ニュース

> ニュース一覧 > コロンビア、レバノン、マラウイでは、女性たちが対話・調停・司法を通じて平和構築を主導している。
活動現場から

コロンビア、レバノン、マラウイでは、女性たちが対話・調停・司法を通じて平和構築を主導している。

2026年6月25日付

安全保障理事会決議1325号により「女性・平和・安全保障(WPS)」アジェンダが採択されてから20年以上が経過しました。それ以来、女性の参画、安全、そしてリーダーシップが平和と安定にいかに密接に結びついているかが明らかになってきました。女性の権利を尊重する社会は紛争に見舞われる可能性が低くなります。


世界を見渡すと、日々対話の場を設け、地域レベルでの調停を行い、有害な慣行や規範に異議を唱え、被害者を支援し、正義を訴えることによって女性たちが平和構築活動を主導し、地域コミュニティの強化と永続的な平和に貢献しています。

ベイト・ベイルート文化センターでは、27歳の平和構築活動家ヌール・ナスルさんが、傾聴、内省、世代間の交流を促す活動を主導しています。UN Womenの支援を受けた彼女の活動は、対話と経験の共有がレバノンにおけるより包摂的で平和なコミュニティの構築にどのように役立つかを示しています。写真:ヌール・ナスル提供

27歳のヌール・ナスルさんはレバノンの首都・ベイルートの歴史とレバノン内戦(1975~1990年)を伝えるベイト・ベイルート(ベイルートの家)文化センターで、プロジェクトコーディネーターとして働いています。ナスル自身は内戦を経験していませんが、父親が戦闘員で数ヶ月間投獄されていたため、幼い頃から内戦の話を聞いて育ちました。彼女によれば、そうした経験の痕跡は、戦争が終わった後も長く残っていたといいます。

最近レバノンの「女性平和構築者のネットワーク(WPNL)」に加わったナスルさんにとって、幼い頃から耳にしてきた話はいつも何かが欠けていました。そんなナスルさんは、教科書には載っていない戦争の全容を探るために、非暴力と対話を提唱しているレバノンの元戦闘員たちの体験を記録し始めました。現在は中高生や大学生を集め、若い世代がレバノン内戦とその長期的な影響について深く考えるよう促しています。

こうした取り組みは、過去がレバノンの現在をどのように形作っているかを振り返る機会を提供し、対話と傾聴を通して、相互理解を深め、平和共存への共通の決意を育む機会を与えています。


カナダ政府の支援を受け、UN Women(国連女性機関)レバノン事務所はベイト・ベイルート文化センターにおける女性主導のイニシアチブや活動を支援しています。

マラウイのマチンガで行われた調停セッションの後、女性平和構築者たちが報告会のために集まりました。UN Womenの支援を受け、女性たちは対話の促進、地域社会の紛争解決、草の根レベルの平和構築の推進に貢献しています。写真:UN Women

UN Womenを通じ、「女性の平和と人道基金(WPHF)」の支援を受けながら、マラウイのNGO「ユースネットアンド・カウンセリング(YONECO)」が「平和構築と人道支援のための持続可能な地域女性運動」プロジェクトに取り組んでいます。

この取り組みが始まる前、リーダーシップや平和構築は男性の領域と見なされ、意思決定者である男性たちが男性の視点や利益を優先していたために、女性たちは長年しばしば声を上げられないと感じていました。例えば彼女たちはパートナーからの暴力といったデリケートな問題について、男性の首長に話すことを恐れ、女性や少女たちは保護も正義も得られずにいました。リーダーシップ、紛争分析、アドボカシー、交渉術、パブリックスピーキングの研修プログラムを修了した今では、 伝統的な指導者や地域住民と協力しながら、児童婚、ジェンダーに基づく暴力、土地紛争など、女性や少女を深刻な危険にさらし機会を制限する有害な慣習に立ち向うなど、女性の平和構築者たちがこれまでとは異なる方法で人々を結びつけています。

この研修プログラムを修了した女性リーダーの一人である、マチンガ出身のマーシー・ムソロンバさんは「人前で自信を持って話せるようになるなんて、夢にも思っていませんでした」と、話します。「今では、交渉もできるし、仲介もできる。そして、みんなが私の話に耳を傾けてくれるんです。」 

このように新たなスキルを身につけた女性平和構築者たちは、これまで見過ごされてきた事例においても活動を始めました。マラウイ・ファロンベ出身のマーシー・ムホワさんは2025年10月以降、児童虐待から夫婦間の紛争まで9件の事例を解決しており、女性リーダーが地域社会でいかに信頼され、尊敬されているかを実証しています。女性フォーラムは、より複雑な事例については警察や社会福祉事務所とも連携し、ファロンベでは、地域主導の介入により65件の児童婚が解消され、51人の少女が学校に戻ることができました。

コロンビアで実施されている「Tejiendo Dignidad(尊厳を紡ぐ)」プログラムの一環として、演習に参加する女性平和構築者たち。UN Womenが主導するこのプログラムは、女性のリーダーシップ、司法へのアクセス、そして平和構築プロセスへの参加の強化を目的としている 。写真:UN Women

コロンビアの女性たちは、「平和」におけるもう一つの重要な側面である「正義」の実現に向けて活動しています。

2016年のコロンビア和平合意は歴史的な節目となる出来事でした。同合意は、包括的なジェンダーの視点を取り入れた点で世界初の和平協定の一つであり、紛争が女性や少女に及ぼす影響の違いが認められるよう、そして、性暴力の被害者が正義と賠償を受けられるように闘ってきた女性団体や活動家たちの何十年にもわたる成果を反映しています。

 紛争に関連した性暴力被害を受けた被害者にとって、心理社会的支援、保護、法的援助へのアクセスが依然として限られている状況下で司法手続きに関わることは、再び安全上のリスク、偏見、二次被害、精神的苦痛にさらされることを意味していました。また、被害者に同行する女性団体やLGBTIQ+団体は、コロンビアの特別平和管轄裁判所(JEP)における法的代理、事件記録、擁護活動を維持する上で、技術面、財政面、安全保障面で大きな制約に直面してきました。

こうした課題への対応を支援するため、UN WomenはJEPと連携し、国連平和構築基金(PBF)の支援を受けて「Tejiendo Dignidad(尊厳を紡ぐ)」というプログラム を立ち上げました。この取り組みは、武力紛争によって深刻な影響を受けている地域全体で、女性団体やLGBTIQ+団体を強化し、被害者への支援等を充実させることを目的としています。また、事例の記録、JEPへの認定、修復的司法に貢献し、自身の経験が確実に反映されるようにします。

アンティオキア県ウラバ地方出身で性暴力の被害者であるマルゴット・エスコバルさんは、「今日、私は真実と正義への扉が開かれたと感じています」と話します。「この取り組みは、私に前進し続ける力と希望を与えてくれただけでなく、私の後に続く同じような経験をしてきた女性たちを支援する力も与えてくれました。」

地域に根ざした女性平和構築者への投資は、紛争予防と平和構築において実績が示されている戦略です。この活動に十分な資金を確保することは、平和を持続させる上で極めて重要です。

女性の平和と人道基金(WPHF)と国連平和構築基金(PBF)は、UN Womenを通じて、平和構築者に対し重要な資金を提供しており、このことは持続可能な平和の推進に対する共通のコミットメントを反映しています。

出典:https://www.unwomen.org/en/news-stories/feature-story/2026/06/women-lead-peacebuilding-efforts-in-colombia-lebanon-and-malawi