バングラデシュのロヒンギャ難民女性・少女支援プロジェクトについて

記事をシェアする

2018年5月28日

UN Womenは近年難民危機を背景に人道支援活動に力を入れています。自然災害やその他の危機は男性、女性に違った影響を与えるのに、支援活動からはこのような視点が抜け落ちていることが多々あります。UN Womenはジェンダー平等、女性のエンパワーメントが人道支援のすべての分野に確実に含まれることを目指して支援の現場で活動しています。

テレビや新聞で報道されている通り、現在多くのロヒンギャが国境を越えてバングラデシュに逃れてきています。コックスバザールだけでも646,000人の難民が暮らしており、その80%が女性や子どもであると推定されています。2017年のケアインターナショナルの調査では女性・少女ほぼ全員が性的暴行やレイプの被害者か目撃者であることが判明しています。中には家族が身体を切断されたり、生きたまま焼かれるのを目の当たりに見てトラウマを背負っている人たちも多く見られます。

バングラデシュのロヒンギャ難民女性・少女支援プロジェクト
バングラデシュのロヒンギャ難民女性・少女支援プロジェクト

UN Womenが具体的に行っていることの一つはディグニティーキット(尊厳を保つために必要なキット)の配布です。女性・少女に配慮して一般的に配られている石鹸、衣服、衛生用品に加え、生理用品、下着、スカーフ、太陽光発電によるランプなどが入っています。これまでに7,893の家庭に配られました。16歳のルビナは逃げる途中に両親とはぐれてひとりになってしまいましたが、このランプに救われたと言っています。「これで夜トイレに行ったり、水を汲みに行ったりできるようになりました。夜、お料理もできてとても助かっています」と述べています。

UN Womenがおこなっている支援活動の特徴の一つは難民女性を単に弱い立場の被害者ととらえず、家族やコミュニティのレジリエンス(復元力)を高めるうえで重要な役割を果たせる存在と位置付けていることです。そのためUN Womenは難民キャンプの運営になるべく難民女性がかかわってリーダーシップを発揮できるよう様々な工夫をしています。また難民女性の自立を見据えてキャッシュフォ―ワークという取り組みもおこなっています。これは難民が難民を助けることで自分も自立できることを目指すプログラムです。例えば難民女性が裁縫の技術を習得してキャンプ内の難民女性から注文を受けて洋服を作り、この技術によって将来職を得たり、起業したりできるようになるのです。今回私たちが拠出するこのプロジェクトはコックスバザールに7つの多目的女性センターを建設することを計画しています。このセンターではキャッシュフォ―ワークプログラムに参加できるような研修が行われ、女性たちが交流できるようになっています。仲間と会って自分たちのつらい状況を共有することは難民女性たちの大きな救いになるはずです。

私たちはこのプロジェクトがどのように発展していくか、期待をこめて見守っていきます。今後ともご協力のほどよろしくお願いいたします。

【関連記事】「ソーラーランプ、代替燃料、生理用品などの救援物資はロヒンギャ女性難民の生活必需品」
http://www.unwomen-nc.jp/?p=946

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

寄付する