CSW70:正義を否定されたすべての女性と少女のために
2026年1月30日付
2026年1月30日、国連本部で開催された「女性の地位委員会(以下、CSW)」マルチステークホルダー・ヒアリングにおける国連事務次長兼UN Women(国連女性機関)事務局長シマ・バフース氏の発言
[実際の発言]
第70回女性地位委員会(以下、CSW70)の優先テーマ「包括的かつ公平な法制度の促進、差別的な法律・政策・慣行の撤廃、構造的障壁への対処などを通じた、すべての女性と少女のための司法へのアクセスの確保と強化」に関する初のマルチステークホルダー・ヒアリングに参加でき、光栄に存じます。
このヒアリングは、CSWの活性化に関する決議と「未来のための協定(Pact for the Future)」がもたらした大きな成果です。会合は、パートナーシップの重要性の反映であり、私たちが直面する共通の課題には共同の取り組みが必要であること、幅広いステークホルダー間での審議と意見交換が不可欠であることを認識するものです。

国連憲章が掲げる「男女の平等な権利、大小を問わないすべての国家の平等な権利」という原則が試される中で、我々はここに集っています。市民社会は締めつけられ、資源は削減され、紛争は激化し、権利に対する反発は露骨に高まっています。世界のあまりにも多くの女性にとって、差別的な法律は依然として存続し、不処罰はまかり通り、法は不平等に適用されるかごく少数の人々にしか手の届かないものとなっています。
それでもなお、私たちは信じ続け、正義へのアクセスは根本的なもので譲ることのできないものであると主張し続けます。正義へのアクセスは社会を形づくり、また社会によって形づくられるものです。正義は私たちの社会規範を映し出すものです。正義は生活のあらゆる側面を支える不可欠な枠組みです。正義が実現されることは、良い統治、永続的な平和、安全保障、持続可能な開発、そして、社会的結束を意味します。
今日の私たちはその目標から程遠い状況にあります。UN Womenのデータはその隔たりを如実に示しています。世界全体で見ると、女性が有する法的権利は男性のわずか64%に過ぎません。完全な法的平等を達成した国は一つもありません。それは、次のようなことから明らかです。レイプについて同意を基準とした法的定義のない国は54%にのぼります。また、同一労働同一賃金を保障する法律がない国は44%におよびます。さらに、児童婚を容認する国が4分の3を占める事実も、当然ながらその影響を受けているのは主として少女たちです。そして、紛争や危機下における女性と少女たちの扱いほど、彼女たちへの正義の否定を如実に映し出しているものはありません。紛争地帯から50キロ圏内に暮らす6億7600万人を超える女性と少女たちは、わずか2年の間に紛争関連の性暴力が87%増加するのを目の当たりにしてきました。国際人道法や国際人権法が無視される中、正義はほど遠く感じられてきました。
国際法を擁護し、ルールに基づく国連機関を維持することは、正義と説明責任を基盤とする多国間主義の土台にとって不可欠であり、とりわけ世界中の女性と少女にとって極めて重要です。だからこそ、このCSW70は、正義を否定されてきたすべての女性と少女のためのものなのです。
私たちの取組みに対する後押しが不足しているわけではありません。私たちは、司法へのアクセスがもたらす広範な影響を理解しています。例えば、1970年以降、家族法の改正により6億人以上の女性が経済的な機会にアクセスできるようになりました。家庭内暴力やセクシャルハラスメントを犯罪とする法改正は、女性の司法へのアクセスを改善し、仕事、教育、公共の場への参加を促してきました。司法へのアクセスが実現しているところでは、女性と少女が活躍します。そして、女性と少女が活躍するところでは、経済全体とその社会もまた繁栄するのです。
解決策は明らかです。
- 女性と少女のために機能する司法制度に投資すること
- ジェンダーに対応した、サバイバー中心で、トラウマに配慮した司法サービスを優先すること
- 弁護士から裁判官、警察官に至るまで、司法制度のあらゆる段階で女性が主導的役割を担うことを確保すること
- 国際人権基準に準拠した、利用しやすい法的支援と司法メカニズムを保証すること
- 権利、法改正、そして司法アクセスの追求においてたゆまぬ努力を続ける女性運動に投資すること
女性の権利団体は、世界的な課題と地域の課題をつないでいます。差別的な規範に挑み、戦略的な訴訟を通じて体系的な説明責任を促し、日々女性と少女の生活を変え、影響を与えています。しかし、今日、私たちが彼女たちを最も必要としている時に、彼女たちは最も支援を受けられず、最も弱体化させられているのです。
皆さんが今日ここで話し合いたい解決策は他にも数多くあることでしょうが、CSW70は、私が先ほど述べた解決策に取り組み、投資し、規模の拡大を図るための、そして、変革的な法改正を推進し、連携を強化し、予防を優先させるための極めて重要な機会です。そうすることで、司法制度が女性と少女に正義をもたらすようにするのです。これは、公共財としての正義に必要な資源をついに確実に確保する機会なのです。デジタル司法制度などの技術を活用し、データとエビデンスを強化する機会でもあります。正義の追求と実現の最前線に立ち続ける女性権利団体を、政治的・財政的に支援すべき時なのです。
CSW70は、協力して結束するための唯一無二の場です。すべての女性と少女の正義を実現するため、加盟国、市民社会、民間セクター、国連システムのエネルギーと能力を結集する場です。UN Womenは、その支援において調整役を果たす用意があります。
CSWはこれまでも、そして今もなお、多国間主義の灯台であり続けています。今日私がここで目にしているような、そして、この課題に関わる多くのマルチステークホルダーの会合で見られるような、無限のエネルギー、創造性、献身、情熱を集結して、私たちみなに共通のフェミニスト・アジェンダを推進していきます。今年もまたそれが実現すると確信しています。私たちは、司法へのアクセスなどの課題において、確かな前進を遂げることができるでしょう。私たちの力を合わせた努力よりも強い反発はなく、私たちの運動の勢いよりも力強い後退などありません。
「権利。正義。行動。すべての女性と少女のために」をテーマに今年3月の国際女性デーを迎えるにあたり、正義の最前線に立つフェミニストの声に光を当てられることを楽しみにしています。
今後の議論の継続、CSW70の成功、そしてすべての女性と少女のためのゆるぎない連携を心待ちにしています。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。
