10代の子どもたちにマノスフィア(男性優位主義)について話す方法:親・養育者のためのガイド
少年たちは、オンライン上にある大量の過激なコンテンツにさらされています。子どもたちがそれを理解し、疑問を持ち、立ち向かうための力を与えていきましょう。
2026年6月1日付

世界中の若者は、オンライン上で何時間も過ごし、スクロールしたり、交流したり、学んだり、ゲームをしたり、あるいは単純に娯楽として楽しんでいます。アメリカでは、1日に最大8時間をオンライン上で過ごし、そのうち平均5時間をソーシャルメディアに費やしています。このようなオンライン空間では、多くの若者が「マノスフィア」と呼ばれる世界に触れています。これは、少年たちが自信の持ち方、人間関係、そして「男らしさとは何か」「男であること」を理解する上で影響を与える、デジタルコミュニティやインフルエンサーのネットワークのことを指します。
オンラインコンテンツすべてが有害なわけではありません。実際、その多くは共感を得られているもの、面白いもの、あるいは役に立つものとして作られています。しかし、よく見てみると、全く異なる実態が見えてきます。それは、女性や少女に対する否定的な考え方を助長し、成功に関する疑わしいアドバイスを売り込み、若者、特に少年や若い男性が自分自身や他者をどのように認識するかを歪めるものです。
親や養育者にとって、これは対処が難しいことです。どこから対応すればよいのでしょうか?何と言えばよいのでしょうか?そして、どうすればオープンで冷静な対話を続けることができるのでしょうか?
UN Womenとエクイムンドによる最近の研究に基づいて、会話を始めるための簡単な方法をいくつかご紹介します。
お子さんがオンラインで目にする可能性のあるもの
「マノスフィア」という言葉を既に耳にしたことがあるかもしれません。これは、ソーシャルメディアからオンラインフォーラム、インフルエンサーにいたるオンライン空間のネットワークを指し、そこでは、男性らしさ、恋愛、健康、アイデンティティに関する考えが共有されます。
こうしたコミュニティはもはや辺境のものではなく、アンドリュー・テイトのようなインフルエンサーを含む代表的な人たちが、これらの考え方を主流へと押し上げました。ルイ・セルーのドキュメンタリー『マンスフィアの内部』なども、こうしたコミュニティの機能や、なぜ若い男性に人気があるのかを探っています。フェミニストや活動家たちは、有害な男性性の影響力の増大について、何十年にもわたって警鐘を鳴らしてきました。
このトピックは初めてですか?ここから始めましょう。

「マノスフィア」へのオンラインの旅はどのように展開するか
多くの若者にとって、スクロールすることは自らの意思決定というより、アルゴリズムに引き込まれているような感覚に近いです。
研究によると、若い男性ユーザーが中立的な話題に触れた途端、プラットフォームはあっという間に男性優位主義的なコンテンツを表示し始めることが明らかになっています。ある調査では、架空の男性アカウントに、それまでのコンテンツ選択に関わらず、スクロール開始から23分以内には過激な女性蔑視的なコンテンツが表示されることが確認されました。
実際、ラテンアメリカでの研究によると、プラットフォームのデザインが重要であることが示唆されています。TikTok、Instagram、Xなどアルゴリズムによるフィードやインフルエンサーコンテンツによって運営されているプラットフォームは、 WhatsAppのようなコミュニケーションに特化したプラットフォームに比べて、10代の若者の幸福感との関連性が低いのです。
ステップ1:自己改善のための探求
10代の少年が、トレーニング方法、自信をつけるコツ、あるいはデートのコツなどを検索する。
ステップ2:アルゴリズムが影響を及ぼし始める
プラットフォームが、「規律を身につける」「価値を高める」「尊敬される」「外見を磨く」といったテーマの動画を勧めてくる。
ステップ3:「真の男」になるための高い代償
コンテンツは、支配力、コントロール力、そして経済力といった観点から成功を捉え始め、多くの場合、有料講座やスポンサー付きのトレーディングアプリと結び付けてくる。
ステップ4:怒りが女性に向けられる
成功が手の届かないものに感じられたり、少年たちが軽視されたり、孤立させられたり、拒絶されたりしていると感じると、これらのプラットフォーム上のコンテンツは、女性、フェミニズム、あるいは社会が、彼らから地位、親密さ、成功を奪っていると示唆してくる。そして、女性や少女が、問題の原因、あるいは支配すべき対象として描かれ、不満を彼女たちに向けるよう、男性や少年たちに促してくる。
ステップ5:共通の敵がコミュニティを築く
より過激なコンテンツが推奨され、同じメッセージが強化されます。その結果、女性に対する暴力的な態度が常態化し、より挑発的で暴力的な思想が賞賛されるようになる。
経験は人それぞれで、すべての少年が同じ道をたどるわけではありませんが、「マノスフィア」の道のりには、これらのような共通のパターンが見られます。
知っていましたか?
