2019年、女性が達成した決定的瞬間(要訳)

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2020年1月17日

2019年12月20日

史上初めての女性だけの宇宙遊泳からスーダン女性が指導した革命まで、この12か月に女性が女性のために達成した業績には目を見張るものがあります。2019年が終りを迎えるにあたって、女性たちが世界中で経験したジェンダー平等や女性の権利の決定的瞬間をたどってみましょう。

1. 女性だけの宇宙遊泳

NASAの宇宙飛行士であるジェシカ・マイアーとクリスティナ・コックは10月に史上初の女性だけの宇宙遊泳を行い、国際宇宙ステーションから出てパワーコントローラーを交換しました。この遊泳は実は3月に予定されていたのですが、NASAには女性向けサイズの宇宙服がないことが判明し、延期されたのです。まさにSTEM(理工系)女性が直面する性差別の負の遺産にほかなりません。

Twitter https://twitter.com/hashtag/AllWomanSpacewalk?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw

2.アメリカ合衆国のサッカーチーム、男女同一賃金を要求

アメリカ合衆国女性代表チームは7月にFIFA女子サールドカップに優勝してからピッチの外に目を向け始めました。同一労働同一賃金です。チームは男子選手と同等の賃金を求めて訴訟を起こしました。過去2年女子の方が収益をあげているのに男子並みの賃金が支払われていないからです。

Twitter https://twitter.com/USWNT?ref_src=twsrc%5Etfw

3. グレタ・トゥンベリ、気候変動対策を訴え世界的運動を展開

グレタ・トゥンベリはスウェーデンの16歳のアクティビストで、気候変動対策を訴える世界的運動の顔となりました。9月23日、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、「あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢そして子供時代を奪いました」という怒りのスピーチを行いました。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/greta-thunberg-un-speech_jp_5d8959e6e4b0938b5932fcb6

4. エスター・デュフロノーベル経済学賞受賞、女性で2番目、最年少受賞者

エスター・デュフロは夫のアビジッド・バナジー、マイケル・クレーマーとともにノーベル経済学賞を受賞しました。3人は貧困の原因そつきとめ、それを世界規模で軽減するアプローチを研究してきました。また貧困に苦しむ人たちにどのようにして教育やヘルスケア、農業などのプログラムを提供できるかも探ってきました。彼女は「実は経済学を研究したかったのではなく、チェンジメーカー(変革を起こす人)になりたかったのです」と述べています。

Scott Eisen/Getty Images https://www.npr.org/sections/money/2019/12/10/786431379/a-q-a-with-esther-duflo-who-wins-nobel-prize-today

5. 生理の絵文字誕生

生理にまつわるスティグマやいまだに続く沈黙をなくそうとする努力の一環として新しい生理の絵文字が誕生しました。それは赤い滴(しずく)のマークで今年から使えるようになりました。この絵文字は英国のプラン・インターナショナルがアイコンとして強く押し出したことで実現しました。生理の絵文字は女性・少女が自分たちの生理サイクルを自由に話せるようになることを目指しています。

https://plan-uk.org/act-for-girls/join-our-campaign-for-a-period-emoji

6. 科学者ケイティ・ボウマンの貢献で史上初めてブラックホールの撮影が可能に

29歳のケイティ・ボウマン博士候補の尽力のおかげで史上初めてブラックホールの撮影に成功し、4月に画像が公開されました。彼女のチームは銀河「M87」に存在する巨大ブラックホールの映像に結びつくアルゴリズム(演算法)を編み出したのです。この映像はブラックホールの理解を革新的に変える助けになります。

Twitter https://www.theguardian.com/science/2019/apr/11/katie-bouman-black-hole-photo

7. 女性がスポーツ界で多くの記録を塗り替える

2019年は女性アスリートが多くの記録を破った年となり、女性がスポーツ分野で男性と同等に、いやそれ以上に成功できることを証明しました。UN Womenの親善大使でブラジルサッカーのスーパースターでもあるマルタはW杯でゴールを決め、通算17得点をマークしました。これは男女を合わせ史上最高点です。この記録更新を祝って、彼女はスパイクについているジェンダー平等を表すピンクとブルーのロゴを指さしました。

Twitter https://twitter.com/hashtag/BRAxITA?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw

