男性ソーシャルワーカーのシュウ・ハン(Shu Hang)さんは、言っています

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2024年1月9日

「ジェンダーに基づく暴力との闘いに、もっと男性が積極的に参加することを願っています」

2023年10月27日

シュウ・ハンさんは、2016年に法廷に出廷するドメス ティック・バイオレンスのサバイバーと協力して、シェルターの安全計画を作成しました。写真:Shu Hangさん提供

シュウ・ハンさんは、中国南西部の昆明市武華区にある雲南省明新ソーシャルワークサービスセンターのディレクターです。サービスセンターは、ドメスティック・バイオレンス(DV)の予防と介入のためのサービスを提供するために2014年に設立されました。ドメスティック・バイオレンス・ホットラインとオンサイト・サービスを通じて、サービスセンターは482人のドメスティック・バイオレンスの被害者に3,858のサービスを提供してきました。また、雲南省女性連合と共同で隠れ家「ネスリングハウス」を運営し、虐待を受けた女性とその親族101人に2,418日間の保護を提供してきました。2023年4月、雲南省明新ソーシャルワークサービスセンターは、市民社会組織(CSO)のレジリエンスと戦略開発の強化を支援するUN Women中国の CSO支援イニシアチブに参加しました。

「最前線のDVソーシャルワーカーの一日は、予測不可能です。なぜなら私たちはいつでも困っている人々から電話を受けることができるような体制にしているからです。ある日は、サバイバーの法廷への同行、別の日は、子供たちの学校への送り迎えなどがあります。また関連機関と協力して複雑なケースを対処したり、サバイバーと虐待者のためのセラピーセッションを実施することもあります。私たちが扱う事件の95%以上が男性の加害者であることを考えると、男性のソーシャルワーカーとして、私こそ多くの加害者とコミュニケーションを取り、関わっていける立場にあると考えています。

しなくてはならないことは毎日変わりますが、私たちの組織はDVサービスの「予防-介入-社会復帰」システムに従っています。DVを防ぐために、私たちは地元の民事局や学校と提携して、婚姻登録所や教室でジェンダー平等と非暴力的なコミュニケーションの概念を教えています。また、最前線のサービスプロバイダーである女性連盟や地域組織に、DVのサバイバーの状況をよりよく理解し、さらなる被害を与えることなくサポートするためのトレーニングも行っています。

DVがすでに起こってしまっている場合の介入の主な目的は、暴力を止め、その被害を減らすことです。サバイバーは通常、医療支援、法的査定、シェルター、離婚の支援、心の支えを必要としています。介入は緊急に必要であり、通常約6か月続きます。

最も困難なのは、DVのトラウマからサバイバーが立ち直るのを助けることです。「虐待された女性症候群」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これは暴力に長期間さらされると、自信と自足が損なわれることを指します。社会復帰は、サバイバーが自信を取り戻し、仕事を見つけ、愛する人とサポートしあえるシステムを再構築することで、自立を取り戻すのを助けることを目的としています。社会復帰には長い道のりが必要です。最も長い場合、私たちが支援する個人で約7〜8年でした。

私にとって、DVの分野で働くことには、3つの大きな課題が伴います。第一に、ジェンダーに基づく暴力を助長する深く根付いた社会規範やジェンダーバイアスに異議を唱えることは非常に困難だということです。仕事を深く掘り下げていくと、男性は女性よりも強い、女性は家族に従属しているなどという男性優位の信念など、多くの偏見に遭遇します。こうした偏見を打破できなければ、DVやジェンダーに基づく暴力のサバイバーは、社会的な圧力にさらされ続けるでしょう。

第二に、DVの介入するにあたり、女性連合、民事局、警察、裁判所、検察官、病院、地域社会、学校、社会組織間や政府各省庁間の調整は大変難しいということです。調整時のコミュニケーションの行き違いは、介入の有効性を阻む可能性があります。

最後に、ソーシャルワーカーは、自分たちのジェンダーに基づく暴力に対するジェンダー意識と理解を向上させる必要があります。ソーシャルワーカーがジェンダーの視点を欠いていることが、DVのサバイバーに対する偏見につながることがあります。共感するのが難しくなり、助けを求めている人を傷つけるようなことをうっかり言ってしまったりすることがあるのです。

当初、私は男性ソーシャルワーカーとしてジェンダーバイアスを持っており、虐待を受けた女性が直面する課題や、虐待者から離れることを躊躇することを理解するのに苦労していました。学べば学ぶほど、仕事の経験を積めば積むほど、ジェンダーに基づく暴力の根本的な原因や、家族の問題を公に暴露することへの恐怖、虐待者への経済的依存、虐待者との関係を断ち切るための社会的支援メカニズムの欠如など、サバイバーの複雑な状況が徐々に分かってきました。

私たちは、より多くの男性と少年が、ジェンダー平等を促進し、ジェンダーに基づく暴力に対処する活動に参加することを奨励します。男性主導のボランティアチームがジェンダー平等を提唱したり、ジェンダー教育を人間関係のコミュニケーションコースに取り入れたり、地域のお見合いイベントでジェンダー問題やDVに関するディスカッションを取り入れたりするなど、いくつかの取り組みが成功しています。将来的には、より多くの男性が具体的な行動を通じて、ジェンダーに基づく暴力との闘いに積極的に参加することを期待しています」

https://asiapacific.unwomen.org/en/stories/in-the-words-of/2023/10/shu-hang

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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