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活動現場から

【15のストーリーNo.13】娘たちに負わせた「児童婚」の後悔と決意

昨年(2025年)7月に、UN Womenは設立から15周年を迎えました。この節目を記念して、世界の女性たちのリアルな声と行動を伝える15のストーリーをお届けしています。女性たちの底知れない強さと希望の物語は、この時代を共に生きる私たちにもインスピレーションを与えます。

家事をするヤスミンの手を娘たちや孫が取り囲む Photo: UN Women

■「慣れるから、大丈夫だからと娘に言い聞かせました。」

女性の人生というものは、どこに生まれたかによって決定づけられてしまうものなのでしょうか。

パキスタンの険しい山あいの村に生まれたヤスミンの人生は、ずっと変わらない伝統によって形作られてきました。ヤスミンにはミーナ、ファティマ、アイシャという3人の娘がいます。この子たちもまた、家計を支えるために一日中家事を手伝って暮らしてきました。このような村々では、女の子なんだから大きなことを夢見るな、と教わります。でもヤスミンの娘たちは、学校に通い、読み書きを学び、いつの日か他の女の子たちに教えたいという夢を抱いていました。(大きな夢でしょうか?)

その夢も、ミーナが14歳になった時、そしてファティマが15歳になった時、断たれました。結婚が決まったのです。

「私は娘たちを慰めようとしました」と、自身も幼くして結婚したヤスミンは語ります。「みんなそうしてきたのよ、慣れるから、大丈夫だからと娘に言い聞かせました。でも心の奥底では、娘たちはまだ準備ができていないとわかっていました。どんな娘でも、どんな母親でも、そんな人生を送る準備ができている人などいません」

娘たちの目に浮かぶ恐れと悲しみを見て、ヤスミンはためらいました。

■ 次女結婚の夜

ヤスミンには忘れられない後悔があります。
二番目の娘、ファティマの結婚の夜―。ファティマは震えながらうちに帰ってきたのです。そして夫の家にはもう戻らないと頑なに訴えてきました。「だめですよ、戻らなきゃ、ね、お願い。」ヤスミンは、そう説得した時のわが娘のむせび泣きを覚えています。

「私は正しいことをしていると思っていました。これが普通だと思っていました。」

しかし母親としての痛みが、ヤスミンをこれで終わらせなかったのです。

 ※児童婚について
18歳になる前に結婚を強いられる少女たちが、世界には5人に1人の割合でいます。ミーナやファティマのような少女にとって、そんな幼い年齢での結婚は深刻なリスクを伴います。教育、自由、可能性を開く機会が奪われます。身体的・性的虐待、育児や介護・家事に追われる児童労働、出産時の病気や死亡にもつながります。パキスタンでは現在6人に1人(1900万人)が少女のうちに結婚しています。

■ 「過去は変えられません。でも、未来は変えられます。」

変化は2024年9月に訪れました。この日ヤスミンは、UN Womenが村で行った、児童婚の悪影響について学ぶためのプログラムに参加しました。そしてはっきりと気づいたのです。自分がいかに娘たちに重荷を負わせてきたか、あんなに早くに娘たちに結婚を強いてしまった、家から追い出してしまった…。そして、男性対象のプログラムに参加した夫の理解も得て、末娘は18歳までは結婚させないと決心しました。

この決意は、自分の人生を形作ってきた伝統に挑むものであり、小さな村社会に波紋を広げました。
「過去は変えられません。でも、未来は変えられます。一番下の娘には、学び、可能性を開く機会を与えたい。私が上の娘たちに負わせてしまった重荷から解放される権利があるんです。」
ヤスミンの決意は変化の扉を開きました。自分の娘にもより良い未来を、そう望む母親たちにとって、ヤスミンは希望と力の灯となったのです。

卒業まで学校を続けられることになったヤスミンの末娘 Photo: UN Women Pakistan, 2024

このプログラムを通じて1,732人の村人が児童婚について認識を新たにしました。かつて家に閉じ込められていた少女たちが、今では村の学校に通うようになっています。

世代を超えた負のループを断ち切ったのは、同じ女性としての母親から娘への思いでしょう。UN Womenの支援はきっかけに過ぎません。

(出典)
Breaking tradition to end child marriage in Pakistan’s remote village | UN Women – Headquarters