8. スペインの集団レイプ裁判で画期的判決

マドリードの最高裁判所の前で抗議する女性達
2019年6月21日Photograph: Manu Fernández/AP
2016年に狼団と名乗る男性集団にレイプされたスペインの若い女性が最高裁判所で正義を勝ち取りました。下級裁判所は彼女が襲われた何か月か後に楽しんでいる様子をアップしたソーシャルメディアを示して5人の男たちをより軽い性的虐待に処していたのです。しかし最高裁は男たちがレイプしたと認め、刑期を延ばし、被害者に罪を負わせる文化からの決別を示しました。

https://www.theguardian.com/commentisfree/2019/jun/25/wolf-pack-case-spanish-women-overturning-verdict-rape-trial

9. 女性達、新しい高みに到達

2019年は航空業界で女性たちが世界初を達成しました。インドでは24歳のシヴァンギ中尉がインド海軍で初の女性パイロットになり、長年のパイロットになるという夢をかなえました。12月にはさらに二人の女性が彼女に続きました。民間航空会社ではウェンディ―・レクソン機長とその娘が初の母娘パイロッドデュオとなり、ニューヨークからのフライトで同じコックピットで操縦しました。

Twitter https://twitter.com/UN_Women/status/1205315160077983744?ref_src=twsrc%5Etfw

10. スーダンでは女性が変革を主導

4月、白い衣を身にまとい、車の上でプロテストソングを主導しているアラー・サラの写真はあっという間に広がりました。この象徴的な写真はスーダン大統領が逮捕される何日か前に広がったプロテストの時に撮られたものです。デモ参加者の70%以上が女性や若者で、彼らがスーダン政治運動の原動力となりました。10月にはサラが安全保障理事会で演説し、女性が政治の移行期に有意義に参加できるようにしてほしいと国際社会に訴えました。

Twitter https://twitter.com/lana_hago/status/1115359151696142337/photo/1

11. 3か国が児童婚廃止に向けて邁進

タンザニアで児童婚廃止のために戦い、
勝利した女性
エジプト、タンザニア、インドネシアでは児童婚廃止法が施行され、少女の教育や将来が保障されるようになりました。史上初の児童婚アフリカサミットでは、ジャハ・デュクレUN Women アフリカ地域親善大使の助けも借りて、児童婚のファトワ(イスラム教指導者が出す法令)が作られました。タンザニアの最高裁判所は婚姻年齢を18歳にあげるよう命じ、インドネシアの国会は少女の結婚年齢を16歳から19歳にあげました。

https://edition.cnn.com/2019/10/23/africa/tanzania-court-child-marriage-ban-intl/index.html

12. フィンランド、すべて女性が党首を務める5党で政府を立ち上げ、首相は世界最年少の女性

ヘルシンキでサンナ・マリン首相(中央)が政府最初の会合 をリードする Credit…Lehtikuva, via Reuters
フィンランドのサンナ・マリン(34歳)が世界最年少の首相に就任しました。12月には5党連立政権の党首となりましたが、これらの党はすべて女性が党首を務めているのです。彼女はフィンランド史上女性で3番目、最も若い首相となります。

https://www.nytimes.com/2019/12/10/world/europe/finland-sanna-marin.html

13. 第108回ILO総会で職場の暴力やハラスメントを規制する新国際労働基準採択

6月にILOは職場の暴力やハラスメントを規制する新しい条約・勧告を採択しました。暴力・ハラスメント条約及び勧告は職場の暴力やハラスメントが人権侵害で機会均等を脅かすものだと認めています。

https://www.ilo.org/ilc/ILCSessions/108/media-centre/news/WCMS_711321/lang–en/index.htm

14. 画期的な法改正が平等を促進

ボツワナ、法改正でLGBTQに勝利
ボツワナ、ブラジル、エクアドルはLGBTQコミュニティーの権利を守るために法改正を行いました。ボツワナでは裁判官が同性愛を有罪とするのは人権侵害として、それを合法としました。ブラジルでは最高裁判所がLGBTQの人たちへの差別は犯罪であると票決し、5年までの投獄を可能としました。エクアドルの最高裁判所も同性婚を合法としました。

https://edition.cnn.com/2019/06/13/americas/ecuador-same-sex-marriage-intl/index.html

15. 女性が史上初、EU組織のトップに就任

ウルズラ・フォン・デア・ライエンは前ドイツ国防相、
Photograph: Hayoung Jeon/EPA
今年はEUのトップ組織に女性二人が選ばれました。欧州委員会(EC)と欧州中央銀行のことです。今まで60年も男性のみに占められていたこれらのポストですが、ウルズラ・フォン・デア・ライエン(前ドイツ国防相)が欧州委員会委員長に承認され、クリスティーヌ・ラガルドが女性初の欧州中央銀行総裁に就任しました。

https://www.theguardian.com/world/2019/jul/02/women-to-head-top-eu-institutions-for-first-time

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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