【ネパール土石流緊急募金】第4報:キッチン・スタッフとして働く被災女性のレシュマとサンナニが語ったこと
◆レシュマ・ランジットさん|コミュニティ・キッチン料理長
ある日の午後の風景をご覧ください。ネパールのヌワコット郡インドラヤニ学校にUN Womenが設置したコミュニティ・キッチンで、レシュマが大きな鍋をかき混ぜています。作っているのは、甘くクリーミーなプリンのようなデザート「ハルワ」です。
その周りでは、女性たちが食事の準備を進めています。2026年8月26日に発生した土石流で家や地域が押し流され、一時避難施設で暮らす家族のための食事です。
「土石流によって、私は持っていたものすべてを失いました。購入したばかりの調理設備も、一生をかけて蓄えた貯金や努力の結晶も、ケータリング事業も、そして夢も。10年近く築き上げてきた事業が、瞬く間に消えてしまったのです」
わずか数週間前まで、30歳のレシュマは夫とケータリング事業を営んでいました。二人が10年近くかけて築いてきた事業です。土石流の12日前には、新しい設備を購入して事業を拡大するため、120万ネパール・ルピー(約124万円)の融資を受けたばかりでした。
そこへ洪水が襲いました。濁流はボテコシ川とトリシュリ川の流域を押し流し、数千人の命を奪い、住宅やインフラを破壊しました。人々が懸命に働いて築いてきたものも、すべて奪い去りました。長年かけて積み上げたすべてが瞬く間に消え去った絶望の中、彼女が選んだのは、再び厨房に立つことでした。UN Womenが支援する給食所「コミュニティ・キッチン」の料理長として働く決断をしたレシュマは、被災した仲間とともに、エプロンを締め、手袋をはめ、再び包丁を握り始めました。
かつて自分の事業で人々を笑顔にしていたその腕前は、今、一時避難所で途方に暮れる人々のお腹と心を満たす、かけがえのない力となっています。
■UN Womenが設置したコミュニティ・キッチンの特徴
- 「ネパール農村青年運動」や「全国先住民族女性フォーラム」、「フェミニスト・ダリット協会」など、ネパールで弱い立場に置かれた人々の団体や、地元の女性団体との協働で営むものです。
※ダリット:カースト制で差別されてきた人々 - 食料や調理設備を利用できない人々に温かく栄養のある食事を提供すると同時に、災害による差し迫った経済的打撃に直面している女性たちに、一時的な有償の雇用機会を創出しています。
- 家を失った家族、とりわけ女性たちにとって毎日の食事の準備は大変な負担となります。1日4食、合わせておよそ1,145人の人々に温かい食事が用意され、開設からわずか2週間で15,000食以上が提供されました。
- 資金が集まれば、食料を必要とする100人ごとに1つのコミュニティ・キッチンを設置し、1か月間で9,000食を届けられる仕組みです。
◆ サンナニ・BKさん|コミュニティ・キッチン調理スタッフ
「コミュニティ・キッチンは、悲しみを分かち合い、地域の仲間の女性たちと一緒に働き、同じ経験をしている人々を支えることができる場を与えてくれました。このような時こそ、温かい手作りの食事があることは、本当に大きな意味があるんです。」
洪水が迫っているという知らせを聞いたとき、万が一自分に何かあったとしても子どもたちだけは助かるようにと、サンナニは必死の思いで子どもたちを車に乗せて避難させました。しかし、激しい濁流はサンナニの兄の命を奪っていきました。彼女は現在、自分の子どもたちに加え、兄の子どもたちの世話もしています。
土石流の後、「行く場所も、相談できる人もいなかった」とサンナニは振り返ります。
途方に暮れていた彼女を救ったのが、このコミュニティ・キッチンでした。同じように傷つき、同じ痛みを抱える地域の人たちとともに働き、温かい手作りの料理を人々に届ける時間――それが、彼女の痛む心を少しずつ癒やしていきました。
「キッチンで働いて得る収入は、今私が世話をしている自分や兄の子どもたちの当面の生活費を賄うのにも役立っています。」
サンナニやレシュマのような女性たちにとって、こうした一時的な収入だけで災害による損失を埋め合わせることはできません。それでも、長期的な復興支援の体制が整うまでの間、差し迫った出費を賄う助けになっています。
土石流が襲ってから2か月となるネパールの被災現場で、女性たちは今も立ち続け、互いに支え合いながら復興に取り組んでいます。
「私たちはすべてを失いましたが、希望だけは失っていません」と料理長のレシュマは語ってくれました。
どんなに大きな災害であっても、復興という途方もない道のりは「今日の温かい1食」というごくシンプルな一歩から始まります。それぞれの人に人生があります。青いポロシャツに身を包み、誇りを持って立ち上がる女性たちの手から生み出される一皿一皿がネパールの被災地を支えています。
UN Womenのコミュニティ・キッチンの取り組みに、温かいご支援をお願いいたします。
※ UN Womenのコミュニティ・キッチンは、緊急支援期間が終わった後は、調理設備が地元の女性団体に引き継がれ、地域住民のために利用され続けます。
出典:https://www.unwomen.org/en/news-stories/feature-story/2026/09/one-month-after-the-nepal-floods-women-are-running-community-kitchens-feeding-their-communities-and-rebuilding-their-lives
