ガザ支援第4弾: UN Women(国連女性機関)の最新報告書より

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2024年1月30日

死者の7割が女性と子どもです

私たちにできることは何でしょうか

ガザ地区では2万4,620人以上のパレスチナ人が殺害され、約100万人の女性と少女を含む190万人以上が避難を余儀なくされています。ガザの全人口(約220万人)は、深刻な食料不安に直面しています。

UN Womenが1月19日に発表した「ジェンダー・アラート:ガザ危機のジェンダーの視点から見る影響」では、ガザの危機が男性と女性、男の子と女の子、高齢者と若者によってどのように異なるかが示されています。

避難を余儀なくされたガザ市の女性は、アラートの中でこう言っています。「今やすべてが失われてしまいました。そのうえ将来どうなるかも全く分かりません。何よりも気になるのは、果たして家に戻ってこられるのかどうかということです」

UN Womenは、1997年以来、被占領パレスチナ地域で、女性と少女が社会的、経済的、政治的権利を獲得できるよう支援し、人道的ニーズに応えるために活動してきました。国連は、2008年から2023年10月7日までの期間に、6,542人のパレスチナ民間人が戦闘で殺害されたことを記録しており、女性と少女はその14%未満を占めていました。しかし、10月7日以降、この割合が逆転し、この地域の死者の約70%を女性と子どもが占めているのです。

ガザ市にある2カ所の女性シェルターは閉鎖され、通信や停電により遠隔地でのサービス提供が厳しく制限されています。ガザ全域で男性が殺害されたため、寡婦が家族を養う唯一の責任を負っている世帯の数は、少なくとも3,000世帯急増した可能性があります。これらの死によって、少なくとも1万人の子どもたちが父親を失うことになった可能性もあります。

前例のないレベルの深刻な食料不安により、女性と少女は、最も大きな打撃を受けると予想されます。妊娠中や授乳中の女性は、自分自身と赤ちゃんの両方にとって、健康と栄養失調のリスクがさらに高くなっているのです。

女性の権利擁護団体は、紛争下にもかかわらず活動を続けていますが、多くの職員が強制退去させられ、物理的なインフラの大部分が破壊されています。2023年11月、ガザ地区の女性団体12団体のうち10団体が、少なくとも部分的に活動していると報告しています。

紛争の中で個々の人が経験したストーリー

30歳の妊婦(ガザ中部)「戦争が始まってから2週間後、出産予定日を迎え、自分と待望の赤ちゃんの命を危険にさらしていることを知りながら病院に行きました」と、アラートに引用された女性は語っています。「私の主治医は、設備が整っていない私立の診療所を利用することにしました。当時はそれが唯一の解決策だったからです。私は子どもを産むために自分の命を危険にさらしました。その上、理由もなく殺されるためにだけ赤ちゃんをこの世に生んだことにならないようにと心から祈っています」と彼女は付け加えました。

72歳の高齢女性(ガザ市)「私の夫は、ほとんど動けません。他人の家に泊まるのも、他人の家で死ぬのも嫌だと言っています。私たちのような多くの高齢者は、取り残され、運を天に任せるしかないのです。私たちは、恐怖、疲労の極限に達しており、最悪を覚悟しています」

38歳男性(ガザ北部)「私は、父親として仕事を探し、ローンや援助も探しました。でも何もうまくいきませんでした。北に住む私たちのような人間には 仕事も援助もやって来ないのです。でも子どものためには、盗みを働いてでも食料を確保しなくてはなりません。私たちは飢えています。運よくミサイルで殺されなくても、飢餓と絶望で死んでしまう可能性があります」

17歳女性(ガザのベイトゥ・ラヒア出身)「私は、学校ではいつもA+の学生でした。ガザでは私のような少女にとってそれ以外の選択はありませんでした。でも今は家でただ座っているだけです。両親が学校の閉鎖や身の安全を口実に私を結婚させるのではないかと恐れています」

19歳男性(ガザのジャバリア出身)「私は、人生で最も屈辱的な出来事を経験しました。私は 良識とプライバシーが当たり前という中で育ってきました。でも、彼らは私を公衆の面前で、寒い中を下着姿で歩かせました。自信と自尊心は瞬く間に消え失せ、去勢されたように感じました。どうしたら自分自身がもう一度男であると感じられるようになり、人にも男として認められるようになるでしょうか」

UN Womenはどのような支援をしているのでしょうか(2023年12月31日現在)

  • 世界食糧計画(WFP)と連携し、ガザの女性世帯の3分の1に相当する14,000以上の女性世帯に緊急食糧支援を行っています。
  • 主な国連機関と連携して、現地の女性から要請のあった物資、衣料品、生理用品、粉ミルクなどの配給を支援しています。
  • エジプト赤新月社およびヨルダン・ハシミテ慈善団体と協力して 1万4,000個のディグニティーキット(避難所でも女性が尊厳を保って暮らせるのを助けるキット)、2,300個の冬服パッケージ、200個の女性用キット、 3,793個の子ども用キットを配布しました。
  • 2,500人の少年少女にレクリエーション活動を提供し、224人の女性と少女に心理社会的支援を提供しました。移動メンタルヘルスクリニックによるメンタルヘルス支援サービスを女性と少女316人、少年94人に提供しました。
  • 女性主導の組織と協力して 女性国内避難民、寡婦、女性世帯主、そして 障がいのある女性など最も被害を受けた女性と少女に、ジェンダーに根差す暴力(GBV)や生計への対応など、多部門にわたるサービスを提供しました。
  • 国内避難所や受入コミュニティに女性主導の保護・対応委員会を設置し、人道的対応への女性の参加を強化し、女性の保護とサービスへのアクセスを高め、女性の声を増幅しました。
  • パレスチナの女性団体と定期的な協議を行い、危機への対応の中で直面する課題について話し合い、その声を高めました。

しかしながら、このような援助は十分とは言い難いのが現状です。アラートで調査したすべての組織は、最も差し迫ったニーズは、追加の資金調達、パートナーシップの強化、安全とセキュリティへの投資であると報告しています。約200万人が避難を余儀なくされ、食料、エネルギー、水の供給が不足しています。そして、戦争が長引くにつれて、個人の危機対処メカニズムが急速に弱まっています。

ジェンダー・アラート全文はこちらをご覧ください。

https://www.unwomen.org/en/digital-library/publications/2024/01/gender-alert-the-gendered-impact-of-the-crisis-in-gaza (英文)

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■インターネットでクレジット決済を利用される方

 以下のURLから1口500円からでもお申込みいただけます。
http://www.unwomen-nc.jp/donation/#kifu
「団体へのメッセージ」に”ガザ危機”とご支援先がわかるようにご記入ください。

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以下の、郵便局からの振り込みのご利用をお願いいたします。
郵便局 振替口座番号:00240-7-43928
口座名義:NPO法人国連ウィメン日本協会    
通信欄:「ガザ危機」

カテゴリ: ニュース , 寄付・キャンペーン

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