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活動現場から

タリバンがインターネットを遮断したとき — 女性たちは、“命綱”を失った

2025年9月中旬、タリバンはアフガニスタンの一部の州でインターネットと電話を遮断し始め、9月下旬には全国的に通信を遮断しました。8月31日に東部で発生した大地震からわずか1か月、余震が続き、緊急対応と復旧活動が行われている最中のことでした。

通信手段の遮断は10月には解除され、現在インターネットはおおむね復旧しているようですが、それでも今回の出来事は、アフガニスタンにおいて、女性や少女がアクセスできる情報・支援・学び・希望への扉は、いつでも瞬時に閉ざされうるという厳しい現実を浮き彫りにしました。


アフガニスタンでは、女性の識字率が低く、デジタル機器の使い方を学ぶ機会も与えられていませんので、ネット環境を持っていない女性も多く存在しますが、インターネットに接続できている女性たちにとっては、それは命を救う支援や外界とつながる、かけがえのない「命綱」です。

タリバン政権下における女性たちの生活は非常に制限されています。あらゆる女性や少女が中等教育・高等教育を禁じられ 、公園、ジム、スポーツクラブといった公共の場や、ほとんどの仕事から締め出されています。特に地震の被害を受けた東部地域の女性やイラン・パキスタンから強制的に帰還させられた多くの女性たちは、生計を立てる手立てがなく、人道支援に頼らざるを得ない状況です。

そんなアフガニスタンの女性たちにとって、今回の通信遮断は、ストレス、不安、孤独感をさらに強める結果となりました。

厳しい環境の中で、レジリエントに闘う女性たち

アフガニスタンでは、ほとんどの職業で女性が働くことを禁止し、男性の保護者がいないと移動できないという指令が次々に出されています。このような措置によって、女性は公共の生活から制度的に排除されています。

ですから、インターネットは、女性たちにオンラインでの仕事や小規模事業を行う貴重な機会を提供しています。彼女たちの多くは、ナッツ類、香辛料、手工芸品、衣類、美術品といった製品をアフガニスタン国内外の顧客に販売しています。

東部パルワン州の女性起業家・サマさん (仮名)* は、UN Womenの支援を受けて、編み物のバッグや財布、ジュエリーを販売するオンラインショップを立ち上げました。「家の外に働く場所はないし、製品を売る市場もありません。オンラインでの販売から収入を得て、経済的な問題を解決しようとしているんです」と語るサマさんにとって、ネットは自立への道そのものです。通信遮断が発生したとき、サマさんのような女性たちは一夜にして唯一の収入源を失いました。この事実は、多くのアフガニスタン女性にとって、インターネット接続はぜいたく品ではなく命綱であることを明らかにしました。

2025年1月、アフガニスタン東部パルワン州にあるUN Women が支援する多目的女性センター。女性起業家たちがビジネス開発研修に参加しています。写真:UN Women/Ali Omid Taqdisyan

人道危機のただなかでの「闇」

通信遮断は、人道支援全体にも深刻な打撃を与えました。

女性団体は、地震の影響を受けた女性や少女、そして隣国イランやパキスタンから強制的に帰還させられたアフガニスタン人女性や少女に対し、命を救う支援とサービスを提供していますが、通信が遮断されている間、人道支援活動を停止せざるを得なくなりました。緊急支援のための生活必需品の発注や支払いもできなくなり、銀行システムがダウンしたことで、女性たちが食料購入に必要な現金支援すら届けられなくなりました。

タリバンの支配や大地震でただでさえ家庭内の緊張が高まり、暴力のリスクが増している中で突然に行われたこの通信の遮断は、女性たちにとってあらゆる危険の深刻化をも意味します。

UN Womenのチームが、アフガニスタン北東部クナル州で最も被害の深刻な地区の一つヌルガルで地震被害を調査しているところ。写真:国連女性機関(UN Women)

  • 支援へのアクセス ― ネットや電話は、彼女たちが利用可能な支援を知る手段であると同時に、援助機関にとっても活動継続の手段です。
  • 災害や気候被害の情報 ― 最近のデータでは、女性の約 9%がインターネットを通じて気候関連の災害情報を得ています。
  • 支援と通報のメカニズム ― ジェンダーに基づく暴力のサバイバーや危険にさらされている人たちにとって大切な窓口です
  • 学び ― 学校から締め出された少女たち、大学から締め出された女性たちにとって、オンライン授業や勉強会は唯一残された学びの場です。
  • 仕事 ― 多くの女性が正式な就労から排除されているため、オンラインビジネスは家計を支える貴重な収入源です。
  • つながり ― SNS やソーシャルメディアは、女性たちが互いに支え合い、情報を交換することのできる安全な場所です。
  • 可視性と抵抗の場 ― すでに公共の場から排除されている女性たちにとって、デジタル世界は、自らの存在と抵抗を示せる大切な場所のひとつです。

今回の出来事は、デジタル世界が決してジェンダー中立ではないことを痛烈に思い知らせるものでした。インターネットは希望を与える力にも、逆に排除と孤立を強める道具にもなり得ることがわかったのです。

アフガニスタン女性たちの物語は、教育、メンタルヘルス、生計、そして希望という、かけがえのないものが危機に瀕していることを私たちに思い起こさせます。女性がオンライン上でも声を封じられるとき、彼女たちは機会から、世界から、さらに切り離されてしまうのです。

*本人の身元保護のため名前を変更しています。

UN Womenは、8月31日の大地震で被災したアフガニスタンの女性と少女たちへの緊急の資金提供を呼びかけています。私たち国連ウィメン日本協会は、日本におけるUN Womenの公式支援窓口として、アフガニスタン救援資金の不足分250万米ドルの1%(=日本円で約370万円)を目標に、日本国内の皆さまからの寄付を募っています。12月31日までにいただいたご寄付は、現金支給のほか、毛布、防水シート、石鹸、生理用品などの必需品の提供に使われます。

真冬には氷点下になることもある山岳地帯で被災した多くの女性と少女の命を守るため、どうか皆さまの温かいご支援をお願いいたします。

ご寄付について、詳しくはこちらから

出典
https://www.unwomen.org/en/news-stories/news/2025/10/when-the-taliban-shut-down-the-internet-women-lost-their-lifeline-to-aid-education-and-each-other

https://asiapacific.unwomen.org/en/stories/news/2025/07/against-the-odds-afghan-women-are-building-livelihoods-and-resilience

https://asiapacific.unwomen.org/en/digital-library/publications/2025/09/earthquake-in-eastern-afghanistan-un-women-humanitarian-update