アメリカの中学校に通う10代の若者は、1日のおよそ8時間をオンライン上で過ごしています。
オーストラリア、イギリス、アメリカの若い男性の3分の2が、現在オンラインで男性らしさを持つインフルエンサーと定期的に交流しています。
注意すべき点
「マノスフィア」のコンテンツは必ずしも過激に見えるわけではありません。しかし、時間が経つにつれて、若者の考え方、話し方、行動様式に影響を与える可能性があります。以下は、注意すべきサインです。
1. 行動と態度の変化:
・友人や家族から距離を置くようになる。
・オンラインで過ごす時間が大幅に増えた。
・何を視聴しているのかを隠すようになる。
・人間関係を競争や支配として捉えるようになる。
・女性やフェミニズムに対して反感を抱き、男性や少年に対する不当な扱いを彼女たちのせいにする。
2. 言語の変化:
・「アルファ」「ベータ」「レッドピル」「ハイバリューマン」といった特定の用語を使うようになる。
・デートをゲームや勝ち負けの対象として捉える表現をする。
・少女に対する軽蔑的または物扱い的な言葉遣いをする。
・「女性はただ…を望んでいるだけだ」といった女性を一般化した発言をする
これらのサインに気づいたとしても、必ずしも何か問題が起きているということではありませんが、お子さんが何に引きつけられているのかを理解する機会になるかもしれません。
慌てないで大丈夫
すべてのジョークやフレーズが危険信号というわけではありません。若者は、流行っているから、面白いから、挑発的に聞こえるから、あるいは意味を完全に理解していなくても、よく同じことを繰り返します。
このような瞬間を会話のきっかけとして活用しましょう。
なぜ「マノスフィア」は少年たちに魅力的なのか?
多くの少年や青年は、自分が何者なのか、社会の中でどのような役割を担うべきなのか、そして自分に何が期待されているのかを理解しようと努めています。
「マノスフィア」に関わる少年たちは、拒絶や孤独感に苦しんでいたり、自信やアドバイス、方向性を求めていたり、あるいは帰属意識や承認を求めているのかもしれません。若者が学校や家庭、社会で自分の声が届いていないと感じると、自分を認めてくれる場所を探し求めることがよくあります。そして現在、その場所の多くはオンライン上にあります。
「マノスフィア」では、複雑な感情に対する単純で誤解を招くような答えが見つかることがあります。しかし、まさにここに、有害なメッセージが潜んでいます。男性優位のコミュニティでは、個人的な葛藤が外部の力の結果として捉え直されます。不満や怒りは外に向けられ、多くの場合、女性やフェミニズムに向けられるのです。
自分の気持ちを話す場がない、あるいは話すのが苦手な男の子にとって、「マノスフィア」はアドバイスを提供するだけでなく、仲間意識も与えてくれます。
「マノスフィア」コンテンツの背景には何があるのだろうか?
背景には、利益があります。こうしたコンテンツの背後にいる最も目立つ発信者の一部は、単に意見を述べているだけでなく、多くのフォロワーを獲得し、収益を上げています。
ソーシャルメディアプラットフォームは、人々の関心を引きつけ、反応を促すコンテンツを高く評価します。怒り、不満、憤りといった強い感情を喚起するメッセージは、より多くの人々に拡散され、閲覧されていきます。
こうしたコンテンツが好評となれば、コンテンツを作成するインフルエンサーにとっては、視聴回数、フォロワー数、そして広告料、サブスクリプション、フォロワーが購入する経路を通して収入の増加につながります。
これにより、たとえ虚偽があったり有害であったりしても、単純で過激なメッセージ、あるいは他者に責任転嫁するようなメッセージが、急速に拡散する体系が作られます。
「マノスフィア」に関わるインフルエンサーたちは、この状況を利用して利益を得ており、不満を収益化しています。こうして、「マノスフィア」は単にコミュニティというよりも、不安感を搾取する金儲けの仕組みのように見えてきます。
オンライン上の男性の声がすべて同じというわけではない
多くのクリエイターが、男性らしさ、人間関係、そして心の健康に関するより健全な考え方を提唱することで、こうした固定観念に異議を唱え始めています。これらのインフルエンサーたちは、尊重、責任、メンタルヘルス、健全な男性らしさ、そして他人を貶めることなく自信を持つことの意味について語っています。
これは重要な問題です。なぜなら、特に怒り、比較、あるいは過激なコンテンツを奨励するプラットフォームの場合、ソーシャルメディアの過剰な利用は、青少年のメンタルヘルスの悪化と関連しているという証拠が増えているからです。同時に、一部の若者は、目にするものに疑問を抱いたり、有害なコンテンツから距離を置いたり、プラットフォーム自体から完全に離れたりするなど、独自のやり方で抵抗しています。
「マノスフィア」の影響が画面の外でも重要な理由
研究によって、オンライン上の嫌がらせは、人間関係における支配的な行動から、学校、職場、公共の場での脅迫や嫌がらせに至るまで、現実世界における様々な被害と密接に関連していることが示されています。女性に対するこうした有害な考え方は、オンライン上で繰り返され、常態化し、称賛されると、単なる言葉や冗談に留まらず、若者の日常生活における行動、話し方、他者への接し方も形づくってしまう可能性があります。
これは若者に次のように様々な形で影響を与え得るのです。
男の子に対して
・支配的であり、裕福であり、主導権を握っていなければならないというプレッシャーを感じること。
・その型に当てはまらない場合に不安や自尊心の低下を感じること。
女の子に対して
・自分の価値を貶めたり、物のように扱ったりするメッセージにさらされること。
・公共の場やオンライン空間で、不安を感じたり、自信を失ったりすること。
すべての若者に対して
・性差別が日常的な冗談として定着してしまうこと。
・尊敬と共感が失われていくこと。
知っていましたか?
