私の視点:地域やグローバルな政治経済システムが社会の不平等を作り出し存続させている

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2019年6月23日

2019.4.24

デュルガ・ソブはビジョンに富んだ北京宣言と行動綱領が採択される直前の1994年にフェミニストダリット協会を立ち上げたネパール人の運動家です。彼女は、北京宣言の進捗状況を25年後のいま検証するためにチュニジアで424-26日まで開催されたジェンダー平等チュニスフォーラム会議に参加した500人の運動家のひとりです。

Durga Sob. Photo: UN Women/Emad Karim

25年の間私たちは多くの浮き沈みを経験してきました。ネパールの女性の地位は大変低かったのです。児童婚はあちこちで行われ、女性は教育、就職、健康管理の機会を奪われ、家事の雑事に縛られてきました。ましてや政治に参加したり、その代表になったりする機会は非常に限られていました。

しかしその後大きな変化が起こりました。ネパール憲法(2015年)が次のような数々の女性の権利を保証したのです。家系の平等、母性保護とリプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)、国政への参加、教育・健康・就業の特別機会への権利、雇用と社会保障、財産権や家族問題決定権などです。ネパールは現在議会の33%を女性議員が占めています。

これはとても良い兆候です。しかしながらまだ私たちが闘い続けなければならない課題がいくつか残っています。例えばダリット女性の場合、貧困率は最も高く、土地も持てず、就職・賃金・ローンすべてを支配層のカーストに頼ってきました。市民権や交差的差別(人種、エスニシティ、ネイション、ジェンダー、階級、セクシュアリティなど、さまざまな差別の軸が組み合わさり、相互に作用することで独特の抑圧が生じている状況)の問題はいまだに取り組みさえ始まっていません。

地域やグローバルな政治経済システムが社会の不平等を作り出して維持していくのです。暴力、差別、隔離、生産資源やサービスへのアクセスのなさなどはダリット女性が日常的に直面している大きな問題で、チャレンジでもあります。彼女たちは「アンタッチャブル(不可触民)」として扱われ、公共の場の水も飲めず、寺院にも入れません。ダリット女性は家庭内でも外でもジェンダーとカーストに基づく暴力に苦しんでいます。それなのに正義に訴える機会もほとんどありません。

私は今こそダリット女性たちが直面している課題に取り組んでいく時だと思います。ダリットや他の差別されてきた女性達が国の資源、サービス、政治参加、経済機会や正義へのアクセスしやすくすることがSDGsを達成する上で焦点を当てるべき分野です。

デュルガ・ソブ、35歳はフェミニストダリット協会(FEDO)を立ち上げた会長です。FEDOUN Womenのジェンダー平等信託基金から助成金を受けている団体として、南アジアの1900人以上の女性達の人生に大きな影響を与えています。彼女はチュニスフォーラム会議出席者の一人として、同フォーラムが開発や正義へのアクセスの分野でダリット女性の権利を向上させる必要性を訴えられた貴重な機会となったと考えています。

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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