スピーチ:逆風は強いが、女性の権利を前進させるという私たちの共通の決意はそれ以上に強い
2026年3月19日国連本部―「第70回女性の地位委員会(CSW70)」における
シマ・バフース国連事務次長兼UN Women事務局長による閉会の辞
2026年3月19日|UN Women事務局長 シマ・バフース
[実際の発言]
今回もまた、この「女性の地位委員会(CSW)」は、世界中の女性や少女に向けて力強いメッセージを発信しました。すなわち、彼女たちの正義への権利は重要であり、差別的な法律や慣行は、法制度、政策、各種機関のいかなる場にも存在してはならないということです。
この2週間、本委員会に活気をもたらしてくださった代表団の皆さんや市民社会の皆さんのエネルギー、決意、そして情熱が改めて示されました。
多くの困難に直面しながらも、皆さんがこれを成し遂げられたのは、ある根本的な真実に対する私たちの共通の信念があったからです。すなわち、ジェンダー平等と女性の権利こそが、私たちの平和、安全保障、経済的繁栄、そして持続可能な開発という目標を支える基盤であるということです。
女性が平等かつ実質的な形で社会に参加し、司法への平等なアクセス、経済的機会、暴力のない生活を享受し、政府や民間部門、和平交渉の場でリーダーシップを発揮できなければ、私たちの国々は前進することができません。この極めて単純な真実を再確認し、合意された結論を通じてこれを前進することこそが女性の地位委員会(CSW)の目的ですが、皆さんはこの課題に見事に応えてくださいました。

議長を務めたマリツァ・チャン・バルベルデ大使閣下、すべての副議長の皆さん、ルーマニアのアンドレア・モカヌ氏、レバノンのサマ・ドブーク氏に、心より感謝申し上げます。また、「合意結論」(”Agreed Conclusions”)のとりまとめに尽力されたリヒテンシュタインのノア・オーリ氏とルワンダのフラビア・ウムリサ両副議長には、特に感謝申し上げます。ここにいらっしゃる皆さん一人ひとりが、彼女たちの努力を高く評価されていることと思います。
今回の第70回女性の地位委員会(CSW70)事務局は、この委員会にとって極めて重要な時期に、実践的なリーダーシップを発揮し、私たちに大きな示唆を与えてくれました。皆さんは力を合わせ、刷新されたCSWの最初の会期を牽引してくださいました。
加盟国の皆さんには、UN Women(国連女性機関)への継続的なご支援に感謝申し上げます。私たちもまた、各国の優先課題やジェンダー平等の目標の実現に向けて、皆さんを支援し、共に取り組んでまいります。
さらに、ここニューヨーク本部や世界各地で、ジェンダー平等、そしてすべての女性と少女の権利とエンパワーメントを推進するために日々たゆまぬ努力を続けているUN Womenのチームにも感謝申し上げます。
UN Womenの成果は、人々の暮らしに、人生の変化に、人々を守る法律や包摂的な経済に、そして女性のリーダーシップによって形作られる和平プロセスに表れています。開発の現場から紛争地域に至るまで、女性と少女が取り残されずに先頭に立って道を切り拓いている場所では、進展が見られます。
また、国連システム全体にわたる姉妹機関の皆さんが、本会期を通じて、そして常に、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに積極的に携わってくださっていることに感謝の意を表します。このことは、国連システムの中心に、より強固で一貫性があり、また十分な資金を備えたジェンダー平等を構築するために取り組む、国連創設80周年(UN80)の文脈における私たちの集団的な取り組みでもあります。
私たちは、あらゆる危機的状況下にある女性や少女たちに引き続き注力しなければなりません。アフガニスタン、ガザ、コンゴ民主共和国、ハイチ、ミャンマー、ウクライナ、南スーダン、スーダン、ソマリア、そして今この瞬間、中東全域に至るまで、女性と少女たちは最も大きな代償を払っています。その長いリストは増え続けています。彼女たちが皆、一日も早く正義と平和を見出せることを願っています。そして、法の支配の回復と、国連憲章の尊重が実現されることを願っています。
CSW70の初日、皆さんは過半数の賛成により、歴史的な「合意結論」を採択しました。これにより、差別的な法律や有害な社会的規範を含む構造的な障壁が依然として女性や少女を裏切り、彼女たちの権利の完全な実現を阻んでいることを認識した「合意結論」は、女性や少女の司法へのアクセスをジェンダー平等という世界的な課題の中心にしっかりと位置付けました。
皆さんは各国政府に対し、児童婚から家族権や財産権に至るまで、差別的な法律の見直しを求めるとともに、オンライン・オフラインを問わず、女性や少女に対する暴力の防止と対応を強化するよう訴えてきました。