硬直的または有害な男らしさの考え方を支持する若い男性は、性的嫌がらせをする可能性が10倍高くなります。

では、親や養育者は実際に何ができるのでしょうか?
不安や心配を感じているとしても、それはあなたはだけではありません。多くの親が初めてこのような状況に直面しています。
家庭での取り組みも重要です。敬意、公平さ、感情、健全な人間関係について日々話し合うことで、若者はオンライン上の有害なコンテンツに遭遇する前に、自信、共感力、批判的思考力を育むことができます。性差別的な冗談に異議を唱えたり、敬意のある人間関係を模範として示したり、オープンなコミュニケーションを維持したりすることは、すべて大きな違いを生み出します。
1. コントロールではなく、つながりと好奇心から始めましょう
話を遮るのではなく、以下のように問いかけてみてください。
「この人のどんなところが好き?」
「なぜこれに興味があるの?」
尋問よりも双方向の対話の方が効果的です。若者は批判されていると感じると、自分の本当の考えを打ち明けにくくなります。
2. 子どもたちが自分が目にするものに疑問を持つように促しましょう
この練習は、子どもの批判的思考力を養うためのものです。一緒に何かを見て、次のような質問をしてください。
「ここにはどんなメッセージが込められていると思う?」
「それは本当だと思う?」
「なぜこんなに再生回数が多いと思う?」
「彼らはこう言うことで、何を得ようとしていると思う?」
「投稿に#sponや#adというハッシュタグが付いているのに気づいた? それはどういう意味だと思う?」
知っていましたか?
コンテンツクリエイターやインフルエンサーは
– エンゲージメントから収益を得る
– 怒りを使って、視聴回数を稼ぐ
– 複雑な問題を簡略化して拡散させる
若者たちがこうしたことに気づくことで、彼らの固定観念を壊し、批判的思考力を育むことができます。
3. 彼らがまだ話していない会話のための場を作りましょう
大人との強固な関係は、有害なコンテンツから身を守る最良の手段です。多くの少年は次のように教えられています。
・感情を表に出さないこと。
・助けを求めないこと。
・常に強くあること。
これに対抗するには、
・拒絶、自信、そして友情について話し合うこと。
・弱さを当たり前のものとすること。
・苦労は失敗を意味するものではないと示すこと。
4.警告だけでなく、代替案も提示しましょう
多くの人にとって、「マノスフィア」はまず何よりもコミュニティです。
10代の若者が以下のものを見つけられるようにサポートしましょう。
・彼らが居場所だと感じられる場。
・前向きな男性のロールモデル。
・スポーツやクリエイティブな活動の場など、他者を貶めることなく自信を育む環境。
多くの若者は、オンライン上で真の支えや繋がりを見出しています。目標は、こうした場をなくすことではなく、有害な空間と支援となる空間の違いを彼らが認識できるようにすることです。
5. 困難な時でも冷静さを保ちましょう
もし子どもが心を開いて話してくれたのに、怒りや恐怖、罰で応じられてしまうと、心を閉ざしてしまう可能性が高くなります。
代わりに、冷静さを保ち、話をしてくれたことに感謝し、会話を続けましょう。完璧な返答は必要ありません。ただ、こうした会話の扉を開けておくことが大切なのです。
6.少女たちも影響を受けることを覚えておきましょう。
女性蔑視的なコンテンツによって、男女間の分断が激化する中で、一部の少女たちはオンライン空間や会話から距離を置き、場合によっては交際そのものを避けるようになっています。
少女たちはオンライン空間から遠ざかったり、自信を失ったり、有害なメッセージを内面化したりする可能性があります。
少女たちが必要としているのは、認められること、安全に話せる場所、そして自分の価値を肯定してもらえることです。
ジェンダー平等は誰にとっても有益です。
「マノスフィア」が広める最大の誤解の一つは、ジェンダー平等は男性に害を及ぼすというものです。
しかし、それは事実ではありません。
ジェンダー平等は、すべての人にとってより健全な人間関係、家族、そして社会を生み出します。

