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活動現場から

【15のストーリーNo.9】未来を動かす若き女性リーダーたち

2025年の「国際青年の日」(8月12日)のテーマは、「持続可能な開発目標(SDGs)とその先の未来へ:地域に根ざす若者の行動」でした。ブラジル、南アフリカ、ナイジェリアで、SDGsを地域化(ローカライズ)し、平等で持続可能な未来を目指してリーダーシップを発揮する3人の若い女性に話を聞きました。彼女たちの地域活動は、若者による世界的な変革へとつながる可能性を秘めています。

■ 「気候危機は、私たち若者にとって個人的な問題なんです」

◇ナタリア・ツヤマさん | ブラジル・気候正義活動家

写真:Natalia Tsuyama

「若者にとって気候危機は他人事なんかじゃない。生きる権利、安心して生きられる未来を描く権利を守るための自分事なのです。」

ナタリアはブラジル中部セラード出身の気候正義活動家。国土のおよそ20%を占めるセラードは、世界有数の生物多様性が豊かなサバンナのひとつですが、農地開発による森林・植生の減少が大きな問題になっています。ですから、ナタリアにとってSDGs は遠い目標などではなく、「生きた現実」です。

「気候正義は二酸化炭素排出量の問題だけではなく、権力、土地、そして尊厳をもって生きられるかどうかという問題なのです」

ナタリアはSDGsを活用して、より良い公共サービス、学校での気候教育、若者の市政参加を推し進めるなど、SDGsの地域化の最前線で活動しています。

「公約と実際に起きていることのギャップを指摘するのはたいてい若者。だから若者の行動こそが、SDGs を生きた、公正なものとして保ち続けるのです」と彼女は言います。「行動は、木を植えることでも、自分のストーリーを語ることでも、小さなイベントを企画することでも、あるいは、ただ誰かのためにそこに駆けつけることでもいいのです。私たちが気候変動による悲しみを共に受け止めれば、痛みは目的へと変わり、力を生み出すのです。」

■ 「ジェンダーに基づく暴力は”異常”なことだって、そう気づくことから始まるのよ」

◇ ケイトゥメツェ・ファティマタ・ムトロアツェさん| 南アフリカ・フェミニスト社会運動家

南アフリカ・ヨハネスブルグで開かれたコミュニティ・タウンホール・ミーティングで、革命の歌を披露するケイトゥメツェさん(中央)と他のブラック・ウィメン・コーカス(BWC)のメンバーたち。 写真:BWC

ケイトゥメツェは、17歳の時に、ジェンダーに基づく暴力とフェミサイド(ジェンダーを理由とした女性殺害)を終わらせるために、フェミニスト社会運動「ブラック・ウィメンコーカス(BWC)」を立ち上げました。同じく17歳の少女がレイプされ殺害された事件が、その原動力となりました。

「”静か”(silent)に存在し、それでいて”大きな”(loud)存在である不正義に、私たちはもううんざり。家庭、学校、職場、地域社会で、ジェンダーに基づく暴力が“当たり前”のように扱われている。それは異常なことなのだと気付くことから始まるのよ」

ケイトゥメツェは、若者たちに「共に声をあげよう、行動しよう」と呼びかけています。

■ 「障がい者インクルージョンは慈善ではなく、正義です」

◇ エヴァ・チソム・チュクネロさん| ナイジェリア・ストーリーテラー / 障がい者の権利擁護家

写真:Collins Osho

エヴァにとって、インクルージョンとは「見えない存在」にされることへの挑戦を意味しています。

「私たち障がい者はしばしば “助けられる側”として見られ、リーダーとは見なされないんです」と彼女は言います。エヴァが障がい者の権利擁護家になったのは、脚の切断手術から数年後のことでした。メディアや政治、公共の場に、自分の存在が全く見えてこないことに気づいた彼女は、まるで自分が世界から消されているように感じたと言います。

現在エヴァは、インクルーシブな創造性でアフリカの変革を目指すアドボカシー団体「Kry8Impact Africa 」を通じて、障がいのある身体が、力強くて、芸術的で、そして完全に”人間らしい”ものであることを、物語(ストーリーテリング)と写真で表現しています。

「私の体は壊れてなんかいない。それは美しいものだわ。」

「ストーリーが語られなければ、人は忘れ去られてしまいます。ストーリーテリングという手法は、私たちが自分自身を見る目、世界が私たちを見る目を変えるのです。」

「小さなところから始めて。思い込みを疑って。障がいのある人たちと“一緒に”取り組んでください――彼女ら、彼らの “ために” だけではなく。」

これはエヴァから若者たちへの助言です。テクノロジーでも、ファッションでも、映画でも、若者が持つどんなツールも正義につながる入り口になり得るのだと、そう彼女は話してくれました。


若者とともに立ち上がり、すべての女性と少女にとって平等で持続可能な未来をつくりましょう

今の若者世代は世界全体で18億人にのぼり、史上最大です。歴史上、最もつながり合い、最も決意に満ちた世代と言われています。SDGsを実現するためには、若者を受益者としてではなく、対等なパートナー、そして、社会を変えるチェンジメーカーとして認識することが欠かせません。

気候正義のために闘い、ジェンダーに基づく暴力の根絶に取り組み、障がい者インクルージョンを進める若い女性たち。彼女たちは立ち止まることがありません。今この瞬間にも、未来への解決策を生み出し続けています。頼もしい彼女たちが、平等で持続可能な未来を担っています。私たちは、彼女たち若者の声に耳を傾け、ともに学び、ともに行動しましょう!

(出典)
https://www.unwomen.org/en/news-stories/feature-story/2025/08/youth-leading-local-change-from-climate-justice-to-gender-equality