今こそ暴力に終止符を打ち、リソースを適切に配分する時!

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2023年12月1日

国連本部で開催された「女性に対する暴力撤廃国際デー」公式記念式典でのシマ・バフースUN Women事務局長の開会の辞。

2023年11月22日

女性に対する暴力撤廃の国際デーを記念して、お集まりいただきありがとうございます。私たちは、世界中で女性と少女に対する暴力をかつてないほど強く意識せざるを得ない中で、この日を迎えています。

2023年11月22日、国連本部で開催された「女性に対する暴力撤廃のための国際デー」の公式記念式典で開会の辞を述べるシマ・バフースUN Women事務局長。写真 UN Women/ライアン・ブラウン
 

紛争下で女性と少女が直面している暴力は偏在しており、今や家庭にも及んでいます。UNODC(国連薬物犯罪事務所)とUN Womenによる報告書によれば、1時間ごとに5人以上の女性や少女が、家族の誰かによって殺されています。

そして、私たちは、今まで進んできた道を事実上逆行しているのです。経済危機、紛争、気候変動すべてが、この傾向を助長し、火に油を注ぐ状態になっています。

これは女性と少女、そして人類家族全体に対する犯罪です。ジェンダーに基づく暴力の結果、GDPの約3.7%が経済的影響を受けると推定している国もあります。それなのにこの暴力撤廃に対する投資は、2022年の援助全体のわずか0.2パーセントに過ぎません。

投資を怠るという私たちの愚行は、何をすべきかを分かっているがゆえに、いっそう苛立たしいものです。法律や多部門にわたる政策の改革と実施、サバイバーが必要なサービスを受けられるようにすること、エビデンスに基づく予防介入を拡大すること、加害者の責任を追及することが欠かせないことは明白です。しかし、これらは分かっているだけでは実現しません。問題の重大性を認識したときには行動に移さなくてはならないのです。真剣にリソースを配分することが必要です。

つまり、今こそ真剣に取り組まなくてはならない時なのです。さまざまな部門にまたがる資金を確保し、予算配分をモニターし、ジェンダーに対応した予算編成を行い、対応の最前線に立ち、政策転換のための重要なパートナーである女性の権利団体のたゆまぬ努力にリソースを提供することです。

例えば、2023年、平等を目指す全ての世代のためのフォーラムのコミットメント・メイカーズ(賛同者)は、ジェンダーに基づく暴力に対処するために、51億米ドルの資金拠出を誓約し、389の政策、600以上のプログラムが実施されていることを報告しました。

スポットライト・イニシアティブ(国連・EUが主導する女性に対する暴力撤廃イニシアティブ)は、予防に多額の投資を行い、キャンペーンを通じて2億6,000万人に手を差し伸べました。その中には、200万人の男性や少年に前向きな男らしさについて教育したことも含まれています。同イニシアティブでは、477の法律または政策が採択され、250万人近い女性と少女がサービスを利用しました。

2018年以降、「国連女性に対する暴力撤廃信託基金」の助成金ポートフォリオのほぼ80%が予防のための活動であり、世界中の164の市民社会の取り組みに7,900万米ドルが投資されました。そしてUN Womenは昨年、女性に対する暴力をなくすためのプログラムに1億6,700万米ドルを投資し、これには16カ国を支援して政策を前進させることや、社会規範の変化をターゲットにした44のプログラムも含まれています。

もう一度繰り返させてください。今こそ、女性と少女に対する暴力撤廃には、何が効果的であるかを再認識し、リソースを提供する時です。この暴力は、どのような形態であっても、私たちの人間性の汚点となることを認識すべきです。それは平和を妨げ、安全保障を妨げ、持続可能な開発を妨げます。今こそ、すべての暴力とその根本原因と闘う時です。

そのための選択をするのは、今日、私たちの手に委ねられています。

ありがとうございます。

https://www.unwomen.org/en/news-stories/explainer/2023/11/creating-safe-digital-spaces-free-of-trolls-doxing-and-hate-speech?bblinkid=274263479&bbemailid=50921855&bbejrid=-1434356355

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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