【プレスリリース】ファクトシート:ケアエコノミーへの投資が、いま最も社会を変えられる投資のひとつである5つの理由
2026年6月24日付
ケア労働は、見えにくい存在でありながら、あらゆる経済や社会を支える基盤です。強固なケアシステムを築くための投資は、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事:以下、ディーセントワーク)を生み出し、経済の繁栄を促進するとともに、ジェンダー平等を推進し、人権を保護し、地域社会を強化します。UN Womenは、女性や少女に偏っているケアの負担を軽減し、すべての人にとって機能するケアシステムを構築する支援を行っています。

1. ケア労働は経済の原動力
有償・無償を問わず、ケア労働は、経済活動を成り立たせる基盤です。それは、私たちが栄養を摂り、健康で、充実した生活を送るために欠かせない日々の仕事であり、ケア労働がなければ、社会も経済も機能しなくなります。人口の高齢化が進み、ケアの需要が高まる中、ケアシステムへの投資は経済上不可欠なものとなっています。
- 世界中で保育サービスを必要としている子どもの数は推定3億5,000万人。ケアを必要とする人の数は、2015年の21億人から、2030年には23億人へと増加の見込み。
- 無償のケア労働を金銭的価値に換算すると、一部の国ではGDPの最大40%に相当。
- ケア分野への投資は、建設分野への投資に比べて2~3倍多くの雇用を創出可能。
2. ジェンダー平等を実現するには、ケアの格差を解消することが不可欠
社会全体におけるケア労働の過小評価と不平等な分担は、ジェンダー平等と女性の経済的エンパワーメントにとって、依然として最も根強い障壁のひとつとなっています。無償のケア労働を認識し、負担を軽減し、再分配することは、女性が、教育、ディーセントワーク、リーダーシップ、公的な場に参加するための時間、選択肢、機会を得るための基本となります。
- 女性と少女が無償のケア労働に費やす1日あたりの時間は、男性の2.5倍。
- 世界的に見て、労働年齢の女性の45%(7億800万人)が、無償のケア労働の責任を負っているために労働市場から外れているが、男性ではその割合はわずか5%。
3. ケア労働は人権の問題
ケアを提供する人とケアを必要とする人の双方の尊厳と権利を確保するためには、充実したケアシステムが不可欠です。ケアエコノミーへの投資は、ケア分野におけるディーセントワーク、ケア労働者の労働権、社会保護政策、そしてケアを提供する人と必要とする人すべての権利を擁護する質の高いサービスへの投資を意味します。有償のケア労働は主に女性によって担われていますが、多くの場合、低賃金かつ長時間労働を強いられています。医療、保育、家事労働を含むケア部門の労働者の3分の2は女性であり、その多くは移民労働者です。
- 有償の家事労働者の80%を女性が占めています。
- しかし、家事労働者の90%は、社会保護や社会保障の適用を受けていません。
4. 世界中で紛争や危機が増加するなか、ケアシステムへの負担は増大し、そのしわ寄せは女性や少女たちに
紛争や気候変動に関連する災害によってケアサービスやインフラが弱体化したり破壊されたりすると、そのケアの負担を女性や少女たちが引き受けることになり、多くの場合、社会的・経済的に大きなコストを伴います。ケアシステムへの投資は、地域社会がその衝撃に耐え、不平等を軽減し、よりレジリエントな社会を築くことにつながります。
- 危機下では、女性が無償のケア労働に費やす時間は男性のおよそ4倍となる。
- 例えば、ウクライナでは、女性は男性よりも週に16時間多く無償のケア労働に従事しており、その結果生じている経済的損失は推定725億米ドル。
5. ケアエコノミーへの投資は、変革をもたらし、持続可能なリターンを生み出す
ケアエコノミーへの投資は、世代や経済圏を越えて、すべての人に利益をもたらし、地球にも好影響を与えます。
- ケアサービスへの投資は、2035年までに3億件近くの新たなディーセントワークを創出する可能性があります。
- ケア分野への投資は、建設業界への投資に比べて、環境汚染を30%削減できる可能性があります。
- UN Womenの「トランスフォーム・ケア(ケア変革)イニシアティブ」は、50カ国以上でケアシステムを強化することを目指しています。この取り組みは、2035年までに以下の実現に貢献する可能性があります:
♢ 29億人の女性と少女の支援
♢ 女性のための2億6000万件のディーセントワーク創出
♢ 2035年までに、女性と少女の10兆時間分の負担軽減
UN Womenは、ジェンダー平等の推進、経済的繁栄の実現、そして将来世代のレジリエンス強化に向けた、最も賢明で緊急性の高い選択肢の一つとして、政府や民間セクターのパートナーに対し、強固で公平なケアシステムを築くための投資を呼びかけています。
