よくある質問:タリバン支配から3年を経たアフガニスタンの女性たち

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2024年8月28日

2024年8月12日

アフガニスタンは現在、いくつにも重なり合った危機と闘っていますが、そうした危機のすべてが、深刻化するジェンダー不平等によって悪化しています。タリバンは、女性と少女の自治、権利、日常生活を直接的な標的とする、少なくとも70の法令や指令を発しています。この抑圧的な環境がアフガニスタンの女性たちの生活の質を著しく悪化させる結果となっていることは、さまざまなデータやアフガニスタンの女性たちの直接の証言によって報告されています。

こうした問題は、家庭内、そして、女性や少女の公共の場所へのアクセス、雇用機会、リプロダクティブ・ライツ、妊産婦の健康管理、教育、メンタルヘルス・サービス、そしてそれだけにとどまらない厳しい制限の中に見られます。

しかし、このような厳しさを増す現実に直面しながらも、アフガニスタンの女性たちは驚くべき強じん性と勇気を示し続けています。家から一歩踏み出すという一見単純な行為から、事業を運営し、コミュニティを組織し、平等を求めるというもっと複雑な努力に至るまで、彼女たちの決意は揺るがず、場合によってはさらに強まっています。

UN Womenはアフガニスタンの現場で、アフガニスタンの女性と少女を日々支援しています。 写真クレジット:UN Women/Sayed Habib Bidell

アフガニスタンにおける女性の権利の状況は?

アフガニスタンにおける女性の権利の状況は、タリバンの支配下で劇的に悪化しています。数十年にわたるジェンダー平等のための苦闘による進歩は、アフガニスタンの女性と少女の権利、自治、存在そのものを標的とする抑圧的な指令の網によって消し去られました。

タリバンは、女性に対し教育やほとんどの職業を禁止するなど、拘束的なジェンダー規範を制度化し、公式の法令の中でそうした規範を定着させてきました。このような措置は、公園、ジム、スポーツクラブなどの公共の場から女性を締め出すまでにエスカレートしています。

2021年12月の法令では、女性が自宅から77キロ以上離れた場所へ移動する際には、男性の親族に同伴してもらわなければならないと定めています。しかし、国内のいくつかの地域では、女性がもっと短い距離を移動する場合にも、男性の保護者と一緒に移動することを求めており、一人で移動すると検問所で尋問や嫌がらせを受ける可能性があります。息子や兄弟のいない未亡人など、身近な男性親族がいない人々にとっては、身を危険にさらさずに食料を買うことすらできない悲惨な状況です。

このような公式・非公式の法令が無秩序に混在していることは、その一貫性のない施行とともに、女性と少女の間に恐怖と不安が蔓延する雰囲気を作り出しています。かつてあったアフガニスタンにおけるジェンダー平等への有望な前進は、女性の権利が組織的に剥奪される悪夢のような現実に取って代わられました。

アフガニスタンでは、女性や少女は教育を受けることが許されていますか?

2021年8月以来、タリバンはアフガニスタンで女性と少女の教育へのアクセスを組織的に解体し、ますます悲惨な制限を強めています。2022年3月に少女の中学校への入学が初めて禁止され、同年12月には大学への入学が停止されました。2023年1月までには、タリバンは少女の大学受験を禁止することで抑圧的な支配力をさらに強め、いくつかの州で見られた男子を上回る少女の受験率などの進歩を事実上消し去りました。

これらの措置によって壊滅的な影響が見られます。就学率は急落し、2023年4月までに、110万人の中等教育就学年齢の少女を含め、学齢期の少女と若い女性の80%が学校に通えなくなりました。小学校は依然として少女に開かれていますが、アフガニスタンの少女の30%近くは、根強い社会文化的規範、法外な費用、移動に関する安全上の懸念のために、初等教育を受け始めることすらできていません。

この3年間で明らかなことは、タリバンによる女性と少女の権利の制限は、これからの世代にも影響を及ぼすということです。UN Womenの分析によると、2026年までに110万人の少女が学校に通えず、10万人以上の女性が大学に通えなくなり、その影響で、早産率が45%増加し、妊産婦死亡リスクが少なくとも50%増加することになります。

女性の高等教育へのアクセス停止がこのまま続くと、アフガニスタンの経済は2066年までに、現在の国内総生産の3分の2に相当する96億米ドルを失うと予測されています[1[i]]。

障がいのある少女たちにとって状況はさらに悲惨で、推定80%がまったく教育を受けることができていません。少女たちの教育に対するこの執拗な攻撃は、彼女たちの権利の侵害であるだけでなく、彼女たちの未来をも消し去ろうとする意図的な試みであり、何世代にもわたってアフガニスタンの少女たちを他者に依存した暮らしに追いやるものです。

アフガニスタンでは女性が働くことは許されていますか?