また、加害者の責任追及、トラウマに配慮した迅速な司法へのアクセス、そして被害者への支援サービスの必要性が強調されました。
さらに、法的支援への普遍的なアクセスを確保することを含め、十分な資金調達と司法ガバナンスの調整が必要であることが認識されました。
今回、画期的な表現が盛り込まれました。コミュニティの司法支援員やパラリーガルが、女性や少女の司法へのアクセスを拡大する重要な担い手として、初めて明確に位置づけられました。また、拘禁中あるいは服役中の女性も、収監に至るまでのジェンダー特有の経緯とともに、明確に認識されています。
ジェンダーに配慮した移行期司法と国際司法の仕組みを前進させ、紛争や危機を生き延びた女性や少女に対して迅速な救済を提供する行政的な賠償措置の可能性も浮き彫りにしました。
皆さんの「合意結論」は、市民社会、とりわけフェミニスト団体を不可欠なパートナーとして位置づけ、社会全体で取り組む手法を提唱しています。
皆さんは、すべての女性と少女のための真の正義の実現に向けた重要な一歩を共に踏み出しました。
UN Womenは、「合意結論」の実施に向けて、皆さんと共に取り組んでいくことを楽しみにしています。
第70回女性の地位委員会(CSW70)は、同委員会の活性化に関する経済社会理事会(ECOSOC)決議(2026/2)の採択後、初めて開催された会期となりました。活性化に向けた取り組みの一環として、CSW70では「合意結論」の文書を10ページに短縮し、より焦点を絞った内容としました。また、議論を充実させるため、3つの新たな取り組み―すなわち、マルチステークホルダーによる公聴会、80名を超える閣僚が一堂に会した女性と少女に対する暴力に関するハイレベル会合、そして、高齢女性の権利とエンパワーメントに焦点を当てた閣僚級円卓会議-が導入されました。
今回の女性の地位委員会には190の加盟国が参加し、その中には2名の国家元首(または政府首脳)、1名の副大統領、5名の副首相、そして、75名の閣僚が含まれていました。また、4,600名を超えるNGOの代表者が参加し、加盟国、市民社会、そして、様々な国連機関によって合計255件のサイドイベントが開催されました。
あらゆる場において、市民社会の活動家やリーダーたちは、年齢を問わず、すべての女性と少女の生活にとって正義をより身近なものにするため、提言を行い、大胆な措置を求めました。
皆さんに感謝するとともに、敬意を表します。皆さんの情熱、献身、そして常に抱き続けている希望に対してです。その希望こそが、私たちが共に前進する原動力となっています。市民社会とNGOの皆さんに、心より感謝申し上げます。
今回の女性の地位委員会は、ジェンダー平等と女性の権利に対する逆風が依然として強いことを改めて示しましたが、同時に、女性の権利を前進させようとする私たちの共通の決意がそれ以上に強いものであることも再認識させてくれました。私たちは、これからも共にその逆風に立ち向かい続けます。
UN Womenの、ジェンダー平等と女性のエンパワーメント、そして極めて重要な三つの使命(ジェンダー平等に関する規範形成支援、各国の現場での具体的支援、国連機関間の調整、)に対する揺るぎない決意は、これからも、そして常に、私たちが立つ揺るぎない土台であり続けます。
私たちは、「北京宣言」の約束の実現に引き続き取り組み、あらゆる多様性を持つすべての女性と少女のジェンダー平等、権利、そしてエンパワーメントを推進し、誰一人取り残さないよう努めてまいります。また、すべての女性と少女が司法へのアクセスを確保できるよう尽力します。そして、この目的のために皆さんと協力できることを楽しみにしています。
また、来年開催される第71回女性地位委員会(CSW71)にも期待を寄せています。同委員会の優先テーマは、持続可能な開発目標(SDGs)全般にわたるジェンダー平等と、女性と少女の人権の状況を評価するものとなるでしょう。
2030年が近づく中、SDGsの目標5に関する指標はまだひとつも完全には達成されていません。CSW71では、SDGsの進捗を検証し、勢いを維持するのに必要な行動や推進策を特定するとともに、「北京行動綱領」の前進を図ります。
今年は、新たな事務総長を選出する年であり、これは国連の歴史において最も重要な出来事となるかもしれません。UN Womenの私たち全員が、そしてこの会場にいる多くの方々も、もし来年の女性の地位委員会を女性事務総長と共に開会することができるとしたら、これを誇りに思うことでしょう。
この会場を後にするにあたり、本会期を形作った声、エビデンス、そして切迫感を、私たち皆で持ち帰りましょう。世界が注目しています。女性と少女たちは、私たち全員を頼りにしています。そして彼女たちと共に、私たちは必ずや成し遂げます。
明日、イード・アル=フィトル(断食明けの祭り)を祝う皆さん、この祝日がすべての人々に平和と希望をもたらすものでありますように。
ありがとうございました。
