は脅かされ続けることになります。
* アフガニスタンの女性運動の保護と再構築を目指すモデル・イニシアチブを通じて、UN Womenは、この急速に変化する状況の中で、アフガニスタンの女性主導/女性中心の市民団体の存続を支援しています。
私たちの支援は、具体的には以下のようなものです
・ アフガニスタンにおける女性のリーダーシップと参加を促進するというビジョンを再構築し、再活性化するために、女性団体に中核的な助成金を提供する。
・ 柔軟な基幹資金を提供して、このような草の根の女性市民団体の能力を高め、組織の持続可能性を促進する。
女性の経済的エンパワーメント
* 家計の収入を増やすだけでは、女性と少女の生活が向上するとは限りません。重要なのは、女性がその収入の使い道をコントロールできる能力なのです。この能力は、どのようなコミュニティにおいても、女性の主体性、発言力、アクセスを律する社会規範によって左右されます。
* したがって、経済的エンパワーメントに対するUN Womenのアプローチは、女性の収入を増やすことにとどまらず、意思決定に影響を与える女性の能力を支配するジェンダー規範を変えることにあります。
私たちの支援は次のことを目指しています
・ 起業スキル、金融、市場へのアクセスを通じて、アフガニスタン女性の生計機会を強化すること。女性主導の零細・中小企業は、事業の開発・維持・強化、融資へのアクセスを実現し、国境を越えた貿易を含む市場とのつながりを促進することができます。
・ 女性ビジネスの立ち上げ/強化のための資産支援とシードキャピタル(立ち上げ資金)の提供。
・ 徒弟制度や職業訓練を含む民間セクターへのアクセスを促進することにより、雇用可能性を高める。
人道支援活動調整
* UN Womenは、アフガニスタンの国連国別チーム(UNCT)および人道国別チーム(HCT)のメンバーです。UN Womenは、その調整任務の枠組みの中で、OCHA、UNFPA、常駐調整官事務所とともに、「人道活動におけるジェンダー作業部会」と「女性のアクセスと女性スタッフの参加作業部会」の共同議長を務めています。UN Womenは、HCTのアフガニスタン女性諮問グループの事務局を務めています。
上記の報告を踏まえて、ご紹介しましたウェビナーにご参加いただけると、アフガニスタンの女性・少女が置かれた困難な状況をよりお分かりいただけると思います。ひとりひとりの力は小さくても集まれば女性たちが難局を乗り切る一助になりえます。UN Womenの活動にご賛同いただき、ぜひご協力をよろしくお願いいたします。
■インターネットでクレジット決済を利用される方
以下のURLから1口500円からでもお申込みいただけます。
http://www.unwomen-nc.jp/donation/#kifu
団体へのメッセージ」に”アフガニスタン”とご支援先がわかるようにご記入ください。
■インターネットを利用されない方
以下の、郵便局からの振り込みのご利用をお願いいたします。
郵便局 振替口座番号:00240-7-43928
口座名義:NPO法人国連ウィメン日本協会
通信欄:「アフガニスタン」
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会