アフガニスタンの女性は、組織的に経済的自立を奪われてきました。彼女たちは行政職から追い出され、民間セクターでの存在感は激減し、女性が経営する企業の多くは強制的に閉鎖に追い込まれてきました。

2022年12月、タリバンは国内および国際NGOで女性が働くことを禁止し、この制限は2023年4月には国連に雇用されているアフガニスタンの女性にも拡大されました。2023年7月までに、多くの女性にとって重要な収入源であり自立の源である美容院さえも閉鎖を命じられました。

タリバンは、保健や教育などの分野では限定的な例外を認めていますが、これには厳しい制限が伴い、労働に参加する女性の数は激減し続けています。現在、多くの組織は男性を雇うことを好み、女性をさらに疎外し、経済活動に参加するために残された最後の道を侵しています。公的・経済的生活から女性を排除しようとするこの執拗な作戦は、単に権利を後退させるだけでなく、女性の存在と自律そのものを攻撃するものです。

タリバン支配下のアフガニスタンにおける女性の生活はどのようなものですか?

アフガニスタンの女性はますます孤立しており、18%が過去3ヶ月間、肉親以外の女性と会っていないと報告しています。この強制的な孤立が、多くの女性や少女を深い絶望へと追いやっています。憂慮すべきことに、調査回答者の8%が、2021年8月のタリバンによる占領以来、自殺を図った女性や少女を少なくとも1人は知っていると答えました。

アフガニスタンは現在、ジェンダーに基づく暴力の発生率が世界で最も高い国のひとつに数えられています。それは、女性の社会的特権、意思決定権、資産や資源に対する管理権を剥奪するタリバンによる抑圧的な法令および定着している家父長制的規範によって更に強められています。タリバンは、かつて女性の裁判官、検察官、弁護士が女性の権利のために闘うことを認めていた司法制度を廃止するなど、ジェンダーに基づく暴力に対する保護を組織的に解体してきました。

早期結婚、強制結婚、児童婚の割合は驚くほど高く、悲惨な経済的・人道的危機に直面する家族が生存のための最後の手段としてこうした慣行に頼るため、増加し続けています。2023年のデータでは、アフガニスタンの18歳未満の少女の28.7%が結婚しており、うち9.6%が15歳未満でした。

コロナ・パンデミック以前から、アフガニスタンの女性たちは、無報酬の介護や家事労働の負担を負っており、これらの仕事に費やす時間は男性の3倍以上でした。パンデミックはこうした不平等を悪化させ、タリバンの支配によって悪化し、教育と労働の権利が制限され、そのことで、将来の経済的展望が狭まり、早婚、強制結婚、児童婚に陥る危険性が高まっています。

アフガニスタンの女性のドレスコード(服装)に関する法律は?

アフガニスタンの女性は現在、公共の場では頭のてっぺんからつま先まで完全に身を隠すことが法律で義務づけられています。この指示は、視界を確保するためのメッシュのスクリーン以外は全身を覆う、しばしばブルカと訳される衣服の着用にまで及んでいます。タリバンの法令は、単に女性が何を着なければならないかを指示するだけにとどまらず、公共の場における女性の存在についても規制してきました。タリバンは、どうしても必要な場合を除き、女性が家から全く出ないことが理想的な状況だと公言しています。

このようなドレスコードの規制は、単に服装の問題ではなく、女性を公的な生活から排除し、移動や表現、社会参加を制限する、より広範な戦略の一環です。このような女性の身体と生活に対する厳格な管理は、非常に家父長制的で抑圧的な構造を強化することを目的としています。

女性ほどではありませんが、アフガニスタンの男性も服装の制限を受けています。たとえば2021年12月、アフガニスタンの男性は西洋風のスーツをやめ、アフガニスタンの伝統的な服装を選ぶよう命じられました。さらに、男性はひげを剃ったり整えたりしないよう指示されました。

アフガニスタンの女性は政治や社会にどのように参加していますか?

