UN Women親善大使に、ブラジルの女子サッカー界の第一人者、マルタ選手が就任

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2018年7月12日

マルタ選手(UN Women 本部提供)

2018年7月12日、UN Womenは、ブラジルのサッカー選手、マルタ・ビエイラ・シルバを、新しく親善大使に任命しました。

たくさんの人々のモデルであり偶像でもあるマルタは、女性・少女へのステレオタイプ的な見方や障壁を乗り越え、自らの夢や野心をめざすよう、世界の女性アスリートたちを応援します。彼女は、5年間ブラジルナショナルチームの一員で、現在はアメリカ合衆国のサッカーリーグのオーランド・プライドに所属しています。2004年のFIFAワールドカップ、2008年のオリンピックで、ブラジルチームを銀メダルに導きました。

ヌクカUN Women事務局長は、「マルタは世界中の女性・少女の優れたロールモデルです。彼女自身の経験は、決意と才能と根性で成し遂げた力強い人生を示しています。スポーツは、全世界的な共通言語といえます。我々の限界を精一杯伸ばし、我々を力づけ、団結させます。ジェンダー平等の速やかな達成をめざし、多くの女性・少女をサポートし、エンパワメントさせるために、私は彼女の親善大使としての活躍を大いに期待しています。女性・少女が、男性・少年と同じ機会を持ち、すべての可能性を実現することができるよう活動するUN Womenにふさわしい親善大使です」と語っています。

「スポーツ界でUN Women親善大使になることはとても名誉なことです」とマルタは語っています。「スポーツを通して、社会的文化的常識や、ジェンダーのステレオタイプ的な規範を変えることができます。女性・少女たちはスポーツを通して自信を持ち生活力やリーダーシップを向上することができます。何より健康になるし、自分の体を自らの体ととらえ理解できます。暴力がどんなものかわかるし、それからいかに逃れるかもわかります。自分にふさわしいサービスを探せるし、経済的エンパワメントも身に着けることができます。」

2016年のリオ・オリンピック以来、女性のスポーツはより可視化されています。リオ・オリンピックには、全参加選手の45%を占める約4700人の女性アスリートが参加し、306の試合に国を代表して参加しました。

2015年に世界のリーダーたちによって採用された、持続可能な開発SDGsは、2030年の達成をめざしています。そして、女性のエンパワメントには、スポーツがとても重要であると、はっきり示しています。

私たちはこのプロジェクトがどのように発展していくか、期待をこめて見守っていきます。今後ともご協力のほどよろしくお願いいたします。

スポーツは、自立と安全のスペースが組み合わせられたときに、少女の自立性を高める機会になります。UN WomenとWomen Winが、リオデジャネイロで共同で行った、若い女性向けのスポーツと生活能力向上のプログラムは、「ひとりが勝ち取れば他の人々も勝ち取れる(One Win Leads Another)」といいます。これは、少女たちに、セクシャルヘルスや権利について、また経済力やリーダーシップの力を着けることへの理解を促し、自信をもたらすものです。プログラムは彼女たちの生活やすべての状況での決定にふさわしい能力を向上させ、アルゼンチンや他の国々へ、波及していきました。

しかしスポーツ界で、女性・少女は、困難な挑戦を続けちます。スポーツ界で完全な平等を得るには、なお、長い道のりがあります。世界の女性や少女の多くは、スポーツする機会を与えられていません。より少ない投資、差別、セクシャルハラスメントに直面します。プロのアスリートは、差別的な報酬ギャップ、ガラスの天井に直面します。リオのサッカーワールドカップでは、男子選手は576ミリオンUSドルにたいし、女子はたったの15ミリオンUSドルでした。スポーツ協会(GSCC)による、世界のスポーツ業界の賃金調査では、女性アスリートの報酬は、男子の1%でした。ホーブスランキングリストでは、100人のスポーツ高額報酬取得者に、女性は一人もいません。

UN Womenの親善大使は芸術、科学、文学、芸能、スポーツや他の公の分野で卓抜した個人が任命されます。彼女らは、UN Womenの使命に個人的にかかわることを表明します。彼女たちの専門性や影響力を通して、人々に女性・少女のエンパワメントとジェンダー平等獲得への動機づけをします。

マルタはかつてUNDP(国連開発計画)の親善大使も務めていました。

マルタのプロフィル

マルタは1986年、ブラジル生まれ。国籍はブラジルとスエ―デン。世界的な女子サッカー選手として知られています。ブラジルナショナルチームを経て、現在はアメリカ合衆国ナショナルサッカーリーグのオーランド・プライドに所属しています。

ゴールストライカーでドライビングの高い能力を持ち、2007年のFIFA女子サッカーワールドカップで、7ゴールを達成し、ゴールデンボールとゴールデンゴールの賞をとりました。2015年のワールドカップでは15ゴールを達成し、トーナメトトップサッカー選手となりました。2006~2010年まで連続でFIFAワールドプレイヤーとなり、2004年と2008年のオリンピックで、ブラジルチームを銀メダルに導きました。2014年のブラジル男子ワールドカップでは、6人の親善大使の一員に任命されました。

ブラジル北東部のドイス・リコスの貧しい家庭に生まれ、はだしでストリートサッカーをしていましたが、たびたび男の子からつまはじきにされていました。

マルタは2008~2010年はUNDP(国連開発計画)の親善大使を務め、MDGsの女性のエンパワメントの分野の達成に貢献しました。

(翻訳:岩城淳子)

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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