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活動現場から

セネガルで女性を暴力から守るコミュニティの「ゴッドマザー」たち

「バディエヌ・ゴク」と呼ばれる女性たちは、虐待を受けている女性や少女たちを自宅に迎え入れ、公的支援の届かない現場に足を踏み入れている。

2026年7月23日付

セネガルのタンバクンダでは、地元の女性は沈黙する苦痛に耐えきれなくなった時にどのドアをノックすればよいか知っています。そのドアの向こうにはアジャ・タッコ・サルさんが待っています。

 

 

 

 

私がバディエヌ・ゴクになる前から、人々はよく悩みを打ちあけに来ていました。

—アジャ・タッコ・サル

 

 

 

 

「コミュニティのゴッドマザー」または「近所の助言者」を意味する「バディエヌ・ゴク」は、セネガルのコミュニティにおいて独自の立場にあります。その親しみやすさと共感力によって知られる信頼の厚いゴッドマザーたちは、暴力や虐待を経験した、もしくは現在被害を受けている女性や少女を支えています。「声を上げる」という、困難で危険を伴うことが多い行動について、暴力のサバイバー(被害者)たちの手助けをしています。

現在、タンバクンダのバディエヌ・ゴクの事務局長であるタッコ・サルさんの家は、女性や少女が支援、助言、保護を求めてまず向かう場所のひとつになっています。彼女は、安心感を与える存在であり、信頼できる聞き手であり、支援の出発点になっています。女性の4分の1以上が身体的、性的、心理的、経済的な暴力を経験している地域において、タッコ・サルさんの活動は公的な司法制度と支援サービスが届かないところから始まります。家庭の中に入り込み、小声で語られる話に耳を傾け、助けを求める前に生じるためらいを目の当たりにします。

タッコ・サルさんは、こうした取り組みを日々の責務として行っています。暴力事件が報告されるたびに、意識向上に努め、助言を提供し、サバイバーに医療、司法、社会保護のサービスを紹介し、地域の関係者を動員しています。カナダの国際関係省と、UN Womenが実施しているKAARANGUE(ウォロフ語で「保護する」の意味)プロジェクトの支援により、サバイバーのためのより体系的な支援を可能にする研修や手段を通じて、地域に根差したこの取り組みは強化されてきました。

しかし、女性を保護するには資金も必要です。

「事件への対応を求められても、そこに向かうための交通費をまかなうことすらできない場合があります」とタッコ・サルさんは言います。

 

支援資金の大幅削減によって、
100万人の女性と少女が支援を受けられなくなる

 

女性団体を対象にしたUN Womenの調査によると、前例のない資金の削減によって、ほぼ9割の団体が現在のニーズの水準を満たすことができないと訴えています。半数が支援待機者リストを導入するか、支援を必要とする人を門前払いしています。5団体のうち2団体が一年以内に一時的または恒久的に活動を停止する見込みです。

命を守るサービスを維持するために、女性は自身の労働力、収入、健康を犠牲にしています
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しかし、こんな現実もタッコ・サルさんの決意をくじくことはありませんでした。地元の若い女性が家庭内で虐待を受け、すぐに解決策が見つからなかった時、タッコ・サルさんは喜んで彼女を3か月間自宅に住まわせました。この3か月で傷をいやし、自信を回復し、新たな未来を思い描いたこの女性は現在、安定した職と住居を見つけています。

タッコ・サルさんの活動は連帯だけにとどまらず、地域に根差した支援がいかに人生の方向を変えられるかを示しています。

適時に医療サービスを紹介されたサバイバー、暴力を受けた後も勉強を続けられた10代の少女、自分の権利について説明を受け、社会的サービスにつながることができた母親、沈黙を乗り越えて安全を優先するよう促された家族など、さまざまな形でこうした支援が生きています。

どんなに小さいものであっても、一つひとつの介入が再生と変革の出発点になります。

多くのサバイバーにとって、羞恥心、他人からの評価への恐怖、家族からの圧力は依然として強力な障壁のままです。加害者が家族の中にいる場合、助けを求めるのはさらに難しくなります。そうした場合、バディエヌ・ゴクは決めつけることなくまず話を聞き、サバイバーの身元を明かさずに助言をし、女性や家族と利用可能なサービスをつなぎます。

「バディエヌ・ゴク・モデルは、公的な制度では限界がある場面で女性や少女に手を差し伸べます。その地域社会に根差し、信頼を得ていることによって、ジェンダーに基づく暴力の予防と対応の両面において重要な役割を果たしています」とセネガルの家族問題担当地域責任者のハワ・ソウ・ブーソさんは強調します。

UN Womenのプロジェクトを通して、こうした取り組みは新たな勢いを得ています。実施の初年度には、コミュニティでの話し合い、社会的対話、草の根の支援活動を通して5,278人(その大半が女性)以上に手を差し伸べました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

報告書
『限界を超えて: 人道支援の現場における女性団体への資金削減による継続的な影響』

 

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この成果は、特に報復の恐怖、羞恥心、周囲の人からの圧力が原因で暴力の被害を打ち明けることを依然としてためらっている女性と少女にとって、予防と情報と紹介サービスの必要性が今も高い状況において達成されたものです。タッコ・サルさんの経験は、保護というのは聞く、信じる、手を差し伸べるという単純な行動から始まることが多いということを強く思い出させてくれます。そして時には、ひとつドアが開いていれば始まる支援もあります。

そのドアが開かれた状態に維持するために、バディエヌ・ゴクの活動を十分な資金で支え、強化しなくてはなりません。交通手段、継続的な研修、より強力な紹介の仕組み、地域の保護システム内でのその役割についての認識を広めることなどに資金が必要です。コミュニティ、当局、開発パートナーと連携してバディエヌ・ゴクに投資することは、女性と少女に対する暴力への対応として、地域の実情に即した、より人道的で効果的なアプローチを選ぶことを意味します。

それは、どんなサバイバーも孤立させず、どんな声も恐怖によって封じられず、すべての女性と少女が自分のコミュニティで助けの手、信頼できる聞き手、保護への道を見つけられるようにすることを意味します。

 

原文:https://www.unwomen.org/en/news-stories/feature-story/2026/07/the-community-godmothers-protecting-women-against-violence-in-senegal

(翻訳者:早乙女由紀)

 

※ 翻訳者の方々が、ボランティアでUN Womenの記事を翻訳してくださっています。長年のご協力に感謝申し上げます。