アフガニスタンの女性には、自分たちの生活に関わる決定事項に影響を与えることが可能な場が殆どありません。今日に至るまで、国や州レベルで政治的影響力を持って先頭に立つアフガニスタンの女性はいません。

アフガニスタンの女性がタリバンの機構に関与する場合、その役割は主に他の女性を取り締まることであり、彼女たちがタリバンの差別的な命令に従うようにさせることです。この政治的な抹殺は、社会レベルでも反映されています。UN Womenが調査した女性の99%が、自分たちのコミュニティにおける意思決定への影響力は限られているか、ゼロだと感じています。

それは家庭にも反映されています。タリバンが、女性にとって安全である唯一の場所と言っている家庭においてすらです。UN Womenのデータによると、自分の家庭で意思決定に影響を及ぼすことができると感じている女性の割合は、この1年間で60%近く減少しました。

市民社会への参加者すべてにとって、市民的な場所は縮小しています。女性主導、女性中心の市民社会組織や活動家たちは、タリバンによる規制の強化に直面しており、その結果、女性がNGOで働くことが禁止されたり、NGOの理事を含む指導的立場にある女性が排除されたり、NGOがプロジェクト文書の中で書いた「女性」という言葉を「男性」に置き換えることを強要されたりといったことが起きています。

こうした動きは、女性市民社会組織の運営能力やスタッフの能力を著しく低下させ、その多くが活動を停止せざるを得なくなったり、活動を維持するために懸命に闘わなければならなくなったりしている組織もあります。息の詰まるような規制は、悲惨な経済的コスト、開発コストを課しています。

アフガニスタンの女性の医療事情は?

2022年の調査では、調査対象となったアフガニスタン女性のわずか10%が、利用可能な保健サービスで基本的な健康ニーズをまかなうことができていると回答したのに対し、アフガニスタン男性は23%でした。

2022年に実施されたアフガニスタンの5つの都市中心部にある公立・私立の医療施設を対象にした調査では、2021年8月以降、妊産婦、乳幼児、子どもの死亡率が増加しているという医療専門家の認識が示されました。

家に閉じこもっていることは、女性が体を動かしたり、社会的ネットワークやコミュニティを利用したり、適切な衛生設備や衛生施設を利用したりすることを制限することになっており、精神衛生上も重大な影響を及ぼしています。このような状況は、特に女性と少女に深刻な精神衛生上の危機を引き起こしているようです。彼女たちは苦しい状況の中で、希望を失い、不安や絶望に襲われています。

障がいを持つ女性や少女は、ジェンダー差別と障がいに関連した偏見や障壁が交差して、移動制限や社会的孤立の可能性が一層高くなり、保健サービスへのアクセスにさらなる障壁を抱えています。また、より高い割合で暴力を経験したり、リプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスが減ったり、強制不妊手術のリスクさえ抱える可能性が高まります。

国際社会はアフガニスタンの女性をどのように支援できるでしょうか?

ジェンダー平等のための国家的枠組みの欠如は、世界が持続可能な開発目標(SDGs)や北京宣言・行動綱領の実施の一環として平等な権利に向けて前進する中で、アフガニスタンの女性が取り残されていることを意味しています。

このような国家の行動の欠如は、国連関係者、国際NGO、国内関係者、ドナーの重要性を更に高いものにしています。タリバン支配後のアフガニスタンに関する初のジェンダー・カントリー・プロファイルは、UN Womenが欧州連合(EU)の財政支援を受けて作成したもので、アフガニスタンの女性と少女を支援するためのすべてのステークホルダーに対する次のような提言を含んでいます:

長期的で柔軟な資金を配分すること: 女性の市民社会組織を強化するために、持続的で適応可能な資金を提供する。

ジェンダー平等のための資金を直接提供すること: アフガニスタンへの全資金の少なくとも30%が、ジェンダー平等と女性の権利の促進を明確な目的とした活動に充てられるようにし、ジェンダーに無関心なプロジェクトへの支援を避ける。

差別的な慣行の常態化を避けること: タリバンの差別的な政策、規範、価値観を意図せずして支持したり、常態化させたりするような活動を防ぐための対策を実施する。

すべての活動に人権の側面を組み込むこと: すべての人道的活動や基本的人権への介入において、特に女性の権利に焦点を当てた人権を基本的な側面として取り入れること。



[i] ユネスコ 2023「アフガニスタンにおける女性の高等教育・就労へのアクセス停止継続のコスト」。UNICEF. 2022「女子から中等教育を奪うことは、アフガニスタン経済にとって過去12ヶ月で少なくとも5億米ドルの損失につながった」も参照のこと。 セーブ・ザ・チルドレン2023の8月14日プレスリリース「アフガニスタン:禁止令から 18 ヵ月、女子中学生に教室のドアを開けなければならない」。ヒューマン・ライツ・ウォッチ 2023 3月16日のニュース「学校は少年も見捨てている: タリバンがアフガニスタンの男子教育に与える影響」(12月)

https://www.unwomen.org/en/articles/faqs/faqs-afghan-women-three-years-after-the-taliban-takeover

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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