女性平和構築者のパワー
2019年11月26日
女性平和構築者のパワー(抜萃)
女性は、正義、平和、安全保障の分野でパイオニア的な活動をしてきました。それなのに公式な平和交渉の場からは締め出され続けています。紛争が世界中の様々な地域を脅かしていることを考慮すると、女性が平和構築に参加し、その貢献が誰の目にも明らかになり、評価されるよう緊急に対策を取らなくてはなりません。
Date: 2019年10月28日
Medium.com/@UN_Womenからの引用
がれきの中から女性たちは再建しています。焼け焦げたスクラップを使って、彼女たちはともに国やコミュニティーの未来を織り出し、紛争の傷を長い道のりを経て回復に導いています。これが女性平和構築者が行っている変革につながる仕事です。彼女たちは平和を仲介して維持し、自分たちの社会を再建しようと忍耐強く活動しているのです。平和構築過程に女性が参加することは平和を長く維持していくためには欠かすことができません。これはすでに証明されています。男女が平等に参加することが紛争後の平和を長く維持していくことに寄与しています。このように女性の参加が平和に資する確実な証拠があるにもかかわらず、公式な平和交渉やその過程で彼女たちを目にすることはほとんどない状態が続いています。
世界的に見て最も包括的なジェンダー平等や女性の権利へのロードマップである北京宣言・行動綱領には平和と安全保障分野も含まれており、それによってある程度の進展は見られました。しかしながら不平等は今でも続いています。1992-2018年を見ると、女性は主要な平和構築過程の交渉者のわずか13%、調停者の3%、署名者の4%を占めているにすぎません。
女性達が平和構築・維持のテーブルについて重要な役割をはたしていても私たちは彼女たちの寄与を耳にすることはほとんどありません。メディアはあまりにも女性を弱い被害者として描くことが多く、深い亀裂に橋をかけコミュニティーを再建する重要な仕事をしたことを評価していません。紛争下にある国の最前線で何十年にも及ぶ暴力から立ち上がろうとしている力強い女性平和構築者のストーリーを以下にお届けします。
私たちはシリアで、前進する努力をリード
ラジャ・アルタリは子供の頃には夢にも思わなかった人生を歩んでいます。彼女が12歳の時に父親はある政党に属していたかどで逮捕されました。彼女は絶対政治の道は選ばないと思っていました。なぜなら「同じ家族から二人も逮捕者を出すのは犠牲が大きすぎる」からです。
紛争下のシリアの現状
- 2011年3月に紛争が勃発して以来シリアは歴史上類を見ない荒廃に見舞われ、多くの難民が生まれました。500万人以上のシリア人が祖国から逃げ出し、600万人以上が国内難民となりました。
- 食糧不足、教育機会の欠如、ジェンダーに根差す暴力の増加によって、女性少女は危機の矢面に立たされることになりました。
- 性暴力、特に児童婚や強制婚がシリアの女性少女を脅かせ続けています。コミュニティーの69%が児童婚に懸念を表明しています。
しかし今は彼女は祖国シリアで公式な平和交渉・過程に女性を参加させることを訴え、シリア国連特使によって任命された12人の女性諮問委員会のメンバーのひとりになっています。シリア革命が2007年に勃発した時、アタリは危機が襲ってくるのを黙ってみていられないと思いました。彼女は人権侵害のケースを記録し始めたのです。2011年にはシリアの平和を啓発し、それにコミュニティーのかかわりを深めていくことを目指してNGOを共同で立ち上げました。
アタリは様々な背景を持つシリア女性が一堂に会して、どのように平和を達成していくかを決められるスペースを獲得するために支援者として戦っています。「私たちは平和を達成する過程からそれを憲法に反映させるまでのあらゆる段階に女性が参加できるよう強く要求し続けなくてはなりません」と彼女は「2018年『女性・平和・安全保障』に関する安保理公開討論」の中で発言しました。
「女性達は前進する努力をリードしていますが、安定性の向上も求めています。シリアの民主主義化を目指して活動しています。それ自身はとても大切で頼もしいことですが、彼女たちは真実を告げることで自分たちの命を危険にさらしているのです」とアタリは言っています。
アタリによれば、シリア女性達は新憲法を草案する憲法委員会のメンバーの30%を女性にするよう訴え、女性・少女・一般市民が安全に集まれる場所の構築に重要な役割を果たしてきました。「シリアの女性達の決意を目にすると、将来に対する希望が湧いてきます」と彼女は述べています。平和構築過程に女性の視点やリーダーシップを取り入れようとする彼女の草分け的な仕事を詳しくお知りになりたい方はこちらをクリックしてください
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会