フェミサイドとは?〜知っておくべき5つの重要な事実〜
あなたは、『フェミサイド』という言葉を聞いたことがありますか?
『フェミサイド』(フェミニサイドとも呼ばれる)とは、ジェンダーに関連する動機による意図的な女性の殺害のこと。動機がジェンダーに関連しない場合もある一般的な殺人『ホミサイド』とは異なるものとして定義づけられています。フェミサイドは、女性と少女に対する暴力の中で、最も残忍で極端な形態です。

UN Women(国連女性機関)が「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に発表した最新の報告書によると、フェミサイドに減少の兆しは見られません。2024年には、ジェンダーに関連する動機で女性が10分に1人の割合でパートナーや家族によって殺害されました。フェミサイドの認知度は高まっています。しかし、それを予防し、激化をくい止め、サバイバーを支援し、加害者を処罰するためには、まだ多くの取り組みが必要です。
《フェミサイドの原因》
フェミサイドの原因はさまざまです。女性や少女に対する差別、不平等な力関係、ジェンダーに基づく固定観念や有害な社会規範などによって引き起こされます。
フェミサイドが起きる場所も、家庭内、職場、学校、公共の場、オンライン空間などさまざまです。親密なパートナーによる暴力、セクシャルハラスメントを含む性暴力、有害な慣行、人身取引など、複数の暴力形態の連続体の中で発生します。
《フェミサイドについて、知っておくべき5つの事実》
1. 女性と少女は、最も身近な人物によって殺害される可能性が高い
- 2024年、世界中の女性や少女の殺害事件の60%にあたる約5万人が、親密なパートナーや家族(父親、母親、叔父、兄弟を含む)によって殺害されていた。これは、平均すると毎日137人の女性や少女が家族の一員によって殺害されていることになる。
- その他、被害者の知らない人物によるレイプや性暴力、女性器切除やいわゆる名誉殺人などの有害な慣行に関連する暴力、性的指向や性自認に関連するヘイトクライムによる暴力、武力紛争・ギャング・人身取引などの組織犯罪に関連する暴力もある。
- フェミサイドと深く関連してテクノロジーがストーキングの手段として利用される事例が増加している。ある研究によれば、フェミサイドの被害者の4人に3人は殺害される前に加害者からストーカー行為を受けていた。テクノロジーはフェミサイドに至る前段階において、強制的支配や監視を行うためにも利用されており、被害者のデジタル空間における存在が原因となっているものが近年増加傾向にある。
2. フェミサイドは普遍的な問題である
- フェミサイドは、世界中の国と地域で女性と少女に影響を与えている。
- 2024年には、親密なパートナーや家族関連のフェミサイドは、アフリカが絶対数・相対数ともに最多を記録。推定22,600人(10万人あたり3人)の犠牲者が報告されている。
- 2024年はアメリカ大陸とオセアニアでも親密なパートナーや家族関連のフェミサイドの発生率が高く、それぞれ10万人あたり1.5人と1.4人。一方、アジアとヨーロッパでは発生率は大幅に低く、それぞれ10万人あたり0.7人と0.5人。
3. フェミサイドの規模は、実際にははるかに大きい可能性が高い
- 報告書で示された数値はすでに驚くほど高いが、それは氷山の一角に過ぎない。各国の刑事司法の記録方法や捜査慣行の違いにより、女性や少女に対する意図的な殺害の約4割では、ジェンダーに起因する殺害と特定するのに十分な情報が得られていない。そのため、フェミサイドの犠牲者の多くは統計に計上されていない。
- 実際の規模を把握するためには、細分化された包括的データが不可欠である。現在のデータ収集の問題を克服するために、UNODC(国連薬物犯罪事務所)とUN Womenは「女性と少女に対するジェンダー関連の殺害(フェミサイド/フェミニサイド)を測定するための統計的枠組み」を策定、2022年3月には国連統計委員会で承認されている。
4. 一部の女性や少女のグループは、より高いリスクに直面している
- 政治分野を含む公的な立場にいる女性、女性人権擁護家、ジャーナリストは、オンライン・オフラインを問わず意図的な暴力行為の標的となることが多く、致命的な結果に至るケースもある。世界の女性ジャーナリストの4人に1人、アジア太平洋地域で調査対象となった女性議員の3人に1人が、殺害予告を含む身体的暴力のオンライン脅迫を受けたことがあると報告している。
- 世界中の社会・環境紛争の少なくとも4分の1において、女性環境活動家が抵抗運動の表舞台に立っており、彼女たちは、そのうち81件の紛争で殺害されている(2022年1月現在)。2023年、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、女性人権活動家は活動内容とジェンダーという二重の理由で、オンライン・オフラインを問わず標的とされていると警鐘を鳴らしている。OHCHRはまた、2022年、紛争影響国で少なくとも34人の女性人権活動家が殺害されたことを記録。
- 限定的ではあるものの、カナダとオーストラリアのデータは、先住民の女性はジェンダー関連の殺害によって、より大きな影響を受けていることを示唆している。2021年、カナダにおける女性の殺人率は10万人あたり4.3人であったが、先住民女性は非先住民女性に比べて5倍高い水準だった。
- トランスジェンダーやジェンダー多様性を持つ人々に対する暴力が増加する中、2023年の「トランス殺人モニタリング」の調査データによると、殺害が報告された321人のトランスおよびジェンダー多様性を持つ人々のうち94%がトランス女性またはトランス女性的な人たちであった。ただし、報告事例のみに基づくもので、全てのトランスジェンダー被害者がトランスジェンダーやジェンダー多様性を持つ者として特定されているわけではないため、実態や傾向の一端を示すにとどまっている。
5. フェミサイドは防止可能であり、防止されなければならない
- フェミサイドは、多くの場合、ジェンダーに基づく暴力が繰り返され、エスカレートした末に起きている。つまり、暴力の初期兆候に効果的に対処すれば、防ぐことができる。一次予防に焦点を当て、社会規範を変え、女性に対する暴力を一切容認しない環境をつくる、地域社会を巻き込んでの取り組みが、ジェンダー関連の殺害を防ぐ上で最も効果的である。
- 警察と司法部門は、ジェンダーに基づく暴力の通報に際して、サバイバーを信じ、支援し、加害者に対する不処罰を終わらせることで重要な役割を果たす。 非常に多くの事例で、フェミサイドの被害者は以前に暴力を通報した経験がある。つまり、その殺害は防げた可能性があるということである。
- 家族や地域社会を巻き込んでジェンダー関連の殺害事件を詳細に検証することは、改革を促し、制度的対応を改善する上で重要。過去の殺人事件を分析することは将来のフェミサイドを防ぐことにつながる。
- 女性の権利団体は、政策の変化を促し、政府の責任を問うとともに、サバイバーを中心に据えた支援サービスを提供することで、女性と少女に対する暴力を防ぐ上で極めて重要な役割を果たしている。女性の権利団体への財政的支援の強化は、ジェンダー関連の殺害や、女性・少女に対するあらゆる形態のジェンダーに基づく暴力を減らし、防ぐ上で極めて重要である。
言い訳は通用しません。女性に対する暴力を止める行動を起こしましょう!
私たちは、ひとつひとつの数字の背後には、女性や少女への暴力を容認し永続させてきた社会的規範やミソジニー(女性嫌悪)等によって命を奪われた一人ひとりの女性や少女が存在していることを忘れてはいけません。
出典: https://www.unwomen.org/en/articles/explainer/five-essential-facts-to-know-about-